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『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』川上和人著(新潮社)

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必要なのは一に体力、二に体力、三、四がなくて、五に体力?! 噴火する火山の溶岩、耳に飛び込む巨大蛾、襲い来るウツボと闘いながら、吸血カラスを発見したのになぜか意気消沈し、空飛ぶカタツムリに想いをはせ、増え続けるネズミ退治に悪戦苦闘する――アウトドア系「鳥類学者」の知られざる毎日は今日も命がけ! 爆笑必至。
(出版社HP・書影も)


タイトルからもお察しではあったものの、まえがきからして爆笑してしまい、電車の中で読んでいたら不審者決定本でした。
特に007シリーズのファンの方にはこのまえがきだけでも読むことをおすすめします。
「デスヨネー」って爆笑するしかありませんでした。
笑えるのはここだけではなく、本文でもリズミカルで読みやすい文章に乗せられて、ほぼ毎ページ笑っていました。

著者は森林総合研究所の研究員として在籍されている、ご専門は鳥類の先生のようなのですが、読み終わっても印象に残っているのは鳥類以外の知識ってのはどうなんですか。
「アルマジロは小銃で撃つと跳弾することがある」とか、なるほどと思う一方でアルマジロを銃で撃つ極道者がいるのかと気になって鳥どころじゃなくなりましたよ。

いえ、もちろん鳥の部分もとてもおもしろいし勉強になります。
中でもリアルキョロちゃんの考察の項。
畠山モグさんのリアルキョロちゃんのイラストのヤバさもさることながら、先生、何やってはるんですか。もっとやってください。
「キョロちゃんって、まさかと思うけど、あの森永製菓のキョロちゃん?」と思われた方、そのまさかですからご安心ください。わたしはキャラメルが入ったやつが好きでした。
「捕食者の目は前についているからキョロちゃんは捕食者」とか、そうですかとしか言えないのに、科学的に正しいのがもう爆笑です。

動物を追うフィールドワークは本当に体力勝負のたいへんなお仕事だということがわかるのですが、やっぱり笑いが止まりませんでした。申し訳ない。

全体的にそんなふうな軽い読み物と思いがちな雰囲気で通している本ですが、やはり科学者の冷徹な目で見られている部分もあり、イエネコを駆除せざるをえないことについて語られた部分などは、生き物を飼う、命を預かることの重さを考えさせられます。
特定の動物だけが殺されるときに「かわいそう」と言われることについては、やはりいろいろと苦慮なさることがあるのだろうなと。

「美しいだけの自然なんてない。テレビの風景は嘘ではないが、真実の一部でしかない。」
(p.65)

このあと「裏切りのない不二子ちゃんなぞ魅力は半減だ。」と続いていろいろぶちこわしなんですけどね。せっかくのいい話が。
先生、まちがいなく、オタクだと思います。
そこも親近感がわきます(笑)。

初めて著者の本を読んだのですが、ほかの本もぜひ読んでみたいと思います。




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by n_umigame | 2017-05-07 22:37 | | Trackback | Comments(0)
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