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『主婦でスミマセン』 青木るえか著(角川文庫)

関西人は自分の失敗談などを笑いのタネにした話題づくりが得意だと言われておりますが、これは、「必ず合いの手を入れてくれる」という「ツッコミが来る安心感」「相方への信頼」を前提に話しているので、この安心感、信頼がないところでは、「大勢の目の前ですべってこけたのに周囲の人は無言でスルー」という寒い状況と同じになってしまいます。
自虐ネタを芸風にしている芸人さんなどを見ていても、あっというまに消えているような気がしますが、これはやはり、「芸」としてあまり成功しているとは言い難いということなのではないでしょうか。
だってまあわかりますよ。めそめそ「ぼくってわたしってかわいそうでしょ?ねえねえ!」とにじり寄られるのが続くと、どうしたって、よほど聖人みたいな人でなければ、「あっち行けうっとおしい!」となるのが人情だからでしょう。
逆に言えば、続いている人は、「芸風として確立し、受け入れられている」ということではないかと思われます。

で、青木さん、おもしろすぎ。
中村うさぎとか『だめんず・うぉ~か~』とか、「ダメ女」を芸風とするものはいろいろありますが、そういうものの中には気持ちよく笑えるものとそうでないものが混在しております。(『だめんず・うぉ~か~』は「ダメ」なのはむしろ男の方だろうというご意見もあろうかと思われますが、生物のメスとしてオスを見る目がないというのは、ある意味致命的にダメなんじゃないかと、最近思うようになりました…。(その反対ももちろん、あり。)人間の場合、単に「生物」としてだけ生きているわけではないので、生物としてダメでも人間としてオッケーならそれで良し。と思いますが。)

青木さんのエッセイがなぜ気持ちよく笑えるか、人それぞれご感想があるかと思いますが、
「自分を見るクールな視線」。これではないかと。
自分のやっていることがかなりダメだという自覚があるんだけれども、それを直せない。直せない自分もダメなんだという自覚もあるんだけれども、実は愛おしくってしょうがない。
という、良い意味での「自分への愛情」があるから、読んでいてあたたかい印象を残すのだと思います。
この「自分への正しい愛情」というものが欠落していると、周囲の人間をも破壊するような、負のパワーになってしまうので、もう絶対に笑えないのですが。
(世の中、他人を不幸にしている人間は、自分が不幸な人間ばかりです。本当に自分を愛していたら、自分を幸せにしようとするはずです。だから、逆説的ですが、人を幸せにしたければまず自分が幸せでいなければならず、自分が幸せでいようと思ったら、みんなが幸せでないといけないのだと思います。)

なんか、たいへんな話になってしまいましたが、おもしろいです、青木るえか!
でも、やっぱり、もうちょっと掃除はした方が良いのでは。
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by n_umigame | 2006-08-05 17:26 | | Trackback | Comments(0)

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