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『ニューヨーク犯罪事情』 トム・マクゴードリック、賀川洋・共著/ぶんか社

トム・マクゴードリックさんは、名前からお察しいただけるようにアイリッシュ・アメリカンで、元ニューヨーク市警の刑事、その後、辞め検事の相棒とともに私立探偵事務所を開業。
共著とありますが、このトムさんの体験談を賀川洋さんがまとめたもの、という意味で、文筆の責任は賀川洋さんの方にあるようです。
この図書からは賀川さんの方の略歴がわからなかったのですが、たまたま自分が持っていた別の本によれば、日本の某大手出版社の駐在員としてニューヨークに滞在、その後独立されたそうです。

つまりどちらも文筆のプロではないので、プロフェッショナルではない相手に本気を出すのも気が引けますが。
ハードボイルドを狙ったような文章は、控えめに言わせていただいても、失敗。(←どこが控えめだ)そもそも日本語になっていない部分もあれば、脱字もあり(これは出版社の責任ですが)、素人くささがいかんともしがたいのが、残念です。
こういう本なので、民放で2時間特番でやっている『潜入!○○警察25時!!』みたいなクサさが出てしまうのは仕方がないのですが、テーマの絞り方を考えればもうちょっとおもしろくできたろうに、という感じでした。

しかし、トムさん、「退屈な仕事が大キライ」で、警官になり、担当はもちろん管内でも一番デンジャラス★なサウス・ブロンクス、思ったより平和でつまんね(←もちろんトムさんの主観)、と思ったもののやっぱりドンパチ楽しい時もあり、うきうき警官人生を謳歌していたけれども膝を負傷、デスクワークに回され、おれはもう今までみたいに犯人追っかけられないんだ。クスン…。とサッパリ警官を辞め、私立探偵開業。わくわく犯罪ランド・NY☆にいりゃメシの食い上げってことはねえよ、やっぱ、私立探偵サイコー!…と人生楽しそうなご様子ですが、犯罪実録より、むしろ、そんなトムさんの方がよっぽどおもしろかったです。
やはり元ニューヨーク市警の警官だった方が書いた某小説で、「刑事は離婚率が高い」という文章が出てくるのですが、そうでしょうね、こんなだんなさんだったらば。奥様たいへんですよ。

トムさんの警官時代の体験談でおもしろかったところ。
仕事中、友だちとお昼ごはんを食べる約束でレストランで待ち合わせをしていたところ、麻薬の売買を発見。逮捕しようと思ったけど、おなかすいたし、「おまえらあとで署まで来い、ゴラぁ!」と言うだけ言って見逃し、友だちとごはんを食べて戻ったら、さっきの売人たちが雁首揃えて、本当に署に出頭していました。
売人たち曰く、「だって、アンタがこわかったから、マジだと思って……」
トムさんはそのバカ正直さにあきれて、「もう、おまえらいいから、ウチ帰れ。な?」と、帰したそうです。トムさんのお人柄がにじみ出ているエピソードです。
いい警官だったのでしょう。
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by n_umigame | 2006-08-05 17:29 | | Trackback | Comments(0)
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