『「心の専門家」はいらない』 小沢牧子・著(洋泉社新書)

数年前に読んだものですが、カウンター・バランスということで(笑)、ご紹介しておきます。
わりと売れたみたいだったので、ご存じの方も多いと思われますが。

心理学って、でも、正直、やっぱり、何かしらうさんくさいですよねー。(←大問題発言。)
河合隼雄さんもときどき「たましい」が、というようなことを書いてらっしゃるのですが、これも河合先生がおっしゃっているから説得力があるのであって、そうでなければオカルトの話かと思って引いてしまいます。(オカルトはオカルトでおもしろいなーと思いますが。)河合隼雄さんも、心理学の名の元に理屈で何とでも言いくるめられるので、濫用の危険性については警告されていましたが。(これはあらゆる学問に言えることですが、大した訓練を積まなくても”それらしい”人間ができあがりやすい、と言う意味で、危険度が大きいということではないかと愚考いたします。)

個人的なお話で恐縮ですが(って全部個人的な話なんですが)、学生の頃、わたくしは心理学の先生が苦手でした。一般教養課程というものがありまして、その中のひとつとして心理学を取ったのですが、押しつけがましいと申しますか、いやみっぽいと言いますか、あまり好きになれませんでした。(例えば、学生の誰に向かって言うでもなく、「本当だったら窓を開けたいけど、寒いと思う人もいるかもしれないと思って開けないんだよ。それが思いやりっていうんだ。」と突然言い出されて、そういうときは、「暑いんだけど、窓、開けていい?」って聞けばいいんじゃないのと思った記憶が。先生、お元気かしら…。)ですので、河合隼雄さんみたいな心理学者もいるんだ…と、初めてご本に出会ったときは新鮮だったのです。

では、心理学者全般に対して信頼を回復したかと申しますと、それはまた別のお話でございまして。
日常、精神的な病気で苦しんでらっしゃる方のために、精神科医療は絶対に必要だと思います。心理学が学問として認められてこなかった時代、正当な地位を獲得するために戦ってこられた学者の皆さんには頭が下がります。ですが、やはり、何か本来の目的をはずれて、暴走している部分があるのではないかと、思うこともあります。

最近、新聞で、「医学は進歩しているのに病気が増えている」のはなぜだ、という記事を見かけました。インフルエンザのようにものすごいスピードで変異を遂げる生き物もいるので、もちろんそういった意味では「増えている」のでしょう。ですが、医学が進歩したからこそ「発見」できた病気もあり、それを「新しい病気」としてカウントするから、結果的に増えているだけ、ということもあるのではないかと、素人目には思います。
精神の疾患もきっとそうでしょう。

心身共に健康優良児ばかりだと、医者は要らないということになります。
「心の専門家」が、自分の知識の有用性を主張するために、「病気の人」を造り出す、そのようなことだけは、けっしてあってはならないと思います。
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by n_umigame | 2006-08-17 18:53 | | Trackback | Comments(0)

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