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*さいはての西*

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『MEMORIES』(1995)

大友克弘監督作の「彼女の想いで」「最臭兵器」「大砲の街」の3本のオムニバスからなるアニメーション。劇場へも見に行ったし、おそらくケーブルなどで合わせて3回くらい見ています。

個人的に一番好きなのは「彼女の想いで」。ストーリーはまあベタで、どのキャラクターがどうなるか予想がついてしまうのですが、見ている者をそらせません。こういう、”サイレンの魔女@宇宙のサルガッソー”というお話、好きです。(以下ネタバレ→)ラストのクライマックスで、ハインツが飛ばされそうになるシーンで、びゅんびゅん白骨死体が飛んでくるところ、ああ、今までも、そしてこれからも犠牲者が山盛り増えるのね…という感じでした。

「最臭兵器」は、星新一のようなと言うか筒井康隆のようなと申しますか、バカSFですね(笑)。劇場では「彼女の想いで」の宇宙から、いきなり山梨ローカル放送局のテーマ曲が流れる場面転換で笑えたのですが、TVだと間にCMが入ったりして台無しです。ラストは、これも予想どおりの大爆笑オチですが、劇場ではみんな笑わなかったなあ…という記憶が。いやある意味笑わない人の方が健康な精神と言えますが、そう生真面目に見るものではないので…。アードマン・コレクションの映画を見たときも、これ、絶対イギリス人だったら笑うよな、というシーンで誰も笑わないんですね。わたしは大笑いでしたが。洋画ファンの人が、日本では下ネタとブラック・ジョークで笑わせるのは難しいと言っていましたが、そうかもしれません…。(わたしも下ネタはあんまり…)

「大砲の街」は独特の絵柄で、絵を楽しむ作品かも知れませんが、ある意味、これが一番こわいお話かも。大砲を撃つためだけに存在する街、発育不良のような血色の悪い子どもと、その両親もとてもその年齢の子の両親と思えないくらい老け込んでいます。教育も日々の生活もすべて軍国主義一色。少年は父親に、父さんたちはどこの国と戦争をしてるの? と聞きますが、そんなことは大人になったらわかる、と答えた父親も、答えを知っているふうではありません。
by n_umigame | 2006-09-18 19:54 | 映画・海外ドラマ