*さいはての西*

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『格差社会 : 何が問題なのか』 橘木俊詔・著(岩波新書)

前述いたしました『若者はなぜ3年で辞めるのか?』が、自分は永遠に若く、実力だけで勝った(と思っている)勝者は永遠に負ける日は来ないと信じ込んでいる若者の文句たれ本だとすれば、この本は、もう少し、大人の視点で書かれた内容になっています。
(申し訳ないですがワタクシもその文句たれ若いモンの中に含まれてはおりますが)

いろいろな統計を使って述べられており、この統計の信憑性は専門家でない身には測りかねますが、統計からはじき出される日本の現状は、先進国中、もっとも貧困が深刻でのっぴきならないところまで来ている国であると申し上げても過言ではない、ということです。

NHKスペシャル『ワーキング・プア:働いても働いても豊かになれない』をご覧になった方も多いかと思いますが、あの番組でも取り上げられていた生活保護の制度上の問題点なども取り上げられています。

格差ももとより問題ではあるが、何より、貧困者をなんとかしなければ、そのためにできることは何だ、ということで、税制や、労働者の賃金制度の見直しなどについて具体案が提出されていますが、一部、やっぱり学校の先生って世間知らずだなあ…と感じてしまったところがあります。
第5章の「職務給制度の導入」の項に、「同一労働・同一賃金」を導入せよ、とあります。一見、正論ではありますが、それがどれだけ理想的な形で実現可能かと省みたときに、かなり難しいと言わざるを得ないと思われます。

会社にお勤めの方にはご理解いただけるかと思いますが、コピー取りひとつ、お茶くみ一つにしたって、能力の差は、出ます。

正職員と非正規職員が、それぞれ、例えば、”コピーを取る”仕事だけで査定されたとしましょう。
非正規職員なら、「コピーお願い」と言われた場合、本当にコピーだけして、机の上に放っておいたって、おそらく、あまり何も言われません。内心言いたいのですが、あの人はアルバイトさんだから、「コピーしたらクリップで資料を一人分ずつ留めておいてね」まで言わなかった自分が悪いんだ、あまり厳しいことは言えない、で終わります。
しかし、同じことを社員がしたら、絶対に、叱られます。あまつさえ「仕事が読めてない」「気が利かない」「使えない」と判断されて、その後回ってくる仕事も変わってくると思います。

正職員と非正規職員の違いは、わたしはこの、ほんの小さな違いの、積み重ね、だと思っています。また、それを理解しているのが正職員と非正規職員の違いだとも思っています。そんなしょーもない気苦労の積み重ねでお給料をもらっていると言っても過言ではないかも知れません。
それは、実務上のスキルには、表れてこない部分です。
(見ている人と見ていない人が出てくる部分でもあります。だから評価が分かれるのです。誰も見てくれていない職場の場合、もっと悲惨です。)

それでも、「コピーを取る」ところまでは、両者ともにできたのだから同一賃金だと言われたら、アホらしくて社員なんかやってられません。
今、30代の心の病が多いらしいですが、こういう、同じ戦場で気を許し、日々の気苦労を理解してもらえる同じ立場、同世代の「心の戦友」が30代には少ない、というのが、原因のひとつではないかと想像します。
(30代には「逃避型うつ」と呼ばれる心の病が多くて、「あんなもんは病気じゃねえよ、甘ったれんじゃねえよ」という医師もあるそうですが、まだ逃げられる人はマシっすよ。うらやましいっすよ。逃げてでも良いから、無駄な討ち死にはやめて、生き延びましょうよ。ね。)

「全然仕事しない正規職員」とか「正規職員より気が利いて、クオリティの高い仕事してる非正規職員」ももちろんいるでしょう。

ですが、人間は機械ではありません。
だから労働問題は複雑なのではないでしょうか。
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by n_umigame | 2006-10-03 22:29 | | Trackback | Comments(0)
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