*さいはての西*

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『眼を開く』 マイクル・Z・リューイン・著/石田喜彦・訳(ハヤカワポケットミステリ)

はー…。
待って。余韻にひたらせてちょうだい。

…。
…。

よくってよ、じゃ、感想ね?

心やさしき私立探偵アルバート・サムスン、お帰りなさい。いろいろな意味で。
本国でデビューしたのが1971年、今回の作品が発表されたのが2004年だそうですから、もう30年以上がんばっているわけですか。
そして、『豹の呼ぶ声』が日本で出てから13年ぶりですよ。
リアルタイムでリューインを読んでいたわけでもないわたしですら、待ったなあという印象なので、昔からのファンの皆さまにはどれだけ長い「お待たせ」だったことでしょうか。
しかし、あとがきで訳者の方が書かれていることは、書店で先にあとがきを読んで買おうかどうしようか迷っている読者に向けられたセールス・トークではなく、本当に、「待ったかいだけはあった」と思わせるには、じゅうぶんに耐える作品だと思われます。
(『沈黙のセールスマン』や『刑事の誇り』あたりのクオリティには敵いませんが。)

サムスンの事務所にはPCが入り、携帯電話をやっと買いました。
そんなことからも時間の流れを感じるのですが、以下、ネタバレです。




特に変わったのは、人間関係でしょうか。

まずは、一番驚いたのが、ミラーも言っていますが、まさかサムスンがアデルと別れるとは思っていませんでした。
しかも、よりにもよって、何でプロフィットと?? 
サムスンも、大酒喰らってアデルの家の前で暴れて器物を損壊し、警察に数日お泊まりするハメになったそうで、それで愛想がつきたのかもしれませんが、普段のサムスンを見ていれば、決して素からそういう人ではないことはわかっているはずだし、酔いから醒めた時点で一番そういうことをしたことを恥じ、反省するのはサムスンだということもわかると思うし、アデルはそういうことが十分わかる程度には聡明で、もう少し包容力のあるタイプだと思っていたのですけれども。
年を取って、安定した収入があった方がやっぱりいいわ、となって、失業したサムスンに愛想がつきたのかもしれませんが、サムスンが貧乏なのはもうわかっているはずだし(おい)、これから先大金持ちになる見込みもあまりないことだろうし(こら)、そういうことを含めた上で、サムスンが好きだったんじゃないのかと。
アデルの方の事情が全然書かれていないので、状況証拠だけで論ずるのはフェアではないと思うのですが、そう言えば、アデル、もしかして、警官、好き? だって以前、パウダーとも、もしかしてそうなの? ということになったらしき描写があったげな気が。
それか、リューインさんが、アデルに飽きたのか?
推測の翼はどこまでも広がりますが、ともかく、サムスンが一番つらいときに、助けてあげてほしかったなあ。忍耐力は要るけれども、そうするだけの価値はじゅうぶんある男だと思うのですけれども。(アデルにとってはもうなくなった、ということなのでしょうが…じゃ、仕方ないか。)

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
メアリー、いいですね! いいですよ。このばくばくおいしそうにものを食べる、という一事だけを取ってもわたくし的にグー! ですよ。あと、ちゃんとサムスンをあやすすべを心得ているところもいいですね(笑)。この人なら、大丈夫。という心強さを感じます。
ほかにもケータイが使えないサムスンが可愛いとか、サムスンとミラーの友情がこれまででマキシマムに良かったとか、いろいろあるのですが、聞いてもいいですか。
アルバート・サムスンさん、何歳ですか。
人気シリーズの主人公たちはトシを取らないんだってことくらい承知していますが、確か、デビューした当時ですでに30代後半か40代だったですよね?
ということは控えめに足しても、50歳くらい?? 40代くらいのときにすでに頭頂部の心配をしていたので、もしかして、とうとう頭半分寒いハンサムになってしまったのかしら。(てリューインさんの写真見ながら言うな)

あと、パウダーが出てきて、ヤッホーだったのですが、相変わらずパウダーの指摘は鋭い。(しかもパウダーもちゃんと彼女いるんだ、相変わらず。)
ですが、これもあとがきにあったように、これでこの、インディアナポリスのシリーズを終わるつもりで、勢揃いさせたのかなあと思わずにもいられない感じでもあり、そんなこと言わずに、続きを書いて欲しいです。

体の中心部があたたかくなるようなユーモアや、どこへ転がっていくのかわからないエピソードをきれいにまとめるプロットなど、まだまだ現役で、これで終わるのはあまりに惜しいですから。
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by n_umigame | 2006-10-10 19:15 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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