*さいはての西*

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『ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー』 ビル・ブライソン・著/高橋佳奈子・訳(朝日文庫)

会社の近所の古本屋さんで、いかにも「投げ売り」という体でワゴンに積まれていた本(30円・税込み)でしたが、ちょっとちょっと、大ヒットですよ!
もう、大爆笑でした。
アメリカのコラムニストというと、ボブ・グリーンくらいしか知らなかったのですが、この作家さんも売れっ子らしく、寡聞にして存じませんでしたが、惜しいことをしました。

内容は、アメリカで生まれ育ち、20代でイギリスに渡って20年暮らし、結婚してまたアメリカへ帰ってきた著者が、母国について愛情とウイットとユーモアあふれる毒舌で、軽妙に書かれたエッセイとなっています。イギリスの新聞に連載されていたようなので、著者自身は自分はアメリカ人であるというアイデンティファイなのですが、読んでいると、長年イギリスで暮らし、イギリスを愛し、イギリスの女性と結婚した著者らしき、アイロニーとブラック・ユーモアも読んでいてたいへん気分がよろしく、アメリカの良きにつけけ悪しきにつけ屈託のないところやナイーブさが抑えられています。

最後の方に収められた、ニューハンプシャー州のキンボール・ユニオン・アカデミーの卒業式での祝辞演説は、まあクールなことを言ってしまえばいわゆる若者向けのメッセージなのですが、それでも、著者の人柄が伝わってくるすばらしい演説です。こんな祝辞を人生の節目、しかもこれから社会に出ていこうとする大切な節目に贈られる卒業生が羨ましいです。(ときどき立ち止まって自分が生きているのを思い出すこと。決まりだからというだけで行動しないこと。勝つことがすべてだなどという極めて愚かな思い違いをしないこと。カンニング、脱税、浮気、モノポリーのごまかしなど、人をだまさないこと。謙遜をこころがけること。幸せでいること。などなど。)そして、アメリカ人にも、こういうメッセージを大まじめに発信できる人がいるのだということが、何だか慰めになりました。
ほんじゃ今からいっちょ探しにいくわ、という場合は、しかしこの演説から読まないように。
そこに辿り着くまでの大爆笑エッセイあってこそ、しみてくる一品ですので。
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by n_umigame | 2006-10-29 14:33 | | Trackback | Comments(0)
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