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『ひらいたトランプ』 アガサ・クリスティー・著/加島祥造・訳(クリスティー文庫)早川書房

「これってポワロものだったっけ?? バトル警視のシリーズじゃ?」という点が気になったので原作を読みました。
結論から申し上げるとどちらも正しかったです。ポワロもので、かつ、バトル警視ものでした。
+オリヴァ夫人ものでした。

そして、なんで敬遠していたのか思い出しました。
開いたページにブリッジの得点表があり、「あ、ブリッジわからないからこれは、あーとーでー。」と、本屋さんで本棚に戻しましたわ。あはは。(なぜ笑う。)
こちらも結論から申し上げると、ブリッジがわからなくても全然オッケー!な内容でした。アガサ・クリスティーが、そんな、○○がわからない読者はお断り、というような排他的な作品を書くわけはないですね。大勢の人を楽しませようというエンタテインメント魂、これがクリスティーの真骨頂、ファンのくせに、たいへん失礼なことをしていました。

ドラマはディティールは変えられていましたが、最終的な犯人は変更なしです。
その最後の犯人にたどりつくまでの、これでもかこれでもかと畳みかけてくるどんでん返しのクライマックスは、さすがです。ここはドラマよりずっとおもしろかったです。
ただ、ポワロの場合はある意味毎回危ない賭をしているのですが、今回もまあ現実に置き換えて考えた場合、犯人を追いつめる方法が、かなり問題があるやり方でした。犯人の自白があっても有罪にできるかどうか疑問ですよ、という。
それを言い出すと本格ミステリは読めないので、「それを言っちゃあおしまいよ」なのですが。
また、最後にはやはりポワロが謎解きをするものの、探偵役が4人もいるということで、そこが少し作品全体の求心力を弱めています。

バトル警視は、クリスティーのキャラクターの中ではかなり地味な方だと思うのですが、何とも言えず、好きなキャラクターです。
『ゼロ時間へ』で娘(バトル警視には5人も子どもさんがいるのです。とてもそうは見えないけど(笑)。)がトラブルに巻き込まれたときに見せる、父親らしさがとても印象に残っています。いい父親なんですよ、これがまた。(て、あんたいつもそれじゃん?…そのとおりだとも。)

ドラマでは、バトルの代わりにウィーラー警視というオリジナル・キャラクターになっていて、それで「あれ、バトル警視ものだったと思ってたけどな」と思ったのですが、結果的に、「ああ、これじゃ、バトル警視じゃだめだわ。てゆうか、バトルだったら、あたし、テレビに向かって椅子投げる。」と思いましたね……。ドラマの制作者側も、その辺りの配慮はあったということでしょうが。(ということは、バトル警視のファンっているんだ! ウレシイなあvvv)

「しかし、殺人を必要と考えたり、それ相当の理由がある場合、しないとは保証できない。そうですか?」
「もし、それ相当の理由があればね!」
バトルは首を振った。
「人間が他の人間を独断で裁いたり、自分勝手の法律を使ったりすることは絶対に許されないですよ」
「バトル、時にはそれも、仕方ないさ-----場合によっては……」
「絶対あってはならないです------これはわたしの信念です。」

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by n_umigame | 2006-12-21 22:21 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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