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*さいはての西*

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『働きマン』(1~3) 安野モヨコ・著(KCモーニング)

会社の同僚が「おもしろいよ」と貸してくれました。
うん、おもしろかったです。
けど、正直、会社に入ってまだピッチピチの新人のころに読みたかったなーという感想です。

おそらく、松方に共感できる人は、「元気になったー!!」と感じるのではないかと思うのですが、(わたしも共感できるところはもちろんあるのですが)何だかちょっと違うなあ…と感じてしまいました。
理由をいろいろ考えてみたのですが、第一に、きっとわたしがダメリーマンだから。(笑)(いや笑い事じゃないってばだから)
そして第二に、既成の仕事観・世界観に乗っかっていることに疑問をさしはさむ人間が誰も出てこないところに、ひっかかりを感じたのだと思います。

例えば、わたしは、そもそも、生きるために働いているのだから、仕事のせいで死んだら本末転倒なのではないか、という理由で、過労死はこの世からなくなってほしいです。

ですが、この作品世界の人は、全員「働くために生きている」と言うか、「働くために生み出されたキャラ」と言うか…。(いやそういうマンガだから)

過労死する人間にはとりあえず疑問ははさまれないところ。
前提そのものを疑ってみようよという人間が出てこないところ。

そういう部分に、何か閉塞感のようなものを感じて、ちょっとたまらないなあ…と感じてしまったのかもしれないです。


けれども、編集長・梅宮が「楽しいから」と言うように、仕事が快調なときの何とも言えないどっぷり感と申しますか、やってもやっても苦にならない時期というのがあります。
あの気持ちを「楽しい」と呼べるならば。

そして、新二に共感してしまいますね…。

言い古されたたとえですが、全身全霊をかけて一生懸命愛した、と自信を持って言える人がいたら、たとえその人を失っても、また誰かを愛そうと思えるようになる。
そしてその人も同じように、愛せる。
けれども、どこか、自分が十分に愛したと言えないと、愛する気持ちに「こんなもんでいいだろ」という怠慢があると、過去への後悔がいつまでもいつまでも残って、次への一歩が踏み出せない。

仕事でも趣味でも、対象は何でも、それは同じなんじゃないかと思います。
けれどそれがむずかしいんですよね…。
by n_umigame | 2007-01-27 20:13 | コミックス