*さいはての西*

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『墨攻』(2006)

初日の最終回に見てきましたが、がらがらでした…。
しかも老夫婦率高し。

えー、単に「アン・ソンギとアンディ・ラウの共演!? 見、見にいかなー!!」と鼻息も荒く出かけただけだったのですが、このお二人は相も変わらずしみじみといい男でした。
アン・ソンギさんはさすがにお年を召してこられた印象でしたが、アンディ・ラウ…わたしが知った時点でもすでにけっこういいトシなんだーと思った記憶があるのに、いったい何歳なんだ。(40代半ばです。)見えない!

「墨守」ということばの語源となった、中国古代のイデオロギー集団「墨家」。
その墨家の革離という男が、趙の侵略にさらされる燕の梁城に助っ人にやってくるところから物語は始まります。

声高に叫ばないけれど非戦への情熱、「好きだ」なんて言わないけれど伝わってくる愛、全編を貫くストイックさに悩殺されました。

↓以下ネタバレ。



見終わったあと、何とも言えない虚脱感におそわれる映画でした。
ですので、男前てんこ盛りのスペクタクル映画でも見てすかっとして来るかー! そのあと生ビール! という、お風呂でスッキリというような効果を期待してらっしゃるかたには決してオススメいたしません。
かく言うワタクシもそんな程度の気持ちで見に行きましたが、見事に裏切られて、とぼとぼと帰途につきました。

骨のある、気持ちのいい人は全員死ぬか敗れるかで、最後に悪党高笑い。
その悪党も、例えば銀さんみたいにスケールがでかくて、こう、ピカレスクロマンとして完結した世界になっていればいいのですが、そうではなく、イヤな感じにリアリティあふれる「最後に悪が勝つ。」

ですが、不愉快な感じではなくて、こう、すかっとした悲劇?(わたくしマゾではありません。)
とぼとぼ帰りながらも、しみじみしみてくるものがあって、もしかしたらもう一度見に行くかもしれません。(時間が許せば)

映画としては、制作者側の、コレが伝えたい、という熱意はひしひしと感じるのですが、いかんせんつめこみすぎで、見ている側はまず物語世界を理解するだけで必死です。
中国古代についてのある程度の素養や、あるいは原作は読んだという人でないと、厳しい。
キャラクターだって、こんなにそれぞれ魅力的なのに、なぜもっと掘り下げないのか。
誰を主人公にしたってひとつの物語になるくらいなのに、惜しい。

香港・韓国・中国・台湾・日本合作というのは良かったです。
今後こういう映画をもっともっと作っていってほしい。アンディ・ラウには、「日本人が原作の作品で、中国史をもとに「非戦」を訴えるというのは意義深い」と言われていますが、わたくし今回いろいろな意味で、アンディ・ラウを見直しました。
以前はもう火薬の匂いが炸裂する暴力的な映画ばっかりじゃん、と敬遠していたのですが、今回、仏頂面の役なのですが、ときたま「ニコッ」と笑うシーンがあって、またその笑顔が良いのです。びっくりしました。なにそのいい笑顔。
あと達筆で有名なのだそうで、日本で公開される映画の題字「墨攻」はアンディ・ラウの揮毫だそうです。

脇役の俳優さんたちも良かった。
個人的に、子団を演じたウー・チーロンがお気に入りです。役柄が良いからちょっと役得もあるかもですが。紅一点のファン・ビンビンも最初は声に違和感があったのですが、おんぶのとこ(「もう気分良くなりましたか?」と聞かれてうーうん、と首を振ってしがみつく)とか靴のとこ(「新しい靴ね」)とか、可愛いかったです。

洗練されたハリウッド映画を見慣れている目には、いろいろと欠点が目立つ作品ではありますが、静かに光る見どころはあります。
よろしければおひとつ。

*追記:見ていて何か違和感があるなーと思ったら、アンディ・ラウとアン・ソンギが北京語で話しているからでした。アン・ソンギはものすごく勉強しました、とパンフに書いてありましたが、アンディ・ラウをはじめ香港の俳優さんやほかの台湾の俳優さんたちも、北京語覚えたのでしょうか。たいへんだー。さすが役者さんだー。
中国語に達者な皆さん、この映画の北京語っていかがでしたか?
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by n_umigame | 2007-02-04 16:42 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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