『たまたま地上にぼくは生まれた』 中島義道・著(ちくま文庫)筑摩書房

「必ず死ぬ。のに、なんで生まれて来るんだろう?」
と、思ったこと、ありますよね一度は。
ない。
そうですか。
この、でも「やっぱり死んじゃう」「私」という命題に取り憑かれた人がここに。

中島義道さんの本はこれで3冊目ですが、以前読んだ2冊(『うるさい日本の私』『私の嫌いな10の人々』)より、「おー………。こういう人だったのか。」感が大きかったです。

めちゃくちゃ言っているようで、かなりまともなことを言っています。

あの刺された先生について、マイクを向けますと、「いい先生だ、いい先生だ」とみんな答えます。悪い先生は刺されてもいいんでしょうか。(中略)とっても悪い先生だったよ、ほんとうに嫌な奴だったよ、だけど人を殺すのはいけないよ、という議論があってもいいんですが、ない。これは、知らないうちに語るべき内容が操作されているからです。

ディべーティングも哲学を見えなくさせます。ディベーティングは、科学的な態度に近くて、アメリカ人なんか好きなようですけれども、弁護士の教育ですね。ソフィストといって、ソクラテスが一番嫌ったものです。つまり、いつも議論に勝つように教育するわけです。自分にとって、有利なものをみんな持ってきて、勝つように訓練するわけです。(中略)どういうことをすれば相手をぎゃふんといわせることができるか、その論理を全部積み上げていって勝つ。ですから、内容は何だっていいんですね。
(中略)
そういうことで、対話とは勝つこと、あるいは相手を打ち負かすことが目標ではなく、繰り返しになりますけれども、自分の実感とか身体というものを、かげがえのない自分の言葉、(中略)肉体の言葉をもって、ぶつかっていくことです。目指すものは、美とは何かとか、善とは何かとか、存在とは何かとか、そういう問いです。(中略)負かされても、自分は負かされたことによって何かがわかるようになるからいいわけです。


……なぜ、人間だけが、「いつか死ぬ。のに、生まれてくる」ことを「知っている」存在なのでしょうね。
なぜ、人間だけが、どんなに子孫を残したところで、いつか、地球さえ死に、太陽さえ死ぬことを「知っている」存在なのでしょう。
「誰だそんなこと人間に入れ知恵したやつぁああぁあー!!」と、思ったことありますよね?
ない。
そうですか。
あなたは幸せな人です。
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by n_umigame | 2007-05-22 22:40 | | Trackback | Comments(0)

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