*さいはての西*

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『ゲドを読む。』(非売品)

仕事の関係で久しぶりに寄った書店にまだ残っていてもらうことができました。

DVD発売に合わせた販売戦略の一環として配布されているものですので、そういうものは良いことしか書いていないに違いないし、そういう「読む」はほんとうの意味で「読む」と言えるのか、と大して期待していなかったのですが、どうしてどうして、なかなかしっかりとした内容でした。造本も悪くないし、100円くらいの値段だったら買っても良いと思うくらいでした。

ただ、すべて既出の文章の寄せ集めですので、すべて読んだことのある方もいらっしゃると思います。かく言うわたしも4点ほど読んだことがあるものでしたが、最後の河合隼雄さん(倒れられる前。映画、ご覧になっていたのですね。ひところ、『ゲド戦記』の映画を見たショックでお倒れになったらしい、とまことしやかにささやかれておりましたが…(笑))と宮崎吾朗監督の対談だけでも読めてよかったです。

内容は以下の通りです。

 ・この本『ゲドを読む。』のおいたちなど。 糸井重里
・『ゲド戦記』の愉しみ方 中沢新一
・『ゲド戦記』のなかの心に染みることば
いくつかの重要な『ゲド戦記』論
 ・私の好きなファンタジーノベル 宮崎駿
 ・『ゲド戦記』と自己実現 河合隼雄
 ・雄々しき少女、アーシュラ・K・ル=グウィンとわたし 清水真砂子
 ・とても大きなものを 上橋菜穂子
 ・見えない言葉--『ゲド戦記』に託されたもの 中村うさぎ
 ・もうひとつの風待つ。--『ゲド戦記』映画化にむけて 清水真砂子
 ・『ゲド戦記』の魔法 佐藤忠男
 ・均衡を崩す扉があちこちで開いている今、若者に必要な物語は何か。 対談…河合隼雄×宮崎吾朗

一番読み応えがあるのが中沢新一さんの論文です。特にはっとするような目新しいことではないのですが、「なるほど」と深くうなづかせるような説得力があります。人類学者としてル=グウィンの深い素養と相通じるものがあるのだろう、ということが伝わってくるよい文章だと思います。

そして、もしこの冊子が『ゲド戦記』未読の読者に向けられたものなのだとしたら、こんなもの読まないでいいから(おい)、とにかくがたがた言わないで『ゲド戦記』読んで。いいよ。『ゲド戦記』は。
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by n_umigame | 2007-06-08 16:42 | *le guin/earthsea* | Trackback | Comments(0)
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