*さいはての西*

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『裁くのは誰か?』 B・プロンジーニ&B.N.マルツバーグ・著/高木直二・訳(創元推理文庫)東京創元社

★☆★☆未読の方で今からこの本を読もうと思っている方は、ここで回れ右をオススメです!★☆★☆


クレアは怯えていた。合衆国大統領として任期終盤を迎えた夫ニコラス。だが、ここへきて支持率は急落、党内には深刻な亀裂が生じている。不吉な予感を告げる秘書の言葉にも、高まる不安を抑えることができない……。やがて大統領の身辺を襲った連続殺人。異色コンビが驚天動地の大トリックを仕掛ける、掟破りの傑作長編登場!


ミッキー・スピレインの『裁くのは俺だ』にタイトルが似ていることから、何の根拠もなく、「ものごとは撃てば解決する」と思いこんでいる助平でアル中の私立探偵が主人公のミステリなんだろうな…と思っておりました。(←おい。)
しかし先日「あー何かおもしろい本はないかないかー!!」と、いつものように小一時間くらい書店内を徘徊してしまったあと、ふと平積みになっているのが目に留まり、ぱらぱらっと見てみるとハードボイルドではなさそうです。
しかもフーダニットがらみのサスペンスぽいです。
うん、気軽に読めそうだし、出張のお供にいいんじゃない? と、出張先で読み始めたところ。

読後、大笑いしながら、思いました。
言いたいことがいっぱいあるわ……と…。

↓以下全面的にネタバレ!!



これはクリスティの『アクロイド殺人事件』がアンフェアだ!とおっしゃるような騎士道精神の権化(?)のようなまじめなミステリファンにとっては、壁本決定です。
または、平素ミステリなんか読まない方、この手の本を初めて読む方なら、けっこー新鮮なのではないかと思います。

逆に、ミステリを読みなれている方なら「われわれ」が出てきた時点で多重人格ものだということは察しが付くかと思います。
かつ、大統領夫人クレアとその秘書エリザベスとのやりとりなどから、これは叙述トリックが来るきっと来るとわかると思います。
ですのでトリックとしては、古典で言えばクリスティのあれとクイーンのあれですので、別に目新しいものではないかとは思うのですが、冷静にツッコミを入れると、アンタそら無理ありすぎですよ。と(笑)。
クライマックスでニコラス・オーガスティンの人格とクリストファー・ジャスティスの人格が追いかけっこをするシーンで、二人とも厩番(門番?)に「出会って」いる、ということを、「客観的事実」として描いていますが、この門番が大統領が多重人格者だということを知っていて、お芝居につき合っているならともかく、そうではないですよね? ここはきっちり説明してくれないと。(門番もオーガスティンの「空想上のお友達」なのか??)

まあそんなこんなでいろいろと愉快な問題点のあるミステリ(?)ですが、途中までサスペンスとしての盛り上げ方は上手だし、暇つぶしにはもってこいの作品です。

最後にひとことだけ。
クレアさん…あなた、ご主人が病気てわかってたんですよね。 で、ご主人のことほんとに好きなんですよね。 だったら、ここまで無理させなさんなよ。
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by n_umigame | 2007-07-01 14:26 | ミステリ | Trackback | Comments(2)
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Commented by Yuseum at 2007-07-08 20:27 x
にせみさん、こんばんは♪
この本は、Yuseumがミステリ全般にハマリ始めた時に読みました。
(それまで、ホームズしか読んでいなかったw)
森博嗣san、ご推奨!だったんですよね、オビが。

で、読んで、もう呆気にとられるやら、思わず笑いたくなってしまうやらwww
まさに「平素ミステリなんか読まない方」に薦めたいですね。
こういうのを読むと、ますますハマるんです(^^)

Yuseumにとっては、ニーリィの『心ひき裂かれて』と並ぶ<大バカ作品>(もちろん、褒め言葉)ですが、『心〜』は最初から10分の9くらいは全く面白くないので(笑;今にして思えば、よく途中で読むの投げ出さなかったなぁ・・・。)、こっちの方が好きです(^.^)
Commented by n_umigame at 2007-07-08 21:16
こんばんはー(^^)/
Yuseumさんの想い出の作品をボロカスに言ってしまってすみません……m(_ _)m
最近このコンビの最初の作品『嘲笑う闇夜』を読んだのですが、やっぱりこちらの方が数倍おもしろかったですよ。ミステリのおもしろさはやはりいかに自分が真っ白であるかにも左右されますよね。

『心ひき裂かれて』は未読です~。Yuseumさんのバカミスの殿堂入りしてしまうくらいですからおもしろいんでしょうねえ~うっとり(←……)。ぜひ読ませていただきます!