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『オーメン』 D.セルツァー著/中田耕治訳(河出文庫)河出書房新社

六の月、六の日、六の時刻―待望の初子が死産だったことを妻に告げず、同じ時刻に生を受けたみなしごを養子に迎えた米国大使。その子「デミアン」こそ、黙示録に予言されていた悪魔であった。ホラー映画の金字塔『オーメン』(七六年)の脚本家が自ら執筆したベストセラー小説。

出張先でまたしても読むものが切れ、長距離バスの待合い時間に書店でみつけました。
この有名なホラー映画は、昨年リメイクされていたのですね。知りませんでした。
新旧ともに映画は見ていないのですが、映画のノベライズってくだらない本が多いしどーしようかなー、おいくらですかー、と裏表紙を見ましたら。

666円(本体)。

書店で吹き出しそうになり、河出書房さんの小粋な計らいに「君の瞳に乾杯☆」などと(心の中で)つぶやきつつ、レジに突進しました。
メグレ警視ものと『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズを出してくれただけで、河出書房さんはワタクシの心のミラクル・スター的な存在でしたが、これでまたひとつ伝説が生まれました。(なんのだ)

そして感想ですが、角○書店じゃあるまいし、映画やドラマのくっだらないノベライズで小金を稼ぐなんてまねするわけないじゃないの、河出書房さんに謝れわたし!! 
ごめんなさい。

これは映像で見るとさぞかし怖かったのではないでしょうか。

だいたい「子ども」というのは世界最強の「怖(こわ)アイテム」ですよね。理屈が通じない。悪気がない。だから何をしても罪に問われることはないと知っている(おそらく)。
クリスチャンではない人間にとっては「悪魔が出るぞ」と言われたところでそれは怖くないのですが、しかし、よく考えると、「悪魔の子」をこの世に送り出したのは、狂信的なキリスト教徒である一部の「人間」です。
そして「悪魔の子」がすくすくと育つように助けたのも「人間」です。

内田樹さんが『映画の構造分析』の中で、「モンスターの活動は人間が解錠する」という事実がハリウッド映画には底流している、と書いておられましたが、この作品もそれに該当します。
例外として、「人間が何もしなくても発動する邪悪なもの」を描く物語作家としてヒッチコックと村上春樹を上げておられますが、こちらも言われてみれば確かに……。ホラーの本質としてはこちらの方がコワイですね。
『オーメン』の場合はですから、いらんことしいが何人もいて、しかも彼らも全員滅びるという、「自分で落としたバナナの皮を踏んづけて転んだ間抜けたちの熱きドラマ」であるとも言えます。

リメイクを見た方の感想をブログなどで拝見していると、9.11や中東紛争など、昨今の事件を冒頭に盛り込んで見せているそうですが、人間の責任で起きたことを何もかも悪魔のせいにしたところで問題は解決しませんよハリウッドさん。
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by n_umigame | 2007-07-11 18:08 | | Trackback | Comments(0)
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