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『バチカン・エクソシスト』 トレイシー・ウイルキンソン著/矢口誠訳(文藝春秋)

『オーメン』とくれば次は『エクソシスト』だろうということで、夏のホラー特集(自分内)です。

ところがわたくし、書店でこの本をぱらぱらっと見たときに何に驚いたって、「エクソシストって実在するの!?」という点でございました。
映画『エクソシスト』(こちらも未見)のイメージがあまりにも強く、「バチカンからエクソシストを呼んでくる」というのは、てっきり「お話」の中だけのお話なのだと思っておりました。

著者は図書によりますとLAタイムズローマ支局長とあり、内容はジャーナリストの目から見た現在のエクソシストたちに取材したものです。

儀式の様子(ちゃんとカトリックの典礼に悪魔払いの儀式もあるそうですよ)、実際に「悪魔憑き」になった人のお祓いの様子、悪魔崇拝者たちの引き起こす猟奇的犯罪、教会内部の対立、バチカンから破門されたエクソシストや、精神科医たちの見解など、ジャーナリストらしい公平な取材で淡々と語られます。
主題としては非常に興味深いのですが、しかし、やはり宗教がからんでくるとデリケートな問題であるせいか、著者自身のスタンスが感じられず、読み終わっても取材した人の情熱のようなものが残らない1冊となってしまっており、残念です。

取材が行われたのは主に熱心なカトリック信仰の国であるイタリアですが、「悪魔は実在する」と説く人たちにとって、これが例えば「”キリスト教の悪魔”という概念がない人々」の間でも同じようなことが起きるのか、ということに興味があります。
日本の昔だと「狐」が憑いたり、「妖怪」が憑いたりしたのだと思いますが、この本で語られる「悪魔」とは”人格を持った悪意”のことを指すのであり、「狐」やら「妖怪」やらとはやはり違うように思われます。

そして、内部でも「何でも悪魔せいにするのは人間の責任からの逃避だ」という非難の声があがっているそうで、「だけど悪魔はいるんだよ、別個のもんとして」というスタンスというのが理解できませんでした(笑)。(←いや笑い事じゃないけど)

しかしですね…。
『オーメン』を読んだときにも思いましたけれども、並の下サイズの銀河系のしかもすみっこの方にある吹けば飛ぶよな惑星の上にですよ? シャーレの上の細菌みたいにこまこまと張り付いて繁殖している、宇宙の時間の流れからしたら一瞬以下の命しか生きられない生き物をですよ? そんなもんを天文学的時間を生きられる存在が支配できたところで、「ちっせえ野郎だぜ、おめえはよ」とならないのが不思議ですよね?
てゆうか、シャーレの上の細菌が想像できる「悪」だからスケールとして「そんなもん」なのかもしれませんけれどもね?
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by n_umigame | 2007-07-17 21:00 | | Trackback | Comments(0)
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