*さいはての西*

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『ホーンティング』(1999)

怨霊宿る館に集った人々の恐怖を描いたホラー。シャーリー・ジャクソンの恐怖小説の古典『山荘奇談』(邦訳・ハヤカワ文庫)を映画化したロバート・ワイズ監督の63年作「たたり」のリメイクで、監督は「ツイスター」「スピード2」のヤン・デ・ボン。

ヒル・ハウス。そこは130年前、織物業で財を成した実業家ヒュー・クレインが妻と生まれくる子供たちのために建造した豪壮な館だったが、立て続けに起こった悲劇とその後語り継がれた不吉な噂のために長年住む者がいない不気味な館と化していた。霊をはじめ非科学的な恐怖を科学的に実証する研究を進めるマロー教授(リーアム・ニーソン)は、ヒルハウスを舞台に選び、ある実験計画を立てた。それは睡眠障害を抱えた患者を集め、彼らには真の目的を知らせることなく、館の忌まわしい歴史を伝え、その反応を確かめるというものだった。こうして、病身の母の看護で青春を犠牲にした女性ネル(リリ・テイラー)、洗練されたセンスを見せつける優雅な美女テオ(キャサリン・ゼータ=ジョーンズ)、皮肉屋の青年ルーク(オーウェン・ウィルソン)の3人の男女。館の内部は贅と工夫の極みだったが、なぜかどれも重苦しく不気味だった。そして、宿泊したその夜から館は彼らに恐ろしい正体をみせていく。


シャーリイ・ジャクスンの『たたり』(旧訳題:山荘綺談)の映画化、2度目の作品。
ロバート・ワイズ監督の方はなかなか傑作だったらしいのですが未見です。

今回の作品は、ホラーとしては画面が明るすぎて、おまけに遊園地のアトラクションみたいで即物的な怖さには恐がりのこのわたくしでさえ全然怖くありませんでした。
また、せっかく豪華なキャストを揃えているにもかかわらず、俳優さんたちの持ち味もあまり活かせていない印象で、全体的に中途半端な印象に終わってしまいました。

原作の持つ、シャーリイ・ジャクスン独特のあの「毒」はすっかり抜けてしまっていて、まあこれはそもそも映画で描くのはむずかしかろうという題材ですから仕方がないのですが、せめて母親の介護で青春時代を失った主人公の心理描写や背景描写などはもう少し丁寧に描かれた方が良かったのではないかと思いました。
あとこれは原作とは違うところですが、「子孫が責任持って除霊する」という安直なラストシーンはいかがなものかと。
原作にない改変でこれは良いと思ったのは、あの嫌な姉夫婦の子どもの演技。いかにもしつけできてませんしバカ息子です、という感じに描かれていて、「もう詳しくは言わないけどさ、この子どもの親だよ想像つくだろ?」と言わんばかりで(笑)。あの子、名演技ですね。

主人公の女優さんの「地味で不幸そうな女」もバッチリでした。キャサリン・ゼタ・ジョーンズとそんなに年齢変わらないようなのですが、「華やかではつらつとした女性」との対比がなかなか冴えてました。でも監督が男性だからか、あまりイタタ…というほどではなく。これは原作のほうが痛かったです。

原作では、帰るあても行き場もない主人公が、自分ではほんとうにこの屋敷に残りたいのかどうかわからないけれども、「どこへも行き場がないから、いっそここにいたい」という「魔」に捕らわれたというふうに読めたのですが、この映画では、最後は主人公は幸せそうでしたね。
やっぱり男性の手が入るとこうなるんだなあと感慨深かったです。
何度も書きましたが、女はこうは書かないなあ、男性の方がやっぱりやさしいんだなあ、きっと。と改めて思いました。
女が書くと、「自分で自分の人生を切り開かなかったツケ」を必ず支払わせるような描かれ方の作品が多い気がします。
こういうところが「女は現実的だ」と言われるゆえんかもしれませんが、男性の場合は「そんなこと言わずに夢、見ようぜ。”お話”なんだしさ」で終わるところが、女性の場合は「そんな甘っちょろいことが現実にあるわけないじゃないの。バッサリ。」と言う感じで。

まあ特に、シャーリイ・ジャクスンはそういう人でございます。
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by n_umigame | 2007-08-12 18:00 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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