*さいはての西*

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『Lathe of Heaven ~天のろくろ~』(2002)

『ゲド戦記』のアーシュラ・K.ル=グウィンの小説「天のろくろ」を映像化。近未来でドラッグに溺れる生活を送っていたオアには自分の意思と関係なく現実を変えてしまう力があった。ある日、彼に相談を持ちかけられたセラピストは彼を利用しようと企む。
出演: ジェームズ・カーン, ルーカス・ハース, リサ・ボネ, デヴィッド・ストラザーン, シーラ・マッカーシー
監督: フィリップ・ハース


パッケージにでかでかと『ゲド戦記』のル=グウィンと謳われており、まあ今の日本ではそうなんでしょうねえと思いつつ不調のDVDをなだめつつ(本体が冷えているとなかなかディスクを読み込んでくれず、このDVDも7回くらい「おえー。にー」と返されました…)がんばって読んでくれたわいい子いい子と思って見たら、トップメニューにまで『ゲド戦記』のル=グウィン
なんでこれが今更日本版が発売されたんだろうといぶかしく思っておりましたが、結局「ま、ル=グウィンも『ゲド戦記』で認知度上がったしちょっとは売れんだろ。」ということだったのか…。
しかし『ゲド戦記』も正直、興行成績としては成功したと言えるのかもしれないけど、映画作品としてはごにょごにょなんであって、元々ル=グウィンが好きでないと見ないようなマイナー極まりない原作のドラマに、鬼の首を取ったように宣伝文句に使うって恥ずかしくないのかと思わないでもないですよ。
それに、ル=グウィンはSF作家というカテゴリーに入れられることが多いと思うので(わたしも『ゲド戦記』を読むまでは”「SF作家の」ル=グウィン”でしたし)、ちょっとファンタジーが流行ったからって作家のカテゴリーまでマーケットの都合の良いように変えるなんてこの市場原理主義さんめ★ はあはあ。

まあそんなところにからむのはこれくらいにして、ドラマの感想ですが。
えーーーーーーと。
同じサイファイ・チャンネルでドラマ化された『ゲド戦記』ほどの改変というか原作と呼ぶなというか親でもなければ子でもないというか(?)、そこまでひどくはありませんでした。
けれども、原作の、ル=グウィンにしてはけっこう遊んだね? という感じが全然出ておらず、たった90分程度のドラマを見ているのが苦痛でございました…。
(別の言い方:退屈でした)
何と言いますか、三色そぼろ弁当の卵、鳥そぼろ、桜でんぶ、とあったら、卵の部分しか食べさせてもらえなかったような食い足りなさが残ります。人によっては「いや、わたし、卵しか食べないから」という方もいらっしゃるかと思うので、何が何でもメインは鳥そぼろだと主張する気はございませんが、でも桜でんぶが一番好きで、1色分しか食べられないとしたら桜でんぶだけ食べる方なんかもっと困るでしょう? (例えがわからなさすぎだ)

たいへん静かなドラマなのですが、静かでも「何か起こるぞ」「何か出るぞ」という緊迫感とか目を離したスキに「えっ!?」と思うようなことになっているドラマや映画はいくらでもあるので、静かさのせいではなく、演出のせいだと思います。(あー言っちゃった…)
むずかしいですね。
ブログの感想などをぐるぐる拝見していると、今敏さんがアニメにしたらおもしろそうなのになー、と書いてらした方がいて、納得しました。原作は確かにそんな世界です。

良かったところはジョージ・オアがへなちょこだったところでしょうか。(ほめてますから)

ル=グウィンさん、だいたいマッチョが見るからにキライで、と言うか「マッチョ=男らしさ」だと思いこんでいる男が見るからにキライで、線の細そうな理系の聡明そうなタイプが好きなんだろうなあと思いつつ、そうなるといきおい「殴り合い」とか「ファイト一発」とか体を張った勝負では不利ということになり、ぱっと見、あるいはビジュアル的にはへなちょこということになるのではないかということで、ル=グウィン原作のドラマで主人公がへなちょこ、というところはよくわかっているのではないかと思いました。(ほめてますから)

てゆうか4巻のゲドみたいに、めそめそ泣いててもあれだけ男っぽさとにおいがにじみ出るキャラクターが描ける時点でル=グウィンさんはただ者ではなく、やはり今のハリウッドにそういう「男らしさ」の記号がない以上、今後も映像化はむずかしいでしょう。

とはいうものの、『闇の左手』はいかがでしょうか。
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by n_umigame | 2007-09-23 00:17 | *le guin/earthsea* | Trackback | Comments(0)
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