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『ハートストーン』 ルース・レンデル著/古屋美登里訳(福武書店)

突然の母の死の知らせこそ、それに引き続いて起こる悲劇の序曲にすぎなかった。父の再婚相手の謎の転落死、そしてその父自身までも不可解な自殺を遂げる。15世紀の古い館を舞台にした怪事件の真相が、ポオとギリシャ悲劇を偏愛する少女の日記によって、次第に明らかにされていく。現代ミステリーの第一人者ルース・レンデルの傑作ゴシックロマン。


ルース・レンデルは積極的に読みたい作家さんではなく、一度『ロウフィールド館の惨劇』でこりたはずなのですが、この『ハートストーン』はシャーリイ・ジャクスンの『ずっとお城で暮らしてる』と似ているという感想を見かけ、それじゃ読ませていただかなくっちゃね! と古本屋さんでゲットいたしました。

ルース・レンデルはイギリスでは非常に人気がある作家さんらしく、ミステリチャンネルでも「ウエクスフォード警部」シリーズや「ルース・レンデル劇場」などのドラマが放送されていました。
しかし、どーもこの作家さんの作品とは相性が悪いらしく、瀬戸川猛資さんが「なんというか、ビンボーくさくてヤダ」と書いてらした感想を思い出しつつ、”西のレンデル東の桐野”としてわたくしの心に深く刻み込まれたのでございます。
いや、貧乏なのはいいんですよ。ビンボーくさいのがヤダ、という瀬戸川さんの感想はしかし、共感できます。
で、小説だからかなあ、ドラマはどうだ! と前記の両ドラマを見てみたのですが、「ウエクスフォード警部」はやっぱり、なんか、ヤダなあという感触が拭えず、「レンデル劇場」はワトスンさんことエドワード・ハードウィックが出ていた短篇のみ見たのですが、もし神経系に口があったら間違いなく吐いてたわ(お食事中の方、すみません)というドラマでした。
(余談ですがわたくしは生エドワード・ハードウィックさんを東京のレストランでお見かけしたことがあるのが自慢です。ヴイ。すぐ真横を通りかかられたのですが、とっさのことでタックルをかましてサインをもらう余裕もございませんでした…。)(いやそれサインどころか警察に突き出されますから)

そして、やはりシャーリイ・ジャクスンとは作品性が全然異質なものだと思います。
確かに、前半の主人公の年齢に似合わない幼さ、壊れた様子と読んでいて生理的に気持ちの悪いファーザー・コンプレックスっぷりは似てると言えなくもないかもしれません。(『ずっと~』はシスター・コンプレックスですが)
しかし、レンデルのこの作品は構成としてはミステリです。
ジャクスンの作品はカテゴライズできないのですよ。だから何と形容して良いのかわからず、おしりが座らない感じがして、それが不愉快なのであり、なのに目をそらせないという、名前のわからない悪魔のような魅力があります。
同じように狂気の人間を描いているのに、かたや「在るもの」として受け入れられるのに、かたや受け入れられないというのは、不思議ですね。どちらも読んでいて「いやー!! もうアタシおうちに帰るー!!(⊃△<)。。。」となることに変わりはないのですが…。

また、訳者あとがきでレンデルはアガサ・クリスティと比べられるのを大変嫌っており訳者ご自身も不当だと思うと述べておられますが、クリスティのファンとしても声を大にして申し上げたいと思います。
それは不当だと思うに、一票。 と。

短い作品なのであっという間に読めます。
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by n_umigame | 2007-09-26 22:47 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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