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『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』 ウィリアム・ブリテン著/森英俊訳 (論創社)

巨匠J・D・カーに憧れ、自ら密室殺人を企てる青年。
クイーン顔負けの論理で謎を解く老人。
身に覚えのない手紙を受け取ったアメリカ在住のワトスン。
ユーモラスな結末の表題作をはじめ、「エラリー・クイーンを読んだ男」、「コナン・ドイルを読んだ男」等、ミステリへの深い愛情とあざやかな謎解き、溢れるユーモアで贈る“~を読んだ~”シリーズ全十一編。
付録として,チャールズ・ディケンズの愛読者が探偵として事件に挑む「うそつき」等三編を収録。
EQMMの常連作家ブリテンによる、珠玉のパロディ群をご堪能あれ。


収録作品は以下の通りです。

◆ジョン・ディクスン・カーを読んだ男
◆エラリー・クイーンを読んだ男
◆レックス・スタウトを読んだ女
◆アガサ・クリスティを読んだ少年
◆コナン・ドイルを読んだ男
◆G・K・チェスタトンを読んだ男
◆ダシール・ハメットを読んだ男
◆ジョルジュ・シムノンを読んだ男
◆ジョン・クリーシーを読んだ少女
◆アイザック・アシモフを読んだ男たち
◆読まなかった男
◆ザレツキーの鎖
◆うそつき
◆プラット街イレギュラーズ
「好事家のためのノート」


表題作品がおもしろいらしい、と仄聞していたので一度ぜひ読んでみたいと思っていたのですが、あとでこれは「○○を読んだ○○」というシリーズでいろいろ出ているということを発見し、雑誌などに掲載されたものを古本屋さんめぐりで全部集めるのか…ちょっと気が遠くなっちゃうなふふふん♪、と思っていたところ、論創社さんが1冊にまとめて出してくれました。
ブラボーハラショー高砂や~(←すみません寝不足です)。

で、やはり表題作品が一番(いろいろな意味で)おもしろかったです。

ご覧いただいたようなラインナップではあるのですが、EQMMの常連作家だったということで、どれも優等生的な謎解き短篇に仕上がっていまして、さくさくっと軽く読めます。
ただ、従って、と言いましょうか、特にハメットやシムノン辺りはこじつけくさいかなあ…という感じです。
あと、やはりあまりにも優等生的なできで、「作品の出来不出来はおくとして、この作家にしかこれは描けない」というところが弱い気がします。
例えば、日本で翻訳されている作品だけかもしれませんが、エラリイ・クイーンのような、何を出されても「ま、いっか。許しちゃお。」というような魅力というか魔力というかはないです。大失敗もないけど大成功もないと言いますか。

トリックが一番凝っているのは「ザレツキーの鎖」でしょうか。
え、ほかの作品のトリック?

ですのでカーの場合は密室ですよねやっぱり。
エラリーは失せ物探しですよやっぱり。(そしてあまたあるクイーンの短篇の中から、よりにもよって、あの作品を担ぎ出されるとは…やはり「一度脱いだら末代までの語り草にされる」とうことなんでしょうか…)何か信じられないくらい「ちょっとええ話」に仕上がってますけど、そういう時代だったんでしょうか。

え、だから「トリックは?」って?

アガサ・クリスティを読んだ少年は、ほんとにこんなしゃべり方をする子がいたら2階の窓から捨てたくなりますね。
ジョン・クリーシーを読んだ少女は逆に、むずかしい年頃の女の子がこんなに父親大好きだったら将来どうなんだと、ちょっと心配になりました。

そんな話はいいからト、トリック?

アイザック・アシモフを読んだ男たちは、居酒屋の親父がこんなヘンリーみたいなしゃべり方だったら繁盛しないんじゃないんでしょうか、雰囲気ぶちこわしで。

トリック? トリックの話はもういいじゃないか。な。

えー、再々申しておりますように、わたくしの中では、レックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズはなぜ本格ミステリの作品としてカテゴライズされているのかよくわかっておらず、ファンの方の感想など拝見していたら「ウルフシリーズはキャラ読み小説だから」とおっしゃっていて、そーだったのか、それで良かったのね、と安心していたところ、「好事家のためのノート」で「ウルフの造型自体が当時としては画期的で(中略)ファイロ・ヴァンスや初期のエラリー・クイーンら名探偵がややもすると陥りがちだった、冷酷な名探偵というイメージを一変させた」とあり、こちらもそーだったのか、やはり専門家の体系的な知識はとても役に立つなあと、感心すると同時に、ウルフの位置づけも納得いたしました。

じゃあウルフは冷酷ではないかと言うとどーなんでしょ…。ドラマのウルフはいいやつですけれども。でも「ええかっこしい」ではないことは確かですね。まあアーチーがいるし。(だから何だ)

オチは見えるんですけれども「読まなかった男」など、サスペンス風の作品もなかなかおもしろかったです。
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by n_umigame | 2007-10-02 23:34 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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