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『深夜の逃亡者』 リチャード・マシスン著/本間有訳 (扶桑社ミステリー)扶桑社

危険な男ヴィンスが、看護師を殺害して隔離病棟から逃亡した! 関係者を閉じこめ、恐怖のカウントダウンが進む――サイコ・スリラーの嚆矢となった、技巧的な初期の名作。


リチャード・マシスンを初めて読んだのは最近復刊が出そろった早川書房の異色作家短篇集でした。

この異色作家短篇集が予想よりヒットしたためか、このシリーズに収められている作家の作品が、ほかの出版社からも派生的に掘り起こされていろいろと日本初邦訳が出たりと、それなりにうれしいことになっております。
なのですが、こうやっていろいろ読み比べてみると、やはりさすが早川から出るものはそれなりに粒ぞろいで、少なくともわたくしにとってはあまりハズレなしの安心ブランドである、ということを再認識いたしました。

それはやはり早川書房の代々の編集者の目をくぐり抜けてきただけはある作品、ということで、中には「えーっと。」と思うものもなくはないのですが、それでも平均点をクリアできていないものはなかったように思います。(繰り返しますが好みの問題ですから、あくまでもわたしにとっては、ということです。) 
例えば、たとえが適切かどうかわかりませんが、ローズマリ・サトクリフの作品が、岩波書店から出ているものとその他の出版社から出ているものとの間に、ファンの目から見てもやはり、クオリティの差があることを認めざるをえない、ということだったりします。

で、この作品なのですが、原書が出たのは1953年ということですから、当時にしたらいろいろとがんばったなあという印象です。(同時期のエラリイ・クイーンと読み比べてみても思います)
解説によるとマシスンが3日で書き上げたそうなのですが、確かに。山場が一個しかないジェットコースターのような作品でした。 
同じく扶桑社から出たこの直近の『奇術師の密室』が、山場を作りすぎて結局平坦な印象になっていたことを思うと、たして2で割ったらどうだったのかな、と思いました。

新幹線に乗るんだけど読むもの切れたーー!! というときにつかむと満足かな、という感じです。(しかし読むのが早い人だと2時間もたないかも…)
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by n_umigame | 2007-10-06 15:57 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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