「ほっ」と。キャンペーン

『夜の声』 W.H.ホジソン著/井辻朱美訳(創元推理文庫) 東京創元社

ラヴクラフトが多大な影響を受けた鬼才W・H・ホジスンは、異界への憧憬と恐怖を大海原に求めた。本書は、闇の海に聞こえる奇妙な声が、とある島の怪異を語る傑作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビに覆われた廃船などにまつわる海洋奇譚全7編に、カーナッキ・シリーズの先駆「水槽の恐怖」を併録した。

収録作品は以下の通りです。

「夜の声」
「熱帯の恐怖」
「廃船の謎」
「グレイケン号の発見」
「石の船」
「カビの船」
「ウドの島」
「水槽の恐怖」

自身の船乗りだったときの経験を生かした、「海のホラー」シリーズ。最後の「水槽の恐怖」だけが違います。
正直なところ、「熱帯の恐怖」以下はサルガッソー海を舞台にした似たような物語展開で読んでいて飽きてくるのですが、なにぶんにも発表されたのが20世紀初頭のことですから、当時はまだまだこういったお話が「もしかしたらというリアル」として、読者に感じてもらえていたのかもしれません。

しかし何が怖いと言ってやはり最初の「夜の声」です。
このお話は、星新一さんと福島正実さんの翻案で『マタンゴ』という映画になったそうなのですが、この映画が、ネットで感想を見ているとそれだけで「いやー!!!」となりそうな印象でした。わたくし、ホビットに負けないくらいキノコ大好きなもので、一生見ない方がいいかもしれません。
読んでいていいなあ…と思ったのは、物語の語り手が、人間に対する哀れみを持っていることでしょうか。昨今のホラーではあまり感じません。

彼我の文化の差を感じたのは、タコの描写ですねえ。
キリスト教文化圏ではほとんど食べないそうですから仕方がないかもしれませんが、わたくしなんぞ、巨大タコが出てきた時点で、「船より大きいのか…だったらまず寿司ネタとして何人前取れるかな…残りはニンニクとオリーブオイルできゅうりと炒めてぱぱっとバジルと塩こしょうして食べると美味しいんだよなー、これスパゲッティにあえてもいいし…」と、「捕まえて食う」ことしか頭によぎりませんでした…。
高タンパク低カロリーで美味と、3拍子そろったステキな八本足ちゃんなのになあ。

サルガッソーも、これ、海藻なんですよね。
司馬遼太郎さんが『街道を行く』のシリーズでアイルランドに行かれたときに、島国でこれだけ海藻が採れるのに、あの大飢饉のときにさえ誰も「食べる」という発想がなかった、と書いてらっしゃいましたが、こちらもキリスト教文化圏の人は食べないようですねえ。
わたくしなんぞもちろん、「そんなに船が遭難するんだったら全部刈り取っちゃえばいいのに…これが高級利尻昆布だったら湯豆腐一人何丁食べられるかなあ…残りは梅酢こんぶにしてキオスクやコンビニで売れば……うふふふ…」としか思いませんでした。
ミネラルの宝庫なのになあ。

もちろんウナギが出てきたときも(以下略)。

…日本人って幸せ?
[PR]
トラックバックURL : http://fwest.exblog.jp/tb/6493389
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by n_umigame | 2007-11-02 19:47 | | Trackback | Comments(0)

Welcome. 本と好きなものがたり。


by n_umigame
プロフィールを見る
画像一覧