『人生劇場』 三浦しをん著(新潮文庫) 新潮社

会社の同僚が「おもしろいよ」と貸してくれました。
宮沢章夫好き仲間なのでそれはおもしろそうだと期待して読み始めましたら、うわーっははははははは!! せっかく治った扁桃腺炎が再発するか思うくらい笑いましたよ。

三浦しをんというと、「BL好きらしい」ということで敬遠していたのですが(同じ理由でよしながふみも敬遠していましたが)、ぜーんぜん、だいじょうぶでした。(とはいえ、ちょっと「香る」ものはありましたが(笑)。大塚英志さんが看破したごとく、“彼女たち”はその気になれば夫婦茶碗でもいい、のですよ。きっと。)

三浦さんは、自分は観察者の目で世の中を眺めていて自分の人生として世の中にコミットしない、というようなことを書いてらっしゃるのですが、高村薫さんが同じようなことを書いてらしたことを思い出し、印象的でした。
「観察者の目」を授かるから作家になるのか、「観察者でしかいられない」から作家になるしかなかったのか、そのあたりのことはわかりませんが、すばらしいエッセイを書く人の「目」は、日常のどんなささいなことでも、あっと視点を転換してみせる、そのアクロバティックな才能に裏付けられていることに違いはありません。

三浦さんや宮沢章夫さんはそれを「笑い」へと韜晦するのですが、「笑い」もまた客観性--冷静な視座--がなければ生まれないものです。

三浦さんのこのエッセイには「妄想の爆走がおもしろい」というような感想が多くよせられているようなのですが、ただ個人の妄想を垂れ流しただけのものであれば、エッセイとしておもしろいわけがありません。
そこに、三浦さんが自分自身を「見て」いる、冷めた視線があるからこそ、第三者も読んでいておもしろいのだと思われます。

…しかしなあ…「2週間くらいお風呂に入っていなさそうな小汚いアラゴルン」についての愛はいいが、あれ、2週間できかないかもよ?
それにあれはスクリーンの中にいるから無害なのであって、それこそ同じ電車の車両に乗ってきたらあとで車両ごとはずして洗うくらいのいきおいでないと、そーとーにおうんでないかと愚考いたす次第でございますがいかがでしょう。
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by n_umigame | 2007-12-23 15:10 | | Trackback | Comments(0)

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