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*さいはての西*

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ムンク展

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ムンク展を見に行ってまいりました。
ムンクの作品は、あの、人物の空洞のような目をじっと見ていると深淵に吸い込まれそうでおそろしいのですが、こわいようこわいようと思いながらも見つめずにいられない力があります。

ポストカードの、「吸血鬼」という作品名を他人がつけたらしい作品はわたしの好きな作品なのですが、女性が男性を包み込んでうなじにキスしている絵にしか見えず、どこが吸血鬼なんだかよくわかりません。
悪い女にひっかかってえらい目に合わされたか、女性恐怖がある人がつけた作品名なのでしょうか。

今回の展覧会は心理学的に解釈されがちなムンクではなく、装飾画家としてのムンクというテーマで集められたそうです。
そんな一連の作品の中で、歯医者さんが「子ども部屋用に」と依頼した絵で、依頼主から「あなたの絵は男女の愛を描いたものがけっこうあるけれども、子供用の部屋にそれはやめてね」と釘をさされていたにもかかわらず描いちゃった、という絵があり、笑いました。
もちろん、依頼主は突っ返したそうです(笑)。ムンクさんったらこのど助平さんめ…(笑)。

しかし、お金になるとわかっていても、つい自分の描きたいものを描いてしまう、描かずにはいられない、というところが、画家の画家たるゆえんでもあるのでしょう。
見ていて、解説がなければそれと認識できない作品もたくさんあるのですが、言葉で説明できれば絵なんか描かないでしょうし。

とあるチョコレート会社の食堂には今もムンクの一連の作品が飾られているそうで、ビデオで見せてくれていました。
しかし思うのですが、作品としてはすばらしいと思うものの、ムンクの絵はいくら明るい色調で描かれていても、食欲がわく絵かどうかと問われるとたいへん微妙です(笑)。わたしだったら「寝る前にゴヤの晩年の作品を見て寝ろ」と言われるくらいどっきどきです。

こぢんまりした展覧会でしたが、なかなかおもしろかったです。
by n_umigame | 2008-02-02 15:38