*さいはての西*

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『ともしびをかかげて』ローズマリ・サトクリフ作/猪熊葉子訳(岩波書店)

衰退したローマ帝国は、450年にわたるブリテン島支配に終止符をうつ。地方軍団の指揮官アクイラは、悩んだ末に軍を脱走し、故郷のブリテン島にとどまることを決意するが、そこから息づまるばかりのドラマが展開していく。

  意志を貫いて生きることの厳しさ、美しさを描く、壮大な物語。『第九軍団のワシ』 『銀の枝』につづく、ローマン・ブリテン4部作の3作目で、カーネギー賞受賞作です。

  解説は、この物語がご自身の作品や人生に影響を与えたという、作家の上橋菜穂子さん。必読です!(岩波書店HP/岩波少年文庫版紹介より)


ついにこの作品も少年文庫に入ったのですね。

何というか、感無量です。

わたしが持っているのは単行本ですが、サトクリフはすぐ品切れになったり図書館にもそろっていなかったり、あってもH書房の山○史郎訳のものしかなかったりで、歯がゆい思いをしておりました。

このお話は主人公アクイラが青年のころから始まり、激動の時代を踏んだり蹴ったりの目に合いつつ、いろいろな人と出会い、生き延び、やがて自分も父親になっていくお話です。

このブログでも以前書いたかと思いますが、この物語を読んだときほど、清水真砂子さんが書いてらした、「児童文学は”それでも人生は生きるに値する”ということを知る文学である」という言葉が浸みたことはありません。

「それでも」生きるに値する、であって、「だから」でも「もちろん」でもないのです。

もし子どものころこの作品に出会っていたら、自分の青春時代はもう少し楽に抜けられたのではないかとさえ思ったこともありました。
アクイラは、絶望の果て、もうだめだ、もういやだ、いったい人生に何の意味があるのだ、etc,etc,をこれほど体現したキャラクターもめずらしい、と思うほどさんざんな目にあう主人公です。
それでもアクイラとともにこの物語世界を生き抜いて突き抜けてエンディングまでいっしょにやってくると、「それでも人生は生きるに値する」のだと、苦い思いとともに実感することができると思います。

また、サトクリフの作品はどれもキャラクターが良いのですが、この作品は突出していると思います。単純に「いい人悪い人」に分けられないのはもちろん、ひとりひとりが自分の人生を背負い、真剣に向き合って生きている様が小気味良いのであります。

少年文庫は4月16日発売なのであと少し間があるのですが、皆さん、物語を読むのがお好きでしたらこれはぜひぜひ、ケーキセットかパフェを2回ガマンしてお手元にどうぞ置いてください。
んもー『ゲド戦記』から始まってあんたは岩波書店のまわしもんかと思われそうですが、ううん、もういいの、思われても。
だから読んでくださいね。

(*ただし、ある程度心身共に体力があるときの方がオススメかもです(笑)。受け止める側にもある程度ガッツが求められる骨太な物語ですので。)
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by n_umigame | 2008-04-14 19:40 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by tonikakuusagi at 2008-04-14 22:46 x
にせみさま、こんばんは。コメント受付再開をお祝いしたいところではありますが、痛々しい日記でした。ほんとに風邪はとっとと治すに限ります…お大事にしてください。
 そうなんです!サトクリフ次々と文庫落ち(と云っていいのか)してますね〜。私もサトクリフにはもっと若いときに会いたかったと思います。今でも職場で若者に薦めるのですが、なかなか普及しないのがつらいところですが、文庫落ちを機に、再び挑みたいと思います。映画はどうなったんでしょうね〜
Commented by n_umigame at 2008-04-15 02:43
さっそくのコメントありがとうございます(^^)/

いろいろとお見苦しいところをお見せしております。
あまりのことにネタとして自分を笑うしかない状態で(笑)。

そう言えば『第九軍団のワシ』、映画はどうなったんでしょうねえ。
サトクリフは特に岩波のものはへヴィ級作品が多いので、気軽に誰にでも勧めるということはわたくしもできませんが、もう少し話題になってもいい作家さんだと思いますよね。