*さいはての西*

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『ナポレオンの剃刀の冒険』  エラリー・クイーン著/飯城勇三訳 

(論創海外ミステリ 75 シナリオ・コレクション 聴取者への挑戦 1) 論創社

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エラリイ・クイーンのラジオドラマの脚本集・第1弾。です。(強調。)
やっと感想をアップできました。

発売早々手に入れていたのに、いざ手元に来てみたら、「もももったいなくて読めん!!」 と、しばらく文字通り寝かせておきまして、1話読むごとに「あー、もう、ひとつ読んじゃったよう」と泣きながら、そうだ、短篇集なんだから一晩いっこずつ読めば8日は楽しめるじゃないか、と思いつつも、「あーおもしろかった。もういっこだけ…」「あともういっこ。」「これで今日は最後ね。最後だからね。もういっこ」…と、全編一気読みしてしまいましたとさ。あほー(泣)。
クイーンにはまりたてのころ、一晩に長編2冊ずつ読んで寝不足でふらふらになっていたあの幸せテンション再びでございました…。

さ☆て!
内容ですが、トリックはすでにクイーンがどこかで使ったことがあるネタもいくつがございまして、それはご愛敬なのですが、やはり一番の逸品は原著の表題作「殺された蛾の冒険」ではないでしょうか。
次に好きなのが「ブラック・シークレットの冒険」ですが、これはわざわざタイトルをカナ表記にしてあるところが、実は…という作品です。
「悪を呼ぶ少年の冒険」はドルリー・レーンシリーズのあの作品を読んでいる読者にとっては、それが最大の叙述トリックになるかもしれませんが、逆に言うと…ということで。

ラジオドラマのシナリオをそのまま収録してあるのですが、中のいくつかはノベライズされているとおり、短篇としても十分通用するほどのしっかりとした謎解きになっていて、楽しませてくれます。
エラリイの好物、「失せもの探し」や「言葉遊び」など、繰り返し使われる手法が使われているということを別にすれば、ドラマの視聴者に、つまり耳で聞いているだけの人にわかりやすく、かといって小説として書き起こしても遜色のないような、ひねりのきいたプロットは、クイーンのエンタテイナーとしての手腕が十二分に発揮されていると思います。すばらしいですね。

何より、このラジオドラマのシリーズは、ニッキーが登場して、ニッキーとエラリイのやりとりが全体にコミカルで明るいのが良いです。
あと、ヴェリーがお笑い担当に徹しているのですが、「殺された蛾の冒険」の冒頭でクイーン警視に「その元気はステーキのために残しておいてくれんか、ヴェリー」と言われるヴェリー、そして、同じく警視に、やさしく「おまえはどうする?」と聞かれるシーンが、最高ですよー!! 夜中にひくひくふとんのなかで笑いもだえました(笑)。
エラリイとニッキーの電話のやりとりを横で聞いていたパパがぽそっと「うそつき。」と言うところも笑いましたー。
これでもー少し、訳が、クイーン警視がふつうのしゃべり方だったら言うことありませんでした。ここまでわざとらしくじーさんくさいしゃべり方にしなくても…(涙)。

それと、これは前から少しなぜかしら?と思っていたのですが、ラジオドラマのエラリイは、やけにパパのことを褒めるんですよ。(パパのいないところでですが。)
え? そんなことに気がつくのあんただけだって?
だってさ。うれしいから!(*>∀<*)(も、だまらっしゃい。)
「父上はすばらしい人ですな」「ぼくもそう思います」なんて、日本人だったら、身内が褒められたら謙遜してみせる方が好感が持たれる対応だと思うのですが、アメリカでは家族を大事にしています、とアピールする方が信用されるということがあるようなので(だから家族の写真を持ち歩いたり会社のデスクに飾ったりするらしい)、だからかもしれません。んが。 照れるなー。(*>∀<*) (って、なんでアンタが照れるのさ!)

そんなこんなで、すばらしくも新しいネタをありがとう、エラリイ・クイーン!(そこかー!!)
第2弾も楽しみに待ってます!!
(この本の人気があったら第2弾を出すそうですよ。
そうとは知らず、この2500円+税という高価な本を、なぜだかうっかり2冊も買ってしまったわたし。はめられたー!!(いや自分がうっかりしていただけです))

あんまり楽しかったので、やっぱり原書も買っちゃったですよ。原書もソフトカヴァーなのに22ドルもするんですよ(泣)。
今回未訳のお話をざざっと読んだら、(わけあって)ヴェリーと警視が「ディック」「トム」って呼び合っているお話があってもー大コーフン!!(だからもうだまらっしゃい) 警視に「この、お猿!」と言われて、ちゃっかり「この、お猿!」とどさくさに言い返してますよヴェリーったら。警察みたいなウルトラタテ社会でそれってオッケーなの? いや、上司にいろいろ言いたいことがあるのはよーくわかるけれども。わかるけれども、読んでいて思いましたね。
2人のかけあい漫才はエラリイとパパのそれをもしのぐ破壊力があるかもしれません。お笑いの。

*ところで、「ナポレオンの剃刀」は現在でも購入できるようです?
こんな記事がありました。→ナポレオンの剃刀
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by n_umigame | 2008-05-12 23:32 | *ellery queen* | Trackback | Comments(4)
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Commented by bbs-take at 2008-05-16 00:16
トラックバックありがとうございます。
こんなラジオドラマがあったんですねぇ。
チェックしてみます。
それでは〜
Commented by n_umigame at 2008-05-17 16:53
こちらこそ貴重な画像を拝見できました。
やはり百聞は一見にしかずで、イメージをつかむには画像ですね。
ありがとうございました!
Commented by Yuseum at 2008-06-03 21:41 x
遅ればせながら、第1弾!よかったですよね~♪
(「よかった」という言葉では表せないくらい!)
Yuseumも少しずつ読むつもりが、一気に読んでしまってw
<黒秘>には、ぶったまげてしまいました。

ナポレオンの剃刀の実物も参考になりました。
第2弾も間違いなく出るでしょ~。
Commented by n_umigame at 2008-06-05 20:53
第2弾も楽しみですよねっ!! ”Black Secret・・・”は「なるほど、そう来たか!」という感じでした。

ところで、この感想を書いたときYuseumさんのところにトラバさせていただこうと思ったのですがうまくいきませんでした。せめてコメントを残そうと思ったら、今度は重かったらしく開きませんでした
(´‐`)
Yuseumさんのところお札貼ってある……と、すごすごと泣きながら帰りました。