*さいはての西*

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『裏切りの銃弾―刑事エイブ・リーバーマン』 スチュアート・カミンスキー著/棚橋志行訳 

(扶桑社ミステリー)扶桑社
深夜、老刑事エイブ・リーバーマンに事件の報がもたらされた。同僚の警官が、自分の妻とその不倫相手を殺害。しかも、爆弾を所持してビルの屋上に立てこもり、パートナーである警部の身柄を要求する。緊迫した事態に、警察内部のみならず、マスコミ、政治家もからんで、関係者の思惑は複雑にもつれあう。犯罪者となった同僚と虚々実々の駆け引きを繰りひろげながらも、リーバーマンにはもうひとつ、気がかりな事件があった…円熟の名匠が犯罪と人間模様をじっくりと描きだす、注目のシリーズ第3弾。


「第3弾」とありますが、シリーズ2作目です。
翻訳が出るときに『冬の裁き』(3作目)→『愚者たちの街』(1作目)→『裏切りの銃弾』(本作/2作目)という順番だったからこのようなあおりになったようです。
(理由はきっと、やはり『冬の裁き』のクオリティが一番高いからということなのでしょう)

1作目に比してさらにキャラクターは厚みを増し、物語はさらに複雑に。
エル・ペロの使い方など、リーバーマンの「目的のためなら」という仕事の仕方が、ある意味、一番浮き彫りになっている作品かと思います。
リーバーマン、渋さ、さらに、倍、でございます。

物語には直接関係のない、登場人物たちの会話が、相変わらずいいですよ。

「おれの娘だけあって、おまえはじつに手が焼ける」
「それだけ?」彼女は、むっとしたように小声でたずねた。

「おれは、おまえを愛している。子どもふたりを連れて夫のところを出てくることで、おまえが幸せになれるとは思えんが、なんともいえん。ひとは幸せになれてあたりまえなのかどうか、おれにはわからない。ひとは、満足すべきときに幸せを探して回り、それは見つからない」

「父さんは、幸せ?」
「まあな……。深いよどみとうずたかい注釈つきではあるが」彼はいった。「不幸ではない」

「ありがとう、父さん」彼女はうめくようにいった。「ベッドにもどるわ」
「どういたしまして」リーバーマンはいった。「自分がなにをいったのかわからんが、役に立ててよかった」


さて、しかし。
今回の大盛り上がり(自分内)は、やっぱりハンラハンです!
3作目『冬の裁き』で大盛り上がり(自分内)のシーンにつながるDV夫から逃れてきた母子を、今回ハンラハンが自宅にかくまうのです。何と言いますか、カンタンに言ってしまうと、ハンラハンの言動はハードボイルドと言えるかと思うのですが、それらしくないのにそれらしくて、ものごっつ、カッコイイですよ……。はー。

著者のカミンスキーは、映画やテレビドラマの脚本を書いていて本来こちらが主なお仕事だったようです。代表的な作品は『CSI:NY』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』。
『CSI』は見たことがないですが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は、うーん、なるほどという感じです。
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by n_umigame | 2008-08-03 21:42 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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