*さいはての西*

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『怖い絵』 中野京子著(朝日出版社) 

読み終わった後、もう一度絵を観てください。ドガ描くプリマ・バレリーナが、ホガース描く幸せな家族の肖像画が、ブロンツィーノ描く『愛の寓意』が、一変します――名画にひそむ、心胆寒からしめる恐怖の物語。本書を読めば、絵画の見方が変わります。


出遅れ感がありますが。
1の方です。

おもしろかったです。
でもって、本当に怖かったです。

この中で、やはりどれが怖いって、やはりストレートにゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」です。じっと見ていると、見ている方の心の深淵まで見透かされそうで、この狂気が伝染しそうで、ものすごく、こわいです。

ホガースは、ホガースのイメージが「ジン横町」とかああいったブリティッシュテイストあふれる絵だったので、最初に作品だけ見たときは「ええーこんなきれいな絵も描くんだ。」と思いましたが、著者の方の解説を読むにつれ、「そうだよなあー…あのホガースが”きれいな”絵を描くわけないもんなあ…」としみじみとしみてきたことでございます。

マリー・アントワネットの絵も、怖いというよりは悲しい絵だと思っていましたが、なるほど、描き手の心根の卑しさまでにじみ出てしまうという意味では、そら、こわいです。
芸術の「げ」の字の点の一個を名乗るのもおこがましいものの、くさっても絵と呼ばれるものの切れ端を描く身としては、自分の描くものには、自覚すらないものが隠れようもなく露出してしまうことがあるのだということを、改めて心したことでございます。

ひとつひとつの解説に感想を書くのも無粋な気がいたしますので、ぜひお読みください。
わたくしはあまり絵を「これは何の象徴だからこうだ」という見方で見ることが少なかったので、たいへん勉強になりました。

しかし、芸術作品というものは普遍性を持つもので、それが芸術の芸術たるゆえんではないかとも思います。
あらゆる時代、あらゆる国、あらゆる人々の、あるときは心の奥底に浸み、ある時は自分を映す鏡にもなるものですので、様々な解釈や見方があってしかるべきだとも思います。
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by n_umigame | 2008-10-19 21:17 | | Trackback | Comments(0)
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