*さいはての西*

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『プラダを着た悪魔』(2006)

大学を卒業したばかりのアンディの夢は、ジャーナリストだ。しかしそんな彼女が、ひょんなことから就いたのは、NYの一流ファッション誌の編集長アシスタント。多くの女性が憧れる職業かもしれない。でも当のアンディには興味ゼロの世界。果てはジャーナリストになるため!と職場に向かったのは良いけれど、彼女が手にしたアシスタント職は、生易しいモノではなかった。超カリスマ的な存在として君臨する編集長のミランダは、まさに「プラダを着た悪魔」だったのだ。(goo映画)


あーおもしろかった!
と、観た後に素直に思える王道ハリウッド映画でした。
もちろん王道ハリウッド映画ですからツッコミどころももちろんありますけれども(笑)。

音楽も良くて映像とよく考えて合わせられていて、イントロから引き込まれます。
ファッション業界が舞台なので、途中、コスチュームマンガ?と思うほどくるくると衣装が替わって、それも見る目を楽しませてくれます。どの衣装もとてもステキです。
鬼編集長ミランダの出勤が早まって社員たちの間にばーっと緊張感が走り、ナイジェルが「Guard your line!」と号令をかけてみんなが走り出すところ、本当にこの会社では職場は戦場なんだ、ということが1分でわかる秀逸な出だしだったと思います。

男性にはおもしろくないという感想もちらほら見かけましたが、いや、男性の皆さん、コレ、あれですよ、『愛と青春の旅立ち』。鬼軍曹の元で揉まれてしごかれて一人前になっていく、という話法は同じです。
ただ『愛と~』の方は死人まで出るしでめちゃくちゃ重い上に生臭い映画でしたが。

この映画は働く女性に圧倒的に支持された、というふれこみでございましたが、男女問わず、プロとして仕事をするために大切なことをたくさん教えてくれる映画でした。
そして、自分の身の丈、自分の幸せを考えたときに、自分にとっていちばんいい働き方というのは、なんなのか、という問いもくれる映画でした。

最初アンディは、ランウェイ誌の仕事を自分の本命の硬派なジャーナリストになるためのステップとしか考えていません。
そして鬼編集長のミランダから無理難題をふっかけられて、それができなかったときにミランダに突き放され、ナイジェルのところへ泣きつきます。
アンディが「自分は努力しているのにミランダが認めてくれない」と言うのを受けて、ナイジェルは「君は努力なんかしてない、グチっているだけだ」と叱ります。

このシーンを見て、自分の新人時代をなつかしくも恥ずかしく(笑)思い出してしまいました。
自分は一生懸命やっている「つもり」なんですよね。
それを上司が認めてくれないのは上司が悪いと思いがち。それが新人です。
勤めを続けていると、がんばっているかどうか認めるのは自分ではなく、同僚や上司などの第三者なのだということがわかってきます。

そして「こんな仕事は自分の本当の仕事じゃない」とか「ただの踏み台だ」と思って仕事をしている人に限って、「こんな仕事」「踏み台の仕事」すら一人前にできてない(笑)。そして文句ばっかり言っています(笑)。

どんどん仕事ができるようになって、本当の意味で伸びていくのは、頭のいい人でも要領のいい人でもなく、最終的に素直な人だと言われます。
それは間違いがあったときにすぐ改められ、人の話を自分のこととしてちゃんと聞くからでしょう。
この映画でももしアンディがナイジェルに叱られたときに、こんなところはアタシのいる場所じゃないわ、ちゃらちゃら着飾るしか能がないくせに! と辞めてしまっていたら、アンディは「そこまで」の人間で終わってしまっていたかもしれません。
叱られたときに、まず言われたとおりにやってみる。
そこからアンディの本当の成長が始まったわけですよね。
(ゴーンさんも「就職した会社の企業文化を学ぶことはビジネスマンにとってとても重要だ」とおっしゃってます(笑)。やはりその会社のメンバーとして、守るべきカルチャーがあるわけです。)

また、今までのいわゆる「ワーキング・ウーマン向けメッセージ」というと「ビバ!ハードワーク、ハードライフ!過労死上等!」みたいな、華やかだけれども、偏った視線のものが多かったと思います。(そのような理由でマンガ『働きマン』はあまり好きにはなれませんでした)
例えば、風邪をひいて鼻はズビズビ、体はふらふらになりながらも出勤して、パソコンに向かって「わたしは仕事が大好き、わたしは仕事が大好き(I love may job, I love may job...)」と呪文のように自分に言い聞かせるエミリー、なんてけなげでファイターなんだ、と見ていて泣けてくるシーンでしたが、今まではこんなエミリーみたいな女性だけが働く女として承認されるのだ、という雰囲気がありました。

でもこの映画では、そういう人生もアリだが、「地道に働いて小さな幸せを噛みしめる毎日、ってのもあるんだよ」という、複眼的な視線が、この映画のとても良いところだと思いました。
自分も熱が39.2℃あるときも仕事を休めなかったことがあったので、こういうメッセージがあると肩の力が抜けてとてもありがたいです。


大学を出たてで仕事に伸び悩んで上司にも会社にも不満がある新人諸君、男女問わずこの映画を見なさい(笑)。
もし、「あっ、そっか、人のせいにする前に、まず自分が変わってみなくちゃだめなんだ」と素直に思えたら、きっと今目の前にふさがっている(と思い込んでいる)壁を突破できると思いますよ。
それでもダメだったら、転職退職はそれから考えても遅くないと思います。

ところで、前評判どおり、メリル・ストリープの演技がサイコーでした。
ハリウッド映画の「成功した働く女性」というと、何かっちゃあキーキーギャーギャー叫んでいるというイメージがありましたが、やわらかい静かな声、知性を感じさせる上品な話し方と立ち居振る舞い、(アンディがどたばた走り回るので対照的でした)徹底したS・・・いや鬼っぷり、そして最後の会心の笑顔。
こんな上司の元でやっていけたアンディは、やっぱり性格も明るいし、いじけたところがない、とってもいい子だと思いますが、根本的に非常にたくましい子だったんだと思います。
だって、打たれて強くなるのは、やっぱり鉄だけですよ(笑)。
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by n_umigame | 2009-01-30 20:03 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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