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*さいはての西*

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本棚の中には微妙な想い出がいっぱい

久しぶりに2連休が取れたのですが、入れていた予定がキャンセルになりました。
せっかくなので遊びに行こうかなと思ったのですが、ふと本棚を見ると、何か棲んでるんじゃないかと思うような、我ながらちょっとどうかと思う状態でした。「何か」に呪われて病気にならないうちに少し整理することにしたら、いろいろ出てきました。

別に珍しいものはないのですが、自分が懐かしかったので記事にしておきます。

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↑アイザック・アシモフのイライジャ・ベイリ(Elijah Baley/愛称はライジ)とR・ダニール・オリヴォー(R. Daneel Olivaw/RはロボットのR)コンビシリーズ『鋼鉄都市』『はだかの太陽』『夜明けのロボット』『ロボットと帝国』から、最初の3作。
イライジャとダニールコンビもバディ・ムービーのお約束を踏襲し、最初は大半の人間と同じようにロボットが嫌いだったイライジャが、やがてダニールを認め、互いに深い信頼関係に結ばれた名コンビになっていきます。ロボットのダニールは死ぬことができず、イライジャの死後もその友情を抱えて気の遠くなるような時間を生きることになるのですが(SFですから)、それはまた別のお話。(興味のある方はファウンデーション・シリーズをどうぞご参照ください。こちらもおもしろいです。)
未来のニューヨークから始まるSFなのですが、たびたびミステリ好きにもオススメできるSFとして太鼓判を押される傑作です。未読の方はぜひ。中でもコンビ・ラヴの方には自信を持ってオススメいたします!


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↑パーネル・ホールの「控えめ探偵」スタンリー・ヘイスティングズシリーズから『探偵になりたい』と『依頼人がほしい』。
実はこのシリーズ、1作目の『探偵になりたい』だけを読んだときはそんなにピンと来なかったのですが、NY市警のマコーリフ部長刑事が出てきて準レギュラーになってから物語世界に躍動感がつき、ぐっとおもしろくなりました。特に『お人好しでもいい』でマコーリフがヘイスティングズに仕事を依頼することになるのですが、その頼み方が最高で。ぜひ読んでくださいね。
あ、このシリーズはコメディですから(笑)。上のカバー絵だけ見ているとそうは見えませんが(笑)。日本のカバー絵の方が原作のイメージをよくあらわしていると思います。
日本でももうすぐ始まる裁判員制度の参考に『陪審員はつらい』も良いと思います。自由業の人が陪審員に指名されるとどんなにたいへんかということがよーくわかりますし、アメリカの陪審制もわかりやすく描かれています。
このシリーズは翻訳の田中一江さんの卓抜したセンスに依るところが非常に大きいと思うのですが、”Shot”を『撃たれると痛い』 と訳されたセンスには本当に脱帽しました。主人公のへなちょこさが余すところなく出ています(笑)。
パーネル・ホールは役者になりたかったこともあるそうで、シュワちゃんの映画にもちょい役で出演したことがあるそうです。『サスペンスは嫌い』までは江口寿史さんがカバーイラストを描いていて、とても合っていて気に入っていたのですが、最新作 『休暇はほしくない』から変わってしまいました。残念。
しばらく翻訳が出ていないのですが、お人好しでへなちょこで、時給10ドル(後に少し値上げ。リチャードのケチ(笑)。)で走り回って家族を愛し、いざというときはがんばってくれる(?)心やさしいスタンリーの活躍がまた見たいです。


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↑ジェイムズ・P・ホーガンの「ガニメアン」(巨人)シリーズ 『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』『内なる宇宙』の最初の3作を1冊に合本したもの。
これも「SFミステリ」の傑作として『星を継ぐもの』はほとんど古典となっていますね。次々とあらわれては錯綜する謎また謎を論理的に解きほぐし、やがておどろきの結末が!という部分が本格ミステリの手法と重なるからでしょう。(作中のキャラクター、ダンチェッカーには「数学ができない人間が科学のカタルシスを得るために法律の道へ進むんでしょうね(冷笑)」と言われちゃってます(笑)。
主人公はイギリス人の原子物理学者ヴィクター・ハントなのですが、ハントが原子物理学者という設定が最初の方しか活きていない気が…(笑)。出が多い割には印象が薄いです。…と思っているのはわたしだけかと思っていたら、ファンの間でもそんな意見がけっこう見受けられました。
このシリーズの影の主役はクリスチャン・ダンチェッカーと言っても過言ではないです。ダンチェッカーはアメリカ人の生物学者。最初はもののわかった主人公にへこまされるだけに登場する、「頭の固い専門バカ科学者」として登場させられただけなのかと思っていたら、何の何の。おいしいところは全部ダンチェッカーがかっさらって、ビシ!と決めます。かっこいいよダンチェッカー。おでこは涼しいけど。(大きなお世話だ)めちゃくちゃあくの強いキャラクターですが根はいいヤツで(ハントもあとで認めました)、職権濫用でゾラック(コンピュータの名前。この子もおもしろい)にナンパの手伝いまでさせるハントに比べると、良くも悪くも硬派です。カレンに惚れるなんて女の趣味いいネ!(『内なる宇宙』によるとどうやら結婚した模様。いつのまに。ちょっとちょっと、そのいきさつをぜひ読者に教えてホーガン先生!!)
「戦争」という概念がない遠い星からやってきた、心やさしきガニメアンのガルースもいいです。
ホーガンの地球人礼賛はファンの間でも賛否があるようで、わたくしも読んでいてひっかかる部分があることはあるのですが、エンタテインメントでもあることですので…。


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↑エラリイ・クイーンも2冊。
左はドイツ語版『九尾の猫』、右はフランス語版『ニッポン樫鳥の謎』(『ニッポン庭園の秘密』…
"The Door Between"です)
フランスの本の装幀がシンプルでシックなのに比して、なぜドイツの本はこう…(以下自粛)。


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↑『ゲド戦記』の中国語版。「二十世紀美国青少年幻想小説的経典」だそうです。
……経典。
原書は一番薄い2巻がなぜか一番分厚くて値段も高いです。ちゃんと中を見ていないのですが、"The Tombs of Atuan"に間違いなさそう…。



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↑またしてもMTV DECO STYLe様より。
キレネンコって靴磨いてるとき以外はわりと何か読んでませんか? もしかして活字中毒?(笑)
わーい、おともだ…いや、生意気な口きいてすんませんボス。わたし活字中毒じゃないと思いますええ。
by n_umigame | 2009-04-25 18:37 |