東西冷戦下、英国諜報部<サーカス>のリーダーのコントロールは、幹部の中にソ連の<もぐら>がいるという疑いを持ち、ある指令を出す。しかし作戦は失敗し、コントロールは責任を取って右腕のスマイリーと共に組織を去った。その後、引退したスマイリーのもとに組織内の裏切り者を捜せという極秘命令が下る。スマイリーは秘かに、残った4人の幹部の中から<もぐら>を捜す。しかし、それは自分の辛い過去とも向き合う事だった。
(goo映画)
このダサダサの日本語としても意味不明な邦題だけで話題が一周した感のある『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を見て参りました。
「わかりにくい」「説明不足で不親切だ」という前評判を聞いておりましたが、「サーカスを追われたスマイリーたちが二重スパイの<もぐら>を探し出す」という、ミステリで使われる用語で言えばフーダニット(whodunit)としての部分はきちんと解決が提示されていますし、プロットが破綻しているというわけではないと思います。原作を読んでいるとよくまとめられているという印象でした。
問題は、「なぜ彼が二重スパイになったのか」「なぜ殺されたのか」「いかにして彼が二重スパイであることがわかったのか」という、方法・あるいはプロセス=ハウダニット(howdunit)、動機=ホワイダニット(whydunit)の部分が説明不足ということだろうと思います。
2回目以降1000円キャンペーンをしているそうですが、これは映画だけを2回3回見ても、ハウダニットやホワイダニットの部分を理解するのは難しいのではないかと思います。たくさん詰め込まれているから一度に消化できないような造りの構成ではなく、意図的に言い落とされており、必要な情報は映画作品の外にあるからです。
ですので、映画としては、原作の豪華なPVといった印象を受けました。
隣に座ってた20代半ばくらいとおぼしきお嬢さんは、始まって30分くらいからため息ついたり何度も座り直したりしていて、エンディングクレジットが始まると待ちかねたように、文字通り席を蹴って退館されました。ある意味無理もないリアクションだったかもしれません。
わたくしは絵がたいへんシックで美しいのと、役者さんたちの目の動きや間だけで見せる演技だけで充分満足で、二時間集中して見られました。
また、わたくしは「寸止め」に弱いので、「わざと言い落とす/言いとどまる」というような作品が好きであることも申し添えます。それは受け手がその「言われなかった言葉/事実」を想像して良いということですから。
以下
ネタバレです。
ラストシーンや核心に触れています。ご注意ください。
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