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ごあいさつ

年末年始の過ごし方&一年のごあいさつ!

あと数時間で2007年も終わろうとしております。
大晦日はやっと冬らしい寒さとなった一日でしたね。「寒い寒い」と言いますが、こんな冬の日がやはり好きです。

冬の舞踏会から帰ってまいりまして、今年は何とか大掃除(注:どうしてもしたかったところが掃除できたというほどの意)も間に合いまして、玄関には注連縄も飾りました。
朝はちゃんとゴミも出せたし、そのあとうっかり二度寝して目が覚めたらお昼だったなんてことはないですよ?

なにはともあれ、改めまして、今年当ブログにお越し下さった方、ご覧下さった方、コメントやTBを下さった方、皆皆さまには本当にありがとうございました。

また新年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2008年が皆さまにとってすばらしい年でありますように。
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by n_umigame | 2007-12-31 20:40 | 日々。 | Trackback | Comments(0)

『わが心臓の痛み』 上・下 マイクル・コナリー著/古沢嘉通訳(扶桑社ミステリー)扶桑社

連続殺人犯担当だったFBI捜査官テリー・マッケイレブ。心筋症を患っていた彼は心臓移植を受け、早期引退していた。病院から退院した彼のもとにある女性が現れる。その女性グラシエラによると、いまマッケイレブの胸のなかで動いている心臓はコンビニ強盗に遭遇して絶命した彼女の妹グロリアのものだという‥‥‥。因縁の糸に導かれ、事件の解決にのめり込んでいくマッケイレブが到達した真相とは?『ナイトホークス』でのデビュー以来、ミステリーの最前線を疾走するコナリーが、テーマ、プロット、キャラクター……それらすべてに趣向をつくして、現代ハードボイルドのさらなる可能性を拓いた意欲作!


評判の高かったマイクル・コナリー。以前から読まねば読まねばと思いつつ、「ハードボイルド」という惹句にちょと引きぎみになっていたのですが、ハリー・ボッシュ以外のノンシリーズがあるらしいと知りまして、これを読んでみました。

評判どおりたいへんおもしろかったです。前半は正直少し退屈だったのですが、後半から怒濤の展開であっという間に読めました。
作中、あるキャラクターが「いい本は早く読める」と言っていますが、エンタメに関する限りこれは確かに、その通りですね。(エンタメ以外の本は、一行読んではどーんと来て立ち止まり、一行読んではじーんと来て反芻し、ということもあってなかなか読みすすめないということがあります。)

…とは言うものの、読み終わったとたんに「マイクル・コナリーおかわりおかわりー!!」というふうにはなりませんでした。

ストーリーテリングの巧みさには何の不満もございませんが、上手なストーリーテリングからして端正すぎてお行儀が良すぎると言いますか、主人公マッケイレブを始め、キャラクターが全員、上手な役者が演じているように見えてしまったからかもしれません。

少しくらいプロットが破綻していても、語り口が不器用でも、読者をひきつけて放さない魔力のようなものを持つ作家がいますが、そういった点でマイクル・コナリーは薄口のように思いました。

「退屈はさせません」という保証だけであれば文句なしですが、身体の真ん中があたたかくなったり、しみじみといいなあ…というものを求めて本を読みたい方には別のものをオススメいたします。
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by n_umigame | 2007-12-31 19:52 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

web拍手御礼

お久しぶりのweb拍手御礼です。
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クリスマスの週ってなにかあったのでしょうか…なんだか千客万来だったようで、おかげさまで毎日ぱらぱらと拍手をいただいておりまして、ありがとうございました!

当サークルはたいへんありがたいことに常連さんが多いようで、イベントで新刊と既刊の出ていきかたが全然ちがうのですが、今回の冬の舞踏会は「全部」とおっしゃってくださったかたが多く(注:当社比)(笑)、うれしいながらも理由がわからなかったのですが、あとでふと、もしかしてブログの影響なのかなーと思ったりもしました。

もしそうだとしたら、ブログをご覧の皆さま、ありがとうございます。
本を読んで失望されませんでしたでしょうか。わたくし、絵柄からか何だか誤解されることもあるようなのですが、ど健全&お笑い推奨で活動しておりますので(笑)。

ご覧の通りのこんなブログですが、見捨てられないように今後もがんばりますv
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by n_umigame | 2007-12-31 17:55 | web拍手 | Trackback | Comments(0)

冬の舞踏会・感謝&御礼

無事帰ってまいりました。
関ヶ原あたりで雪で足止めされるかも…という懸念は杞憂に終わりましたよ!emoticon-0100-smile.gif

冬の祭典にご参加の皆々様、お疲れさまでした!

本日スペースにお越し下さった方、本を買って下さった方、差し入れまで下さった方、本っ当にありがとうございました!! ううう。感涙。
おかげさまで今日も一日たいへん楽しく、良い一日でございました。

今回はどういうわけだかまさかと思っていた再録本があっというまに出てしまいまして、午後からお越し下さった方には机の上が何だかわびしくてすみませんでした…。
こんなに出るとは思っていなかったので持っていかなかったのですが、夏の新刊と再録本の在庫はまだまだありますので心配ご無用。通販も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせくださいねvv
冬の新刊はおかげさまで本日でほとんどはけてしまいましたがまだ少しございます。
昨年以前の既刊はすべて完売となりました。感謝ですvvv

今回は会場が比較的暖かかったので、過ごしやすかったですね。

今年一年、いろいろお世話になりました。
ありがとうございました。
どうぞ、良いお年をお迎え下さい。
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by n_umigame | 2007-12-30 23:19 | サークル | Trackback | Comments(0)

あだ名はもちろん

今年最後の出張晩ご飯は某地方のファミレスですにせうみがめですこんばんは。
今、となりに座っているスリムなお姉さんがピンポン鳴らしたのでデザートでも追加オーダーするのかと思ったら、スパゲティをおかわりしました…。
そして見る間に平らげました…。
天晴れだ…。

そりゃ399えんだけど………よく入るなー。かくいうわたくしも人後に落ちぬ和洋中めん食いと自負しておりましたが、さすがにスパゲティは!! これがおうどんとかおそばならまだしも!!

あっ、とか打ってるうちにまたメニュー見ています! わー次は何たのむんですかわくわく!!

つけたあだ名はもちろん、ギ○ル曽根ちゃんでございます。

あっ、オーダーしました! 「アメリカン・チーズケーキ」ですよカルボナーラのあとに!!
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by n_umigame | 2007-12-27 19:11 | 日々。 | Trackback | Comments(0)

『八点鐘―ルパン傑作集8』 モーリス・ルブラン著/堀口大学訳(新潮文庫)新潮社

レニーヌ公爵と名のって、若く美しい婦人オルタンスの前に登場した怪盗ルパンは、彼女を8つの冒険へと誘う。怪紳士レニーヌは、生得の天才的なひらめきと、過去の強盗の体験から身につけた豊富な知識で、無実に泣く人達や、虐げられた人びとを救うために大活躍。最後に、オルタンスの愛も手に入れる。その後のミステリーで定番となったトリックを惜しげもなく繰り出した評判作。


アルセーヌ・ルパン、実は初体験です!
子どもの頃、「「怪盗」とか言われたってつまり泥棒かい?」と思ったかどうかは知れずとも、小学校の図書室に全集でそろっていたのは覚えているのですが、手は出ませんでした。わたくしに「怪盗」の愉快さ痛快さを教えてくれたのはやはり「ルパン三世」であったり「キャッツ・アイ」であったりしたわけでございます。

で、なぜ今更手を出したかと申しますと、前々から、わたくしの大好きなクイーンの傑作『九尾の猫』に元ネタがあるらしいと聞いておりまして、それがこの『八点鐘』に収められている「斧を持つ貴婦人」らしい、と最近知りまして、やっと読んでみたところ………うわ。 な、なにこれ。

お、おもしろい!!

ふつう、探偵役がいかに謎を解くかという部分は論理の飛躍だったりはするにしても、何らかの筋は通っていることが通例かと思うのですが、も、ぜんっぜん通ってません(笑)。
いや、通ってるのですが、そこへいかにして辿り着いたかという説明がなされない作品があまりにも多いです。

それで、よくもまあこんだけルパンの都合の良いようにたったか話を回せるなというくらい、ルブラン御大のペン(だかタイプライターだか)は走るので、「こんなご都合主義の話があるかこのスットコドッコイのコンコンチキめ!」と本を壁に投げつけたくなるはずが、読んでいて全然腹が立たないのですよ。

「そういうもんだ」と思って、つまり、謎解きを根幹としたエンタメを期待せずに読み始めたということもあると思うのですが、率直に言わせていただいて、もうはちゃめちゃです。
なのにイヤミがないのですね。
これはやはり(クイーンやクリスティを読んでいるときにも感じるのですが)、読者にいかに楽しんでもらおうかと脳味噌ぞうきんしぼりにして作品を描いている、作者のエンタメ精神と情熱のなせるわざだと思います。
「わかる人にだけわかればいい」というような排他的な、悪い意味でマニアックなところがない。
これはすばらしいエンターテイナーの共通点ですね。

あと、短篇集なのですが連作になっていて、恋の冒険がないエンタメなんてフランス人には考えられなーいということで(笑)、レニーヌ公爵ことルパンがいかに思い人オルタンスに振り向いてもらおうかというアプローチの仕方、あがりかたも上手ですね。
イギリスや、特にアメリカの作品では主人公の思い人が元、あるいは現役の人妻という設定はあまり見かけないのですが、フランスのエンタメではめずらしくないですね。こういうところにも彼我の違いを感じておもしろかったです。(フランスを代表する冒険譚というと『三銃士』の主人公のダルタニヤン、いっつも狙った彼女はHey、人妻。なぜだ。と思っておりましたが、フランスのお国柄なんでしょうか。)

ほかに比較するものがないのですが、堀口大学の訳もとても良いのだと思います。
レニーヌがオルタンスのことを「お友達」と呼びかけるのが、なんだかかわいくて好きです。

収められている短篇は、いわゆる本格謎解きのトリックの元祖と思われるネタが満載で、これもあれもルブランだったのかーと、ミステリに不勉強なわたくしでさえ知っている有名なトリックが惜しげもなくつめこまれていました。

また、「斧を持つ貴婦人」ですが、これも、1949年に書かれた『九尾の猫』ですらすごいと思っておりましたが、それよりも古い時代にこういうサイコミステリのはしりのような作品があったというのがすごいなあと、パイオニアにはただただ頭が下がるわたくしなどは感心することしかできませんでした。
「あの連中ほどあてにならないものはありませんよ。誰よりもこざかしく、誰よりも我慢強く、誰よりも頑固で、危険で、愚劣かと思うと理論的で、無茶かと思うと整然とした存在はほかにはありませんもの。(中略)何か或る一つの考えに執着したり、或る一つの行為を何度となく繰り返したりするのが狂人の特徴です。」

このレニーヌのセリフの中にほど、コピーキャット、あるいはシリアルキラーと呼ばれる連続殺人犯の特徴を端的に言い得たものはないかと思われます。

それから、『九尾の猫』と『クイーン警視自身の事件』はわたくしの2大好物クイーン作品なのですが、この2作品は同じモチーフの繰り返しと言われていて、前者ではエラリイは失敗し、後者では父親のリチャードがヒロインを助けるのに間に合う、というのは、なぜなのだろうと考えていました。
『十日間の不思議』の次の作品ですから、己を神と思い上がった男には鉄槌が下るもの、というのが定石としても、脇役のクイーンパパはなぜ「命を救う」のに間に合うのかと。
しかし「斧を持つ貴婦人」を読んでみて初めて、この作品の主旋律とエンディングをきれいに分けて作品に仕上げたような感じがして、またこの2作品も読み返したくなりました。

脱線しましたが、ほかにもルパンシリーズ、読んでみたいと思います。
あとがきで「このルパンは何も盗まない」とありましたが、何をおっしゃいますやら、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなた(オルタンス)の心です。ウインク。((c)銭形の父っつあん)というオチで、たいへんさわやかでございました。

たくさん出ているのでしばらく楽しめそうです。わくわく。
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by n_umigame | 2007-12-24 22:04 | ミステリ | Trackback | Comments(3)

『ナショナル・トレジャー』(2005)

4千年の歴史を誇る伝説の秘宝。幾多の戦乱を逃れ、フリーメイソンに守られてきたこの秘宝は、1779年、独立戦争中のアメリカで忽然と痕跡を絶った。秘宝の行方を三代に渡って追い続けてきたゲイツ家の末裔ベン・ゲイツは、その封印を解く鍵がアメリカ独立宣言書にあることを突き止める。ゲイツは公文書館の美人博士アビゲイルに面会を求めるが、彼女はゲイツの情報を信じようとしない。その頃、秘宝を我が物にしようと企む野心家イアンの魔手が宣言書に迫っていた。ゲイツはイアンの裏をかき、宣言書を盗み出す計画を立てるが。


地上波吹き替え版、ただいま見終わりました。(除く入浴30分)(でも話わかった)

ビバ、お宝探し!

以下ネタバレ気味でまいりますのでご注意下さい。含む『インディ・ジョーンズ3』のネタバレ。

「このお宝はおれのポケットには大きすぎらあ」というオチといい、いろいろ小ネタがきいていて、カウチポテトでブログを更新しながら見るにはちょうどいい映画でしたーv(こらー)
いやーマジで『ルパン三世・カリオストロの城』を見てるよこの映画製作者のひと。(ほんまかー)

とうわけで、お宝探し。なんて魅惑的な響き。それが「徳川の埋蔵金」であれ「聖杯」であれ「ローマ水道の遺跡」であれ、も、なんだっていいのであります。

戦うアクション系考古学者というとどうしてもインディ・ジョーンズを思い出してしまうわけでございますが、この映画もインディ・ジョーンズの特に3を思い出してしまうシーンがいくつかありました。
お父さんがまきこまれてからなおさらですが、お父さんが椅子にしばられているシーンは、あの父子で椅子に縛られて大ピンチの大爆笑名シーンを思い出しましたし(この映画でものんきになんかストローでちゅーちゅー飲んで笑いを取ろうとしていましたが、いまひとつでしたねー)、クライマックス、イアンがお父さんに銃を向けたときは「きっとお父さんが撃たれてイアンがベンに『親父を助けたかったらおまえが代わりにお宝取ってこい』とか言うんだわ、わくわく♪」とか思いましたし、「この金髪美人さんはいつ寝返って『ごめんなさ~いベンv』とか言いながらイアンに巻き付いたり(巻き付いたり?)するんだろ、わくわく♪」とか思いましたね。

も、完全に、楽しみ方まちがってますね。

ですがそういう展開になりませんでした。
インディ・ジョーンズ3が笑えるシーンも上手に盛り込みながら、ナチ憎し!の怨念も込めつつみごとなエンタテインメントに仕上がっていたのに比して、やはり壮大な歴史(事実上200年ぽっちとはいえ)をぎゅうぎゅうと詰め込んだわりに大味で終わってしまっていましたが、休日にテレビで見るにはちょうどいいです。

ショーン・ビーンは「またこんな光り物が大好きな小悪党の役?」と思ってしまったのは『ロード・オブ・ザ・リング』の影響ですごめんなさい。

そして、個人的にあの荘厳なアメリカ議会図書館を見られただけで眼福でありましたv
日本にもほしいよあんな図書館。
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by n_umigame | 2007-12-24 00:09 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『ブラジル』 ジョン・アップダイク著/寺門泰彦訳(新潮社)

裕福で無垢な白人娘イザベルとスラム育ちの黒人青年トリスタンは、おたがいを一目見た瞬間、恋に落ちた。だがイザベルの父親が二人の関係を認めるわけがない。追跡と恋の逃避行が始まる…。大都会と原始の姿が混在するブラジルを舞台に「トリスタンとイズー伝説」を現代に強烈に甦らせたピュアでエロティックな恋愛小説。


『ガートルードとクローディアス』がなかなかおもしろかったので、もう1冊アップダイクを何か読んでみよう、と物色していたら、「トリスタンとイズー」をモティーフにした作品があると知り、これにしてみました。
「トリスタンとイズー」ものは出ているとせっせと読むのですが、この作品は・・・・・・・えー・・・これだと「ロミジュリ」ですよ!!
それで、リアリズム小説なのかと思っていたら、『ガートルードとクローディアス』同様、ファンタジーなんですね? 意外と。

欧米では(というひとくくりもどうかとは思いますが)「家族」というチームの核は「夫婦」であって「親子」ではなく、したがって「夫婦」の愛情が薄れたら契約を続行する意味が薄れるので解約する、という非常にわかりやすい上にそれでいーのかとつっこみたくなるような構図になっているようなのですが、この『ブラジル』も、母親になったイザベルの我が子への執着のなさっぷりがこわいですよ…。

トリスタンの方もなのですが、「2人の愛を守ること」だけが2人の本能の至上命令なのであって、2人とも、自分が裏切りでないと思えば誰とでも深い関係になり、ほかの男の子どもを産んでは捨て(好きで捨てたわけではないのですが、結果的に)、「トリスタンとイズー」ものに描かれる身を切るようなストイックな愛とは全然異質なものでした。
恋愛小説というほど恋愛の部分も描かれているとは思えず…あまりにも即物的で直截なラブシーンが多くて、読んでいるとだんだんげんなりしてきてしまいました。

悲劇的な結末もあまりカタルシスもなく淡々と終わりますが、だんだんとこれは「お子さまの発作的幼稚な恋愛小説」を装って、別のものを表現しようとしているのではないかと思うようになってまいりました。
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by n_umigame | 2007-12-23 19:09 | | Trackback | Comments(0)

『ガートルードとクローディアス』 ジョン・アップダイク著/河合祥一郎訳(白水社)

父王の選んだ無骨な男との結婚に難色を示す娘ガートルード。意に沿わぬ結婚生活のはて、次第に夫の弟に心を許していく……。ハムレットの母になる女の心理を鮮明に追った長編小説。


シェークスピアの作品中、おそらく「人気」という点では他の追随を許さないのではなかろうかと思われる『ハムレット』。
この小説はハムレットの母親であるガートルード(ハムレットの父王没後2カ月で義弟にあたるクローディアスと結婚、再度王妃に返り咲く)を主人公に、細やかにその心情を描いていくのですが、……上記の引用したあらすじだけ読んでいるといわゆる「よろめきドラマ」(昭和30年代の流行語)(らいし)のようですが、そういうお話ではないです。

ガートルードは確かに「目の前の人を愛する」達人であろうと思います。
「誰かを愛する」というのはひとつの才能であることにも異議はございません。
クローディアスが自分とガートルードの命を守るために何かをしたらしいということに感づきつつ、「今の幸せ」がこわれるのがこわくて黙っていたり、年頃の息子が理解できないと悩むガートルードは、どこにでもいる平凡な一女性であります。
しかし、その、あまりにも「平凡であること」に過剰に適応しているガートルードに、なんとなく薄気味の悪い居心地の悪さを感じてしまいました。

冷静に考えると--著者があとがきでも引用しているとおり、「殺人が闇に葬られたということを除けば、クローディアスは有能な王、ガートルードは立派な王妃、オフィーリアは素敵な宝物、ポローニアスは退屈だが悪い人ではない顧問官、レイアティーズは若者の見本のような男に見える。ハムレットはこの人たちを皆、死へと引き込むのである。」--ということなのであります。

子どもの頃から読んでいた(子ども向けにリライトされたおはなしでしたが)『ハムレット』から受ける違和感をどう説明したらよいのかわからぬまま大人になり、何種類かの訳でも読み、原典にもあたってくだけてみましたが、やはりよくわからない作品です。
あまりにも解き明かされない謎が多いため、古今東西おおぜいの人をひきつけて、ああでもないこうでもないと解釈してみたくなるのかもしれませんが。

思春期と言うにはとうが立ちすぎのハムレットの、母親への屈折した気持ちが戯曲のキモなのかどうかはわたくしなどにはわかりませんが、ハムレットさえもう少し現実問題に対処する能力が年齢相応に備わってたら、こんなに屍累々にはならなかったのではないかと思います。

ハムレットの年齢も古来研究の対象になっていますが、それでもだいたいほぼ30歳前後か、もしかしたら40代かもしれない、と言われているくらいですから、ふつうに考えたら、どんなに潔癖な性格の男性でも、「まあお母さんにはお母さんの人生があるから新しい彼氏ができたって。それが自分の叔父さん、ってのが、素に戻って考えたらちょっとキモいけど、ま、いっか」となっていきそうなものです。自分も彼女ができたり仕事が面白くなってきたりする年頃ですから、ふつうはねえ…。

「いびつなまでに成熟を許されないキャラクター」というと、わたくしはつい、エラリイ・クイーンの創造した探偵エラリイ・クイーンを思い出すのですが、「うだうだ悩んだあげくに幕が下りれば屍累々」というところも似ているかもしれん…とふと思ってしまいました。
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by n_umigame | 2007-12-23 18:35 | | Trackback | Comments(0)

コミックス3冊

『大奥 第3巻』 よしながふみ著 (JETS COMICS) 白泉社
 ■出ましたー。2巻は家光がかわいそうでかわいそうで読んでいて痛くてしょうがないので「早く吉宗に戻ってくれー」と思っておりましたが、(以下ネタバレ→)戻りませんでした。(涙)
とはいうものの、家光がどんどん花が開くように強くしたたかになっていく様は小気味よいことであります。
また、それぞれの武士道を生きて死んでいくという感じの周辺人物たちも花を添えています。

『ハムスターの研究レポート 8』 大雪師走著 (JETS COMICS) 白泉社
 ■まだ続いていたんだーと感心してしまいましたが、過去のコミックス未収録作品を集めたもののようです。
10年一日のごとき「ハム研」の世界ですが、夜寝る前などに「ほへー」と読んでいると気楽でいいのです。
しかしその一面、大雪さんの漫画家としての才能にうなることもあってあなどれません。小説でもマンガでもうなってしまうような作品は、対象(人間であれ動物であれ)をとてもよく見ているその「目」にやられるということではないかと最近改めて思うようになりました。
そして、エンタメに欠かせない、「たえず読者を意識する目」。これも「自分以外の目」で何かを見ることができる、視点を転換できるという才能のひとつに違いありませんが。

『Danza』 オノ・ナツメ著(MORNING KC) 講談社
 ■書店でうらーと流していて何がうれしいって、「うっきゃー!こんなの出てる!!」という意外なハプニングがあることです。リアル書店よ、永遠なれ…!
さて、特にシリーズものでない短篇集ですが、最後のNYPDの刑事を主人公にした連載が春から始まるそうです。うっわー、楽しみだなvv
最近、あまり海外を舞台にきちんと取材して描き込まれたマンガを見かけない気がしていたのですが、それを、オノ・ナツメさんが、しかも、NYPDだなんて、猫にマタタビですよーv くーんvvvv(それは犬。)
その短篇「パートナー」ですが、けっこう古式ゆかしいハードボイルドです。
こういうのでも今どきの人に読まれるんだなあ。わたくしは大好物でございますが。
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by n_umigame | 2007-12-23 17:27 | コミックス | Trackback | Comments(0)

Welcome. 本と好きなものがたり。


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