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『夜明けの睡魔 : 海外ミステリの新しい波』瀬戸川猛資著(創元ライブラリ)東京創元社

様々なタイプの作品が陸続と出現し、昔の単純なジャンル区分では捌ききれなくなってきた現代ミステリ。“パラダイムの転換”は推理小説の世界でも着実に進行しつつあるのだ。こういう混沌とした状況のなかで、本当に面白い作品を、独特の語り口で紹介しようと試みた俊英・瀬戸川猛資の代表的著作が、装いも新たに甦る。解説・法月綸太郎(Amazon.jp)


YuseumさんとTwitterでやりとりしていて、無性に読みたくなって引っぱり出しました。(この本はいつもすぐ手に取れる場所に置いてあります!)

この本はエラリイ・クイーンにハマったばかりのころ、何か指標になる書評本を探していて出会った本で、今でも宝物です。
”自分にとって参考になる”書評を探すのって難しいですよね。
書評をご専門にされている方だと、おそらく浮き世の義理で言いたいことが言えないこともあるだろうし(笑)、反対に心にもないことを言わざるを得ないこともあるでしょう。かといってあまりにも主観的な書評だとそれはそれで参考にならない。例えば、エラリイ・クイーンのファンでエラリイに女性キャラがからむとそれだけで”作品の”評価を下げる乙女たちの意見はあまり参考になりません(笑)。かといって萌えでミステリを読まない男性の書評が参考になるかというと、そういうわけでもないところが難しいのであります(笑)。

瀬戸川さんのこの本を読んでいて、なぜとても気持ち良いと感じるのかを考えたのですが、おそらく、まずはやはり公平であること。
ご自分の感性に正直であるところ、つまり既存の権威や評価に迎合しないところ。
従って、ものの見方がユニークであること。
ユーモアがあること。(これ大事。)
ユーモアがある、ということは何かを笑い飛ばせる余裕と客観性があるということです。
そして、ものの見方が優しいということです。

「ものの見方の優しさ」と「公平さ」は、例えば、A.A.ミルンの『赤い館の秘密』の評に良く表れていると思います。ミステリとしての評価は先人の評の通り(チャンドラー始めこれがコテンパン(笑))だけれども自分はこの作品が好きだ、なぜならミルンが自分の愛する父親のためだけに書かれた作品だからといった主旨の評なのですが、その裏付けにきちんとミルンの自伝『ぼくたちは幸福だった』も読んでらっしゃいます。
児童文学の研究者でもないのにミルンの自伝を読んでいるというのがすごいなと。(ミステリファンなら基本図書です、だったらすみません…)

「ユーモア」と「公平さ」はヴァン・ダイン評。これ最初に読んだときは大爆笑しました。
爆笑したということは自分も共感したということなのでしょうが、「ファイロ・ヴァンスとかいう、キザが洋服を着て歩いているみたいな気持ち悪い探偵」の部分などは腹抱えて笑いました。もう、まったくそのとおりです(笑)。
しかも探偵としては、「東西防御率の悪い探偵」の西の横綱に輝いたという実績もあるほどで、何人も死んで容疑者の数が2択くらいになってから犯人を指摘するという。(瀬戸川さんは触れてらっしゃいませんが、本筋と関係のない蘊蓄で煙に巻くのも得意で、「ヴァンスが開陳する蘊蓄のほとんどはまちがっている」とどこかで読んだ記憶があります(笑)。意地悪だけど誰かヴァンスの蘊蓄を逐一検証した方とかいらっしゃらないのでしょうか)
返す刀で、それでも「ヴァン・ダインは二十世紀ミステリ界のリードオフマンとして高く評価されるべきである。」として、その理由を述べていらっしゃいます。そしてこれにも納得なのです。

「自分の感性に正直」はエラリイ・クイーンの『Yの悲劇』評です。読み比べてみたとき『Y』より『X』のがおもしろいじゃん、と思ったのですが、なぜこんなに猫も杓子もビバ!『Yの悲劇』!みたいなことになったのかというと、乱歩が好きだったからだと。乱歩に対しても、公平な評をする人だけれども自分の好き嫌いをはっきり述べる人でもある、と率直です。

そして、英国やアメリカのミステリが読後「ああ楽しかった」と思えるのは、「殺人という陰惨な題材だからこそ」読者を楽しませようとするエンタテインメント精神だ、と述べておられます。
日本と英米でのミステリの読まれ方について述べられた部分にも通じるのですが、「日本独特のミステリ読書風土」、「生まじめさと暗さ。トリック嗜好と深刻趣味。気むずかしい顔でミステリを読み、眉根を寄せて『うーむ、トリックが弱い』と呟いている読者のイメージを思い浮かべてしまう。」けれども、ミステリとはもっと愉快な読み方で良いのではないですか? と投げかけておられます。
これは心底同意いたします。
わたくしは日本のミステリにはあまり手が出ないのですが、その理由が、まさに瀬戸川さんがおっしゃっているような理由で、暗くて湿っぽく、またそのミステリ作家さんたちが海外のミステリについての解釈があまりにもしゃちこばっていて堅苦しい、あるいは自論に対して牽強付会と感じたからでした。
日本ほどいわゆる「本格ミステリ」が好まれ、今も読まれている国もめずらしいそうですが(おかげでクイーンの原書を集めるのに苦労しました…アメリカ本国でペーパーバック新刊で売ってないんだもん…)、英米の本格ミステリからスタイルだけを学んで精神を学ばなかったのではないかと思うことが、ときどきありました。

そんな時に瀬戸川さんのこの著書を読んで、この自由で風通しの良いミステリ評に胸がすくような思いをしたのでした。

実は『ホッグ連続殺人』の感想は瀬戸川さんとは違うのですが(笑)、それでもわたくしはこの著書の大ファンであります。

で、なんですか。
この名著が2011年3月28日現在、品切れですと?
東京創元社さん、今震災の影響で、紙やインクが新刊優先に回されていることは知っております。が、落ち着いた頃でもいいので、ぜひぜひ再刊をお願いいたします!
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by n_umigame | 2011-03-28 20:38 | ミステリ | Trackback | Comments(4)

『刑事ジョン・ルーサー』 #2~#4

第一話を見たときは「うーん…微妙だー」と思ったこのドラマ、イギリスでは大人気で続編も製作されていると聞いて「ふーん」と思ったのでしたが、第2話からおもしろくなっていました。


が、第4話まで少し早送りつつぶっとおしで見てしまったので(ぶっとおしで見るな)よけいそう思うのかもしれませんが、シリーズ全体の”ヒロイン殺人鬼”アリスを始め、全員ぶっこわれてるのが気になりました。
いや、全話、登場する殺人犯はシリアルキラーなので「そんなことをするやつはぶっこわれてるに決まっとる」ということなのかもしれませんが、何と言いますかこう、「それを言ったらおしまい」なのではないかと。
もっともらしい理由があれば人を殺して良いということには、もちろん、なりませんが、情状酌量の余地がないような「動機無き連続殺人」ばかりなのですよ。
あと、第2話が顕著かもなのですが、一人ぶっこわれた人がいると、周囲の近しい人間まで壊れていくということなのでしょうか……この悲劇は深いですね。

以下、あらすじはすべてAXNミステリーより。

第2話
ある夜、偽の通報で駆けつけた警官2名が射殺される。ルーサーは、犯人は元海兵隊のオーウェンだと確信。翌日、再び警官が撃たれ、駆けつけた警官隊をビルの上から次々に狙うオーウェンは、その後、インターネットで、服役中の父親を釈放しなければ警官を殺し続けると声明を発表する。


少年にとっては父親はヒーロー…と言ってもなあ。
親の呪縛から逃れられなかった人の悲劇を描いた作品はたくさんありますが、このオーウェンにはあまり同情できませんでした。気の毒だとは思うけど、大人になってからしたことはやっぱり自分の責任だ、というつもりで生きないと、一生「親のせいだ」と言い続けたところで何の建設的解決にもならないと思うのです。それに親が「おれが悪いんじゃない、おれの親だってトンデモ親だったんだ」と言いだしたとしたら、どんどん責任が先送り(というか遡及)されてしまいますよね。どこかで誰かが「自分の責任でここで止める」と腹くくらないと。

ルーサーとアリスの関係が第1話みたいな感じでだらだら続くのかと思ってちょっとうんざりしていましたが、2話からはサブプロット的扱いになり、見やすくなりました。
相変わらず陰惨な内容ですけれども。


第3話
キルスティン・ロスが誘拐され行方不明になり、現場に血文字が残されていた。しかし、その血は彼女のものではなく、10年前に起きた同様の誘拐殺人事件の被害者のものだった。ルーサーは、当時犯人と疑われたものの起訴できなかった、ルシアンを犯人と睨み、捜査を開始する。


犯人の壊れ方がまた激しくわかりやすい感じに。
犯人逮捕のためなら手段を選ばないルーサー。部下からは反発が出ますが、最終的に協力してくれました。
でも危なっかしいなあ。


第4話
一人で帰宅する女性ばかりが狙われる連続殺人事件が発生する。野外で発見された被害者の周りには、共通して囲むように所持品が並べられていた。事件は短い感覚で発生するようになり、ルーサー達の捜査は時間との戦いだった。やがて、タクシーの運転手が容疑者として浮上する。


『華麗なるペテン師たち』("Hustle")のエディーが出ています。犯人です。ちょっと肥えはったけど(笑)。イギリスの役者さんは本当に芸域が広いなあといつも感心してしまうのですが、改めて思いました。
これはオチ(オチ言うな)にびっくり。
第2話もその流れと言えるかもしれませんが、家族の中で誰か一人壊れることでほかの家族も連鎖的に壊れるという悲劇。

しかし見ていて気が滅入る話ばっかりです。
ちょっとしたユーモアでくすっと笑えて気持ちがほぐれるシーンがありません。

2時間ドラマみたいに複雑なプロットにすると一話完結60分弱で回収できないからかもしれませんが、毎回「大勢」「残酷な方法で」「意味もなく」殺されて、その犯人は「精神的に壊れてる人」で、これまた情緒不安定な刑事が対決する、という、同工異曲の繰り返しと言えなくもないです。
何と形容しましょうか、ジェットコースターの最大の下りで体が「ふわっ」としますよね、あの「ふわっ」と横隔膜が浮いたような感じがずーっと続くと言いますか。
「精神的に壊れてる人」のメインはもちろんアリスなのですが、もしかしてルーサーも影響を受けてしまうのかと思うとそれがどきどきします。
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by n_umigame | 2011-03-28 20:32 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

お楽しみ映画"The Three Musketeers"(2011)

『大聖堂』の院長役の俳優さんがアトス役で出演される『三銃士』の新作映画が来る(いつ)らしいヽ(´▽`)ノ…とIMDbにいそいそと出かけましたら、いきなりトップページで予告が!

早速見てみましたら…

スゴイよこれ!!
「時代考証? それ食えるのか?」
と言わんばかりの開き直りSF歴史スペクタクル、しかも、3D。
あはははは、バカバカしー!!!(゚▽゚*)ノ(←ほめてます)

主演はキャスト表の並びでいくと、ミラ・ジョヴォヴィッチ as ミレディー(ウィンテル夫人)(岩波文庫で育った子なのでウィンターじゃなく)。
ルイ13世の時代のドレスを来て、アクションアクションアクションですよ!!
コルセットしててそんなに上半身逸らせて背骨とか肋骨とかイっちゃわない!?とか言ってはいけません。
キャスト表の次点が、オーランド・ブルーム as バッキンガム公爵。
ええええ。
原作のバッキンガム公爵は「堅物だしイギリス人だし、フェロモンが前年比1000%飛んでても涙一つ出ないよーな男だからだいじょーぶ!どんな美女の見張りでもバッチコイ!」と太鼓判を押されてミレディーの見張りについたはずがあっさり陥落。(*注)「こんな免疫ない人のほうが外堀埋められたらかえって収集つかないことになるじゃん」とは誰も考えなかったのかよという展開になるのですが、そのバッキンガムがオーランド・ブルーム。
似合うのか。似合うのかも。

聖職者になるとか言いつつ女性関係の華やかなアラミス(アラミス役の役者さんカッコイイぞ!イギリスの役者さんらしいが知らないなー)とか、女嫌いだとかぬかしつつ四銃士の中で唯一子持ちのアトスとか、20歳そこそこであんた次々と人妻とばっかりのダルタニヤンとか、フランス男の爪の垢ちょっと煎じて飲んどいたほーがよかったのかもねバッキンガムさん。

楽しみです!



→ "The Three Musketeers"(2011) IMDb 
    http://www.imdb.com/title/tt1509767/


*注:てらさまからコメントで教えていただきましたが、バッキンガム公爵ではなく、その部下のフェルトンでした!
お詫びして訂正いたします。
有名なお話なので意外と原作読まないと思いますが、『三銃士』とってもおもしろいので、ぜひ原作もお読み下さい。フランス男の女好きに開いた口がふさがらなくなりますが(笑)、もちろんそれ以外の部分もおもしろいですよ。
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by n_umigame | 2011-03-28 00:01 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(3)

「てをつなごう だいさくせん」

「どーもくん」「こまねこ」などの人形アニメーター、ごうだつねおさんを発起人として「てをつなごう だいさくせん」というキャンペーンを始められたそうです。

ごうだつねおさんの作品の一ファンとしてご紹介させていただきます。

ホームページはこちら。
→ http://www.teotsunago.com/

早速PV(?)を作成してYouTubeにアップしている人がいました。



今のスキンだとちょっと右端が切れてしまうようなので、できればYouTubeでどうぞ~。
→ 「『てをつなごう だいさくせん』応援」
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by n_umigame | 2011-03-25 21:57 | 日々。 | Trackback | Comments(0)

ピピッと買って当てようキャンペーン

3月18日からセブンイレブンで鉄道系の電子マネーが利用開始を記念して、キャンペーンが始まっていました!

「ピピッと買って当てようキャンペーン」
セブンイレブンのこちらのページで詳細がご覧になれます。
→ http://www.711pipi.jp/

電子マネー1000円をひとくちとして、応募できます。
商品は、
A:「陶器スプーン&ボウルセット」
B:「ハンカチセット」

いずれも、Kitaca, Suica, PASMO, TOICA, ICOCA, SUGOCA、それぞれのキャラクターがついています。
かっ、かわいい!!

きっと当たらないけど(くじ運が超絶悪いので)、ひとくちくらいならエントリーできそうですv
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by n_umigame | 2011-03-23 22:10 | ICOCA/イコちゃん | Trackback | Comments(0)

「超人ロック:炎の虎」

このエピソードの前に「コズミックゲーム」という回があるらしい。同人誌だったらしくて未読です。(たぶん…)文庫にダイジェストがついているのですがさすがに絵が時代を感じますねえ。
バレンシュタイン大佐とかあとのエピソードともからむような大事なキャラクターが登場していたようです。手軽に読めないのが残念です。

さて「炎の虎」です。
惑星マイア。
石油の採掘権と引き替えに伯父を暗殺するようゼノン公から依頼されたユニヴァース・プラスチック社の総支配人ラッセルは、海賊アマゾナにその殺しを依頼する。
が、誤ってD弾が落ち、エナ市が壊滅してしまう。
エナ市にいて姉と両親を失ったロック(もちろん義理の家族なのですが)は、エナ市にD弾を落とした人間を突き止めようとしていたところ、マリアンという女性と出会います。連邦情報局のバレンシュタイン長官はロックを連邦の驚異とみなしており、マリアンはロックを監視するように命令されていたのでした。

一方、ラッセルから渡された報酬のロンジット鉱が入ったケースについていた細菌でアマゾナの船「炎の虎」の乗組員たちは全滅。復讐に燃えるアマゾナはまずラッセルを殺し、さらにゼノン公をつけねらいます。
ゼノン公は生前伯父が手配していた「暗黒騎士団」という殺し屋集団と交渉し、今度はロックとマリアンを殺すように依頼します。(が、正直なところこの暗黒騎士団の部分はなくてもプロットは回りますね(笑)。当時の流行とかあったのでしょうか。)
暗黒騎士団を倒したあと、マリアンはゼノン公に射殺されてしまいます。
マリアンがバレンシュタイン長官へのメッセージを偶然聞いたロックは、マリアンがロックを愛しているというのを聞いて怒りを新たにします。(が、正直なところここも唐突な気がします(笑)。)
ロックとアマゾナはいっしょにゼノン公の屋敷に乗り込んでゼノン公を倒しますが、アマゾナはまた海賊として一からやり直すとロックに告げ…。

このころはまだエスパーの数が少ないという設定だったのか(?)、せっかく理解してもらえるかもしれない、と思った人を次々と失うロックというお話でした。
ロックがよく使う「光の剣」はアマゾナが元ネタだったようです。


(ビブロスコミック文庫3)
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by n_umigame | 2011-03-21 21:38 | コミックス | Trackback | Comments(2)

「超人ロック:冬の惑星」

なんとか独立を果たしたかにみえたロンウォールでしたが、ジュリアス・フレイが暗殺され、残された革命政府は烏合の衆に。このどさくさにアルフレッド・クラウスという俗物がリーダーにのし上がります。そこへつけこんだ地球からは連合軍情報部のウィルヘルム・カトー中佐が調整役として派遣されてきます。
カトー中佐自身は、ロンウォールがこのまま100万人単位の移民を継続的に受け入れることは不可能だと思っているのですが、立場上それは言えないので苦しいことに。かといって地球は地球で爆発的に人口が増え続けていて、移民させないと破滅するという袋小路に陥っています。

さて、アルフレッド・クラウスは権力が欲しいだけの俗物ですので、自分のやり方に反対するいっしょに独立運動で戦った同志たちを何のかんのと理由を付けて始末していきます。その中にはロックといっしょに戦ったエレーヌも含まれていました。
またクラウスは、移民を受け入れるだけ受け入れて事故に見せかけて大量に殺す(冬眠状態で冷凍されて地球からやってくるのですが、電源を切って蘇生できなくする)という安直にして鬼畜な方法で問題を解決しようとしますが、「新天地を求めて何十光年も旅してきたのにこれじゃあんまりだ」とカトー中佐は憤ります。
こんな正義感の強い人を調整役として派遣するという事実から、地球政府は何をしたかったのかとちょっと疑問に思いました(笑)。カトー中佐の忠誠心を試しているのでしょうか。いやがらせ人事ですね。いや、地球とロンウォールの一触即発の事態ですから、もちろん能力も見込まれているのだと思いますが。そのカウンターバランスのような、血も涙もない殺し屋も配されています。

一方、ロックはというと乗っていた飛行機ごと墜落して、小さい子供のいる未亡人の家に拾われてごやっかいになっていました。読んでいて思ったのですが、ドライで壮大な世界観のSFなのに人間関係はけっこう浪花節というか古風なところがあって(笑)そこが居心地がいいのかもしれません。
身分(?)がばれたのでロックは未亡人のお家を去って、顔を隠して元同志たちを助けて回ります。でもけっこう瞬バレしていますが(笑)。
せっかく助けた元同志たちですが、結局元の黙阿弥になってしまったことにも戦意をそがれて「もうそっとしておいてくれ」「静かに暮らしたい」「子どもたちはどうしてるかな」と皆さん萎え萎えです。ロックすらもちょっぴり弱気に。
そこへアルフレッドの大量殺人のニュースが飛び込んできます。しかも犯人は脱走した元同志たちということに。「こんな無意味な殺戮が許されるわけがない」と、アルフレッドを倒すために重い腰を上げたロックたちでしたが、仲間の裏切りでエレーヌも含め全員殺されてしまいます。
ロックは怒り爆発、単身アルフレッドの所へ乗り込んでアルフレッドを倒します。こんなあっさり倒せるんなら最初からそうしろよという意見はこの際なしの方向で。ロックはけっこう自分や周りの人が痛い目に遭わないと行動に移らないところがあって、お年寄りだからしょうがないのかもしれませんが(笑)、おかげで物語が盛り上がります。
そこでカトー中佐と鉢合わせしたロックは、自分を地球へ連れていてくれるよう頼みます。

一方、前回の事故で酸欠状態に陥り、地球で入院していたストロハイム大佐は、復讐心に火がついて奇跡の復活を遂げていました。「ニケ」という軍の秘密兵器を盗み出して脱走します。薬で反射速度を上げて使うのですが、身体に負担がかかりすぎて危険なので使用禁止になったというシロモノでした。

地球へ向かっていたロックは惑星探査船のコードを探知します。ロックは単身、探査船に乗り込んだところ、突然ハイパードライブに入ってしまい、座標のわからない所へ飛ばされてしまいました。探査船には即時移住可能な惑星のデータが入っていたのですが航法コンピュータがいかれていて、どうやって持って帰ろうかと悩んでいたところへ船が。助かった!と思って呼びかけたロックのところへ飛んできたのは、ニケ。ストロハイムの執念がロックを見つけました。どこまでも追いかけてくるニケにロックも絶対絶命、というところで奇跡が。
単身ロックを追ってきたカトー中佐に拾われて、探査データは無事手渡されました。

ロックは新しい惑星「トア」への移住を決めました。
トアの人口が500万を突破した頃、ロンウォールによって「銀河連邦」が提案。
持っていった作物がなかなか育たず苦労していたトアでも、やがて芽が…。
長い冬が終わったのでした。

今回のしみたところ。
カトー中佐「大勢の人間が戦って死んで
      結局 ぜんぶむだになった」
ロック「いや ちがう
    結果がたとえどうであれ
    なにかをしようと努力することと
    なにもせずにあきらめるのとでは 大きなちがいがある!」


「超人ロック:インフィニット計画(プロジェクト)」
太陽系外惑星の開発計画のことのようです。
時系列としては「サイバー・ジェノサイド」よりもっともっと古いお話…まだ西暦を使っています。
そのころロックはオーストラリアで、マクミランという家の子になっていました。外見は11歳くらい。
恒星間開発を妨害しようとする者たちに片棒をかつがされそうになるロックでしたが…。

(ビブロスコミック文庫2)
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by n_umigame | 2011-03-21 21:36 | コミックス | Trackback | Comments(0)

「超人ロック:ロンウォールの嵐」

「ロンウォール」とは地球の植民惑星の一つです。
植民が始まってやっとこ自給自足できるようになったばかりのところへ、地球から容赦なくどんどん移民を押しつけてくるのですが、地球から派遣された知事は地球の言われるがまま。ロンウォールの住民は「このままじゃ食えねえ、共倒れだ」と、独立運動が起きます。
ロックは行きがかりでその独立運動に参加して、ジュリアス・フレイの後を襲ってあれよあれよというまにそのリーダーに。
「サイバー・ジェノサイド」でも登場したジュリアス・フレイは、マチコと同じく生体電子工学の技術者で将来を嘱望されていたようですが、あの後思うところあってロンウォールに移住したようです。ロックと出会って16年前と変わらぬ姿にびっくりするのですが、「彼はおまえの父親だろう」と自己完結(でもロック本人だたのですが)。彼がいまここにいたらきっと独立運動に参加すると。
地球からはゲリラ退治と称して「死神ストロハイム」の異名を取るビクトル・ストロハイム大佐率いる地球政府軍の特殊部隊「地獄の降下兵(ヘル・ダイバー)」がやってきます。このストロハイム大佐が執念深いのなんのって…という話はまた次のお話。
とてもよくできた伏線となっています。
やがて連合(太陽系連合)の艦隊がやって来ますが、ロックは一人で迎え撃ち、なんとかロンウォールは独立を勝ち得たのでした。

なんか、ちょっとロックが調子に乗っちゃいましたみたいな回でした(笑)。
人間らしくていいのですが。


(ビブロスコミック文庫1-2)
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by n_umigame | 2011-03-21 21:33 | コミックス | Trackback | Comments(0)

「超人ロック:サイバー・ジェノサイド」

「サイバー」というのは電子機械仕掛けの人間…と説明すると語弊があるのですが、事故などで身体の機能の一部を失った人に、電子機械を生体に埋め込んで補完する技術で甦った人間と言うべきでしょうか。
これまでは死ぬしかなかったような大けがを負った場合も、この技術を使って命を救うことができます。それどころか人間の力をはるかに超えるような怪力を発揮することができたり超高温にも耐えられるように。新しい英雄が誕生した!とお祭り騒ぎになり、最初はうまくいったように見えたのですが、サイバーたちが反乱を起こします。「おれたちは人間だ。軍の道具・兵器じゃない」と。
サイバーとなった人たちはやがて理性を失い凶暴化し、その怪力で見境なく残虐な方法で人を殺し始めます。(原因は不明)サイバーによるジェノサイド(大量虐殺)です。
このサイバーを作ったのは、マチコ・グレース博士。若き秀才です。
最後に一体だけ残った最強のサイバーのレムスを倒しに出向いて、マチコは反撃にあい、死んでいくのですが、ロックに、あれはレムスじゃない、怪物よ「考えてみると あんな怪物を作ったわたしたちの方が 本当の 怪物」と言って息絶えます。

確か初めて読んだ『超人ロック』がこれだったかと思います。
夢の新技術、良かれと思ってしたことが思いもよらない悲劇を生むこと、人間が”怪物”を生む可能性などなど、悲しいお話の中に考えさせられるテーマを幾重にも内包していて忘れられない作品でした。

ロックはマチコの義理の弟という設定で登場します。
ロックが「学校なんかばかばかしいからやめたい」と言ってやめてしまうのですが、サイバーの反乱が起きてから「ごくあたりまえに暮らすこと」が一番良いと思う、とマチコに説得されて、うんそうする、というシーンが好きでした。
しかも、ああこれで平穏で幸せな生活が始まると思っていた矢先に奈落の底へ突き落とす超展開が容赦ないです。

(ビブロスコミック文庫1)
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by n_umigame | 2011-03-21 21:32 | コミックス | Trackback | Comments(3)

「超人ロック」祭り(承前)

「何か壮大なお話が読みたいなあ」と思い立ち、アシモフのファウンデーション・シリーズを読み直そうかと本棚をあさったのですがすぐ見つからず。
代わりに、じゃ『超人ロック』! 
ということで古本屋さんでがばっと買いあさって読み始めたのですが……、ひいいい、な、長い! 読んでも読んでも終わらないよう!!
確か私が中学生のときにすでにけっこうたくさんコミックスが出ていた記憶があり、それも貸してくれていた友人が別の高校へ行ってから続きが読めなくなって(おい)すでにどこまで読んだんだったっけ??という状態です。
しかも、さらに驚いたことには

完結していない。
どころか
現役。
えーー!!Σ( ;゚Д゚)

ちょっと調べましたら、時系列もばらばらに発表されていて、年表があるのでこれも見たのですが、すでに年表自体が大作ですよ…。
呆然とすることで壮大な気分が味わえました。

そんなわけで、せっかく読んだので、ぼちぼちと感想を上げようと思います。
ロック初心者なので、マニアの方や生え抜きのファンの皆さまはどうぞお手やわらかに願います。


中学生の頃少しは読んだはずの『超人ロック』ですが、大人になってから読む方がしみたなあという部分がけっこうあります。
ロックはその不老不死と超人的な力を持つことから伝説的な存在になっているのですが、不老不死でも超人的な力を持っていても人間は人間でしかない、人間である以上間違えることもあり、できることはほんのわずかなことでしかない、というテーマが底流しています。
そんなドライな歴史観と相まって、人間だからこそ不可能だと思われることに向かって努力するのだ、希望を捨ててはいけない、生きている限り希望がある、と何度もくりかえし語られます。


以下、自分の覚え書き。

→聖悠紀オフィシャルサイト http://www.denkaba.com/
作品紹介、キャラクター紹介、年表などがあります。ありますが作品未読で読んでもぽかーんかもしれません。


時代設定:SFな未来。恒星間航行が可能になっている。
最初が同人誌だったためか、作中ではあまり詳しい説明がなくて。
西暦は2500年代くらいまで使われて、その後、宇宙暦に。
太陽系開発が終わった後、人類は太陽系外へ。地球は人口が爆発的に増え、その人減らしのための植民地惑星をいくつか抱えている。それでも移民先が足りずに植民地惑星では暴動や独立運動が起きたり、「そもそも宇宙船があるのが悪いんじゃい」という投げたことを言い出す人が出て大きな戦争になっていくつか植民惑星が消えたりしている。
太陽系連合→銀河連邦→帝国→新銀河連邦(この間2000年くらい?)

なんで「帝国」なのかとか、なんでこんな古代ローマ人みたいなコスチュームなのかとか思ったら、アシモフのファウンデーションシリーズの影響があるようです。アシモフはギボンの『ローマ帝国衰亡史』からファウンデーションシリーズを思いついたそうなので、なるほどです。

主人公:ロック
でもほとんど出てこないエピソードもある。いつ生まれたのか不明。たぶん地球生まれ。
ずっと読んでいると、ロックが永遠に少年ないし青年の姿をしているのは意味があるんだなあと思いました。
技のコピペが得意なエスパー。

エスパー:スーパーナチュラルな力を持った人たち。
初期の頃は人と違うことで差別されたり忌避されたり。つらい。逆に理解者が現れるとほっとします。

ロンジット鉱:非常に稀少で、高価な鉱石。言うなれば激レアアースてとこか。
恒星間航行に欠かせない材料だから、報酬を支払うときに通貨代わりに使われたりしているようです。

ハイパードライブ(HD):恒星間航行を可能にした航法。
「物質は光速を超えられない」という物理法則をいろいろとアレンジしたりぶっちぎったり(笑)した航法がSFではよく出てくるのですが、いずれにせよ物理の素養がないので説明されてもあんまりよくわかりません。てへ。
ハイパードライブが可能になっても人類が移動できる範囲はこの銀河のほんの一部。気が遠くなります。


とりあえず文庫本で読んでみました。
比較的時系列に沿って収録されているようです。版元のビブロスが倒産していて絶版になっているようです。
これも調べて知ったのですが、「超人ロック」が掲載された雑誌はつぶれるという伝説が生まれているようです(笑)。間が悪いだけなんじゃないのかという気がしますが。
本の物理単位で感想を書いてもしょうがないので、エピソード単位にしました。
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by n_umigame | 2011-03-21 21:30 | コミックス | Trackback | Comments(0)