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エラリイ・クイーンのコミックス & 奥さまによるフレデリック・ダネイさん伝記


昨今のハリウッドでのリブートやらリメイクブームに乗っかって、エラリイ・クイーンも再ドラマ化しないかなー何なら映画化でもええんやで…? と、ひっそり前のめりに日々を送っておりますにせうみがめです同じ思いをしていらっしゃる皆さまごきげんよう。


今回は、フレデリック・ダネイさんの奥さまによる伝記らしき本を発見したので、合わせて、先日出たクイーンのコミックスと合わせてご紹介いたします。

と言っても、どちらも全然手つかずで、伝記の方に至ってはほんとにチラ見した程度ですので、「こんなんありましたぜ」以上のご紹介はできませんが。また読み終わったら記事にできればと思います。
と言うか「ほわー! こんな本出とる!(歓喜の踊り)」以上のところに自分が行ってませんので、そんな感じでご覧いただければと。(そんな時点で記事にすんなレベル)

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1冊目はこちらです。
■"Ellery Queen, Detective (a Dell Comic Reprint)"
(リンクは日本Amazonへ飛びます↑)

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書影画像はAmazon.jpより。


ファンの間では垂涎(笑)(笑うな)のレア・アイテム(笑)(だから笑うな)だった、コミックス版のエラリイ・クイーンです。今で言うところのグラフィック・ノヴェルですね。

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ご覧いただければおわかりいただけるように、エラリイが古式ゆかしいアメコミデザインで、初めて見たとき思いましたね。

クラーク・ケント?

でもこういうレトロな絵柄、だいすきです。

毎回毎回無駄に美女がからんで荒唐無稽な大冒険になるのだけれども、いちおうエラリイが推理して事件は解決するという内容のようで、なんとなんと、「読者への挑戦」があるんですよ生意気な。

▼読者への挑戦
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もちろん、クイーン警視もヴェリー部長刑事も登場しますよ。

▼身も蓋もないことを言うクイーン警視。
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「エラリイ、時間を無駄にするな、犯人の名前を言え」

クイーン・パパ、それを言ったらたいていの本格ミステリの名探偵の見せ場なくなりますから。でもすごい気持ちよくわかる。わかるよ。
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クイーン警視も眼鏡男子。
父子が似てるように描かれているところが、いいねいいね!!!

雰囲気としては、1970年代のドラマ『エラリー・クイーン』に似ているかもしれません。最初のファラオの呪い的なお話とか、ドラマにもありましたし。

おおう、なんと、本国US Amazonの方でもすでに絶版に…(泣)。

今回の本は、今まで単品で出版されたものが合冊で復刊・刊行されたもので、プレミア化していた初版のものより、もちろんお値段もお得になっておりましたので、再版がかかりましたらすかさずポチられることをオススメいたします。

▼これだけ入ってます。お買い得❤
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いろいろ言いましたけれど、ほんとうにレア・アイテム(笑)でしたので、よくぞ復刊してくれましたよ、デル。ありがとう、デル。
ほしいけどそのお値段ではちょっと…というようなレアっぷりでしたからね。
にも関わらず、光の速さで品切れ・絶版になるところを見ると、そうとう部数しぼりおったなって感じで、どう「レア」だったか察するに余りあるかと思われますが、とにかくありがとう、ありがとう、デル。



2冊目は、こちら。
■"My Life with Ellery Queen: A Love Story"
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書影画像はAmazon.jpより。


こちらは、エラリイ・クイーンの片割れであるフレデリック・ダネイさんの3番目の(そして最後の)奥さま、Rose Koppel Dannayさんによるダネイさんの伝記のようです。
目次によると、来日されたときのことについても触れられています。2度来日されていたようですが、2度ともについて記述があります。

フランシス・M・ネヴィンズによる序文もついています。ざっと斜め読みした限りでは、この序文はエラリイ・クイーンの作家としての活動の紹介がメインで、デビューに至る履歴や作品の紹介がほとんどを占めているようです。ラジオドラマやTVドラマについても触れられています。めっちゃ長い序文(笑)なので、クイーンについてひととおり知っている人は、この序文はすっ飛ばしてもいいんじゃないかと思います。細かく読み込んでいないので、もしかしたら小っさ~い新ネタも仕込んできているのかもしれませんが、ぱっと見わかりません。

表紙のラブラブ(死語)のお写真が、『クイーン警視自身の事件』でのクイーンパパとジェシイを思い起こすような、素敵なお写真ですよね~❤❤❤
なんやったら、ハリウッドは、これを映画化してもええんやで…ええんやで…。
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こちらは今、Kindle Fireを持っている方(でプレミア会員の方)は無料で読めるコンテンツなので、お持ちの方は取り急ぎダウンロードしておくのはいかがでしょうか。

こちらのブログにこの本の紹介がありました。

■SleuthSayers
Queen's Quorum


今さらにご紹介いたしますと、エラリイ・クイーンとは、フレデリック・ダネイとマンフレッド・リーという、NY出身の二人の従兄弟同士のデュオ作家の筆名です。(そして二人が生み出した探偵の名前でもあります。後々、作家名=探偵名スタイルをまねっこする人もけっこういて、「まぎらわしいんじゃあ!」とキレているミステリファン多し(笑)。感想書くとき、ほんとそうなんですよね。)
その片割れのリーの方が先に亡くなりました。
こちらのブログによれば、リーさんが亡くなったあとのダネイさんの人生を埋めるように、ローズさんがやってきたようですね。
こちらも読み終わったら、また記事にしたいと思います。


ネヴィンズさんと言いますと、今年(2016年)は、国書刊行会から"Ellery Queen: The Art of Detection"の新訳が刊行される予定だそうです。
https://twitter.com/fujiwara_ed/status/682551686959771648

旧訳の増補改訂版で、エラリー・クイーン・ファンクラブ会長の飯城勇三さんの訳とのことですので、さぞかし暑い一冊になるかと思います。
日本ではどうしてもクイーン関連というと、こういった「研究書デス!」「評論デス!」といったマニアックで硬い雰囲気のものが多くて、末席を汚させていただいているEQFCの会誌『QUEENDOM』でもそんな感じです。それはそれであって欲しいのですが、マンガや、少し柔らかいものになると受け入れてもらえないとまではいかないまでも、軽く見られる雰囲気がいまだにあるように感じます。
それが理由で海外でもさっぱり映像化に恵まれないのでしょうかね~。だったとしたら残念ですね。




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by n_umigame | 2016-03-23 22:01 | *ellery queen* | Trackback | Comments(0)

『FOREVER Dr.モーガンのNY事件簿』(全22話)


類まれな洞察力と推理力で、天才監察医がNYの難事件に挑む! 映画「シャーロック・ホームズ」のクリエイターが贈る、本格ミステリードラマ!
“死”に関する卓越した知識がNY市警の目に留まり、刑事ジョーとタッグを組んで、殺人事件の捜査に協力するヘンリー。遺体が出ると連絡を受け、クラシックなスーツに身を包み、颯爽と事件現場に登場。一見しただけで死因のみならず、被害者の職業や性格を言い当て、周囲が驚く鋭い推理で事件解決を強力に後押しする。 卓越した洞察力と豊富な知識は、どこからくるのか?実はヘンリーには、200年前から一切歳を取らず、何度死んでも生き返るというトンデモナイ秘密が…!以来、“死”に取りつかれ、研究を重ねてきたのだ。不老不死ゆえの苦悩や、彼の秘密を知る唯一の友人エイブとの驚くべき関係など、物語が進むにつれ明かされるヘンリーの“200年分”の壮大な人生ドラマは必見。
(AXN公式ページ)
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(AXN公式ページより)







日本での放送も終わってしまったので、感想をまとめておこうと思います。ネタバレしています。

主演はホーンブロワーことヨアン・グリフィズ。(Gruffuddでグリフィズって読むんですかウェールズ語ってウェールズ語って…。)レギュラーには『インディペンデンス・デイ』の蝿男(おい)のお父さんことジャド・ハーシュ。
TVシリーズのキャストとしては本当に豪華だと思うのですが、そしてなかなか人気番組で、ファンによるシーズン2につなげよう!というキャンペーンまであったようなのに、あっさりシーズン1で打ち切りが決まってしまったというドラマです。
おおおん(号泣)。(ノД`)


NY市警で監察医を務めているヘンリー・モーガンは、ひょんなことから不老不死になってしまったイギリス人。当年とって200歳越えのお年頃です。
第二次大戦中、実の両親を強制収容所で亡くしたエイブ(エイブラハム・ワインラウブ)を引き取り、妻アビゲイルといっしょに養子として育てあげ、エイブはめでたく古稀を迎えました。

このヘンリーとエイブの関係がもうもう、もう、本当によくってですね。それ見てるだけで幸せなドラマでした。一見、エイブが年上の年の差コンビに見えるのですが、実は若く見えるヘンリーの方がうんと年上で…という設定もどつぼでした。ヘンリーの方が長生きしている分、知っていることも多いのだけれど、エイブはとても柔らかいものの考え方をする人で、(当たり前だけれど)大人として成熟していて、ヘンリーのことを育ての親としてだけでなく、一人の友人、人間として対等に見ているんですね。「君はまじめで心優しい人間だ。人殺しになったらだめだ」とか言ったりして。
こう、親子なんだけれども親友にもなれるという、西洋の個人主義が大好物なので、そういう点でも見ていて気持ちの良いドラマでした。
エイブのお料理がこれまた美味しそうで…「エイブのレシピ本」とか出たら買いますよ。出して。
(欧米のドラマを見ていると、ぱっと見おしゃれだけど、そんなに何品も皿数のある食事を、ふだんはしていないですよね。日本みたいに和洋中なんでも作るってことがないから、調理器具も限られていて、キッチンもすっきりしているし。何か、食事作るの面倒くさいときなんかは「今日は海ドラ料理」と自分に言い聞かせて、一品料理でちょっとオサレっぽく感じるものでいいやって、やってます。)

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ヘンリーの2番目の奥さんアビゲイルは行方不明だったのですが、きっちり殺したところを見ると、シーズン2に続ける気満々だったのじゃないかと思いますよね。結局なぜ失踪したのかとか細かい背景はわからずじまいでしたが。ただ、ヘンリーはいい人なんですが、屈託がなさすぎてアビゲイルが失踪した気持ちもちょっとわからないでもないです。デートのシーンは、男性はやっぱりロマンティストだけど、それはアビゲイルの気持ちを考えると残酷だと思いました。自分だけ年を取っていくつらい気持ちを愚痴ろうにも、ヘンリーがいい人すぎて言い出せないよね…つらい。何を言っても伝わらないなら黙って去るしかないです。ヘンリーの方は「なんでだ!?」って思ってるようでしたが、ほんとあるあるです。
ジョーとの関係も、男女関係にならなくていいから、友情として進めるなら進めてほしかったのですが、そこも結局中途半端で終わってしまいました。けれども、最終回のあのあと、ヘンリーはジョーに自分の秘密(不老不死であること)をちゃんと話したのじゃないかなと思います。

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途中、アダム(バーン・ゴーマン)という、ヘンリーと同じく不老不死の男が登場します。アダムは帝政ローマ時代から生きているらしく、2000歳越えの大御所ですが、長生きしたからって人間として成熟するわけじゃないんだねーということがよくわかるキャラです。(『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズに出てくる無限引き延ばされワウバッカーを思い出しました。「なんか映画ないかな。まだ3万回見てないやつ。」)アダムはあの状態になっても死ねないなんて、とても残酷ですよね…。アメリカの病院は、内蔵を取り出すようなヘヴィな手術をしても数日で退院させられるらしいので(お金持ちは別)、あの状態で入院費とか誰がめんどう見るんだろうと思いました。ヘンリー? 

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そんなこんなで風呂敷広げっぱなしでトンズラこかれたわけですが、『ALCATRAZ/アルカトラズ』よりましだから!ましだからー!!

シーズン2では、ヘンリーの秘密に最初に気づくのは、ヘンリーの助手の監察医ルーカスだったという設定もあったそうです。ルーカスも基本路線はお笑い担当ですが、いい感じのキャラに育ってきていたのに残念です。ああもったいない。


キャラクターのやりとりとか面白いと思うのですが、続かなかったのは、やはり設定に無理があってたたみようがないからでしょうかね。不老不死の悲劇のエンタメと言えば『ハイランダー』シリーズなど先行作品もあるわけですし。
ほかの方の感想を拝見していると、どうやら昨今NYでのロケ費が高騰していて、その影響もあったんじゃないかなとおっしゃっていました。それで『パーソン・オブ・インタレスト』も打ち切りになったんじゃないかと。アメリカのドラマ製作は日本と違って、TV局ではなく製作者(スタッフ)たちが制作費を集めるそうなので、金策で首が回らなくなってしまったというのも説得力がありますね。視聴率も稼がなければいけませんし、たいへんだろうとは思います。
個人的にグロいのが苦手なので、食事しながら見られなかったのもつらかった。あの検視のシーンの開かれた死体とか、セットさんノリノリでしょう。


エンディングテーマ"New York"



エンディングテーマ"New York"歌詞(こちらから引用しました→


"New York"
I don't believe the things I say
About us when I'm drunk
And distance leaves a bitter taste
When you're gone, when you're gone
In New York
I walk the line of great unknowns
But I never questioned us
And I'd go back to where we last met
And tell you so, tell you so
In New York

--------以下拙訳です--------

自分が言ったなんて信じられない
僕らについて言ったこと あのとき僕は酔っ払ってたんだ
そのせいでできた隔たりは とてもつらい思いを残していった
君が行ってしまったとき
君は行ってしまった

ニューヨークで

偉大なる未知という道を僕はなんとか歩いている
でも僕は僕らのことを疑ったことなんかなかった
最後に君と会った場所へ帰りたい
そしてその思いを君に話したい
君に話したい

ニューヨークで




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by n_umigame | 2016-03-23 00:25 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(2015)

■映画『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』 公式サイト - GAGA


「ロード・オブ・ザ・リング」「X-MEN」シリーズのイアン・マッケランが、引退した老齢の名探偵シャーロック・ホームズに扮し、自身を引退に追い込んだ未解決事件と再び対峙する様を描いたミステリー作品。ある男性から不可解な行動を取る妻の素行調査を依頼されたホームズだったが、その謎解きはホームズの人生最大の失態となり、探偵稼業を引退することとなった。あれから30年、93歳となったホームズは、30年前の未解決事件に決着をつけるため、ロジャー少年を助手に迎え、最後の推理を始める。現役から退き、93歳となった年老いたホームズをマッケランが演じ、アカデミー賞ノミネート女優ローラ・リニー、真田広之らが脇を固める。監督は「ドリームガールズ」などを手がけたビル・コンドン。
(映画.com)







曜日と時間帯もあったのかもしれませんが、お客さんが高齢の方がすごく多くてびっくり。しかも横一列お友だちどうしという感じの座席も多くて、皆さん持ち込みのおにぎりとお茶でひとしきり腹養いをされたところで映画、という、優雅(?)デスネ…。ノリが、愉快な出し物があるって聞いて観に来たよ、ということなのでしょうか。(でもこれが本来あるべき姿なのかも…)

で、見終わって、高齢の方が多かったのも納得しました。
もしかしたらそういう年代の方々に、何か特別キャンペーンされていたのかもしれません。知らんけど。

ネビル・シュートの『パイド・パイパー』が好きな方は、しのごの言わず劇場へゴー。


以下、ネタバレしていますのでもぐります。原作未読ですが、原作についても触れています。







More
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by n_umigame | 2016-03-22 02:24 | 映画・海外ドラマ | Trackback(1) | Comments(0)

『イカちゃんクマちゃん』三木よう子著(KADOKAWA)


しっかり者のクマちゃんの家に、ちょっと強引で感情的なイカちゃんがやってきた。ふたり(!?)の生活に、クスッとなったり、切なくなったり、勇気づけられたり……。大人気【note】連載マンガ待望の書籍化!
(Amazon.jp)


ははははははは!
なにこのマンガ、楽しい!なごむ!

久しぶりにジャケ買いで大当たり出ました。
書店にほかのマンガの新刊を買いに行ったら横に並んでいまして、みごとに釣られました。

表紙には、タイトルロールの二人(二匹)が、公園で、それぞれバナナとおにぎりを食べているところが、やわらかい色あいで描かれていて、帯には
「もうお気づきかと思いますが……イカとクマのお話です。」
とあります。

もう、帯に偽りなし、そのまんま。

元々noteで連載されていた作品を書籍化したものと、描き下ろしの『ヒトデちゃん』が収録されています。
こちらからも試し読み…というか、やろうと思えば全部読めるのですが、紙の本の方がマンガは読みやすいです、やっぱり。
試し読みはこちらからどうぞ。→

続きが気になって少しnoteでも読んでみたのですが、どんどん世界が広がってえらいことになってます。2巻も楽しみだなあ。


言葉で説明しても良さが伝わらない典型的な作品なので、気になった方はnoteで試し読みされるといいと思うのですが、ざっくり説明すると、ある日、クマちゃんのところにイカちゃんがやってきて、いっしょに暮らし始めます。(としか言いようが(笑)。)

イカちゃんはグローバルに水産業を手がけている商社らしき会社「ニコラス・ケイジ」(この社名(笑))に中途採用され、水産業のエキスパートとして大活躍します。
クマちゃんはお料理上手を活かして、自宅の一部を改造してほうとう屋を始め、こちらも地道に成功していきます。

何を言ってるのかちょっとわからないと思いますが、読み終わったら同じ説明になると思います(笑)。


まじめな感想を言うとすれば、これは絵本で言えば『しろいうさぎとくろいうさぎ』や『100万回生きたねこ』といった、人生でパートナーを得るということはどういうことか、いっしょにいることの幸せや、ときに悲しさ、あるいは、まったく異なる文化背景の中で生まれ育った人どうしが共に生きて行くにはどうしたらいいのかといったことのヒントがちりばめられています。

それから、イカちゃんもクマちゃんも、どうやら、どちらも男の子なんですよ。そういうところもいいなあと。恋愛とかLGBTがどうしたというような話ではなく、人が人を思いやるとはどういうことかということが、さらっと深く描かれていて、そこがいいのですね。人じゃないけど(笑)。


なんていうことは本当によけいな一言で、セリフのないコマが本当にいいことからも、それがわかります。
とりあえずシュールで可愛い世界がお好きな方は、ぜひ。




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by n_umigame | 2016-03-21 00:48 | コミックス | Trackback | Comments(0)

『今日も朝からたまご焼き-お弁当生活はじめました。』森下えみこ著(メディアファクトリー)


栗田みのり(通称みのさん)、28歳。
かわいくって素敵な女子を目指して(節約とか健康とかとかも)
お弁当作りを始めたものの、一筋縄ではいかないようで・・・。
ソコソコ料理はするけれど、お弁当はなかなか続かない独身女子の日々のつぶやきコミックエッセイです。
使えるお弁当グッズや固くならないご飯のコツなど、初心者向けのちょこっと使えるコラムもいっぱい。
(Amazon.jp)


『女どうしだもの』『独りでできるもん』などの森下えみこさんのエッセイ。初・森下えみこさんです。

お弁当生活に戻って半年、比較的のんびりと戻らせていただいていることもあって、お弁当作り、楽しいです。と言っても、大したものは何も作っていないのですが、自分で作ったお弁当でもお昼にお弁当箱のふたを取る瞬間って何だかわくわくしますよね。
あれからまたひとつお弁当箱を買ってしまったのですが、その話はまたにしまして、お弁当のコミックエッセイってめずらしいかも、と思い読んでみました。

絵柄も可愛いし、さすが人気のコミックエッセイストさんで、さらっと気楽~に読めました。
ただ、あくまでもお気楽コミックエッセイであって、お弁当作り初心者の人が参考書にしようと考えているなら、正直、あんまり役に立たない本だと思います。ごめんなさい。
でも本当に、寝る前にぼーっと読んでいると何となくこりがゆるむ本です。

主人公のみのりさん、なんせ、28歳になるまでハンバーグを作ったことがないし。
マジか(笑)。
ハンバーグなんて若者の大好きなお料理トップ5にオールタイムで食い込んでるだろう、だったら、家族のためにではなくても自分のために自分で作るだろう。(←食いしん坊。)
とにかく料理しなれていないから、段取りが悪いというか「段取り」っていう発想がそもそもがないのです。
例えばそぼろ弁当を作ろうとする話が出てくるのですが、そぼろ弁当なんて作り置きで全部まかなえるスタメンやで。朝1分でも長く寝ていたいものぐさのためにあるようなメニューやで。ハンバーグだって多めに作って、余ったら、じゃなくて、もう「これはお弁当用」って決めて冷凍しておけばええんやで。
みのりさんはまず、朝の時間を短縮するためには段取りが大事だということを、ぜひ知ってほしいと思います。
(朝、毎日一から全部お弁当を作るなんて本当に大変なので、そんなの挫折して当たり前田。
全部朝から作ってます!家族のためにトーゼンですキリッ☆っていう方もいますけど、そんなん見習わなくていいんやで。(←。 
「立派デスネ!」ってほめるだけほめといたらええんやで。(←。
「よそはよそ、うちはうち」って子どもの頃親に言われたでしょう、ここぞとばかりにそれを発揮したらええんやで?(←。)

しかも、みのりさんがお弁当を作り始めた動機が職場の男子にほめられたいからという、ないわ~わたくしの場合、それはないわ~(だから今があるんだ~ほっとけ~)。
なんで、彩りが可愛いとか男子受けがいいかとか、そういうところに目が行っちゃっていて、経済的かどうか、栄養バランスはどうかというような、一番大事なところは全部すこーんと抜けているお弁当です。

みのりさんもすごいけど、同僚の名倉さんのお弁当もすごい(笑)。

継続は力なので、確かに、続けるためにたまには大いに手抜きの日があってもいいと思うのです。ごはんにふりかけ+ゆで玉子だけとか、食パン+ハムとスライスチーズだけとか。栄養バランスも一日で絶対取らねば!となると大変だし、きりきり考えてるとストレスになるので、2~3日から1週間くらいのスパンでバランスが取れていればいいと思います。
なのですが、名倉弁当(命名)みたいなお弁当が毎日、何ヶ月も続くと、さすがに心身にも影響が出てくると思います。人間は食べたものでできているので。

「お弁当箱は大は小を兼ねない」「とにかく続けることがだいじ」など、基本的なことも教えてくれてはいます。

そんなみのりさんの様子を見て、なんだ、これでいいなら自分でもできるかもという、そういうモチベーションの上げ方が好きな方には、お弁当作りの参考書としてもおすすめいたします。

わたくしの場合は、家族のお弁当を20年以上作っていますといった大ベテランの方にはとうてい及びませんが、それでも共感できたところは、お弁当作りを続けていると「いかに手を抜くか」に腐心するようになる人と、どんどん凝ったものを作るようになっていく人とにわかれていくということです(笑)。
んー、わかるなあ。わたくしは時間さえ許せばどんどん凝ったものを作りたくなってしまう方。オタクなんで(笑)、すみません。





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by n_umigame | 2016-03-21 00:15 | コミックス | Trackback | Comments(0)

『バーナード嬢曰く。』(1~2巻)施川ユウキ著(REXコミックス)一迅社


読むとなんだか読書欲が高まる“名著礼賛"ギャグ! 本を読まずに読んだコトにしたいグータラ読書家“バーナード嬢"と、読書好きな友人たちが図書室で過ごすブンガクな日々──。 『聖書』『平家物語』『銃・病原菌・鉄』『夏への扉』『舟を編む』『フェルマーの最終定理』……古今東西あらゆる本への愛と、「読書家あるある」に満ちた“名著礼賛"ギャグがここに誕生!!
(Amazon.jp)


本好きさんの間(一部?)で話題沸騰だったこの作品を、やっと読みました。

ウワサどおり、とっても面白かったです。
もう、笑えばいいやら泣けばいいやら、あるいは我が身をかえりみて穴掘って隠れればいいのかやらです。
本好き、読書好きには、必ず身につまされるところがあるのではないでしょうか。
本ネタマンガだと思っていたのですが、最初は格言マンガだったのですね。格言だけでもたなくなったので本マンガに転向したのだそうです。いいのかそれで(笑)。おかげさまで楽しいから読者としてはありがたいですけれども。


”バーナード嬢”こと町田さわ子は、図書室に入り浸る女子高校生。
それだけでもめずらしいのに、さわ子嬢(と個人的に呼んでいます)は、「本を読まずに読んだフリしたい」人なんですね。
これも今どきめずらしい。
と言うのも、本を読んでいるとかっこいいとか、ある種の基本図書読んでいないと恥ずかしいといったメンタリティそのものが、もう絶滅危惧の考え方だからです。
もうここだけで本好きに支持された理由がわかろうというものです。

さわ子嬢がいかにダメな子かということが、作中何度も強調されて、それで笑いを取るパターンも多いのですが、いやいや、さわ子嬢、全然ダメな子じゃないと思います。

理由のひとつは、上に述べたように、いわば教養主義的な考え方自体が、今どきの人にしてはもうめずらしいから。本を読むことでしか得られないものがあるということを知っているからです。本好きの我田引水と言われればそれまでですが、少なくとも、「そこ」を「良きもの」として目指そうしている人だから。
ふたつめは、「読めと言われたらちゃんと本を読むことができる」から、です。
ここで言う「読む」とは単純に「通読できる」ということです。
よく、歴史上のエピソードとして、お馬鹿さんの代名詞的に、マリー・アントワネットが生涯一冊の本も読み通せないくらい集中力のない人だったと言われますよね。
実はわたくし、常々、そんな人いるのかよと思っていたのですが、いるんですね、実際に。「字しか書いてない本は退屈で読み終われない」そうです。(それを堂々と言ってしまえるところに、皮肉でも何でもなく、ある種の清々しさを感じたくらいです)
確かに本を読むという作業は、訓練だと思います。
小さいうちからやっていると大して苦にならないのですが、いざやろうと思うと、けっこう体力も精神力もいる作業だろうと。自分はスポーツ音痴なので、これがスポーツだと思うと「やれ」と言われても急には入っていけない気持ちがよくわかります。ふだんから体を鍛えていると何でもない山道も、そうでなければ険しいものですよね。(そしておそらく体力を無駄に消耗しない=楽しく行うコツがある。これも訓練でしか身につかないのだと思います)
しかも、本は、映画のように座ってながめていれば何かしらは入ってくるというタイプの情報媒体ではありません。積極的に入っていかないといけない。

ですので、この2点だけをもってしても、さわ子嬢はとても立派だと思いましたよ。本当に。

さわ子嬢のキャラクターも、こんな感じでいいのですが、脇を固めるキャラもとてもいい。

まず、遠藤くん。
遠藤くんも、もちろん男子高校生なのですが、どういうわけか図書室にしょっちゅう入り浸っています。そこでさわ子嬢と出会うわけなのですが、遠藤くんはこのマンガの狂言回しです。"ちょっと前に流行ったベストセラー"を読むのが趣味。ただこの「ちょっと前」もけっこう古くて(笑)、シドニイ・シェルダン(シェリダン)の『真夜中は別の顔』とか、『一杯のかけそば』『さおだけ屋はなぜつぶれないのか』、ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』とかとかなんです。遠藤くんのチョイスだけで、うわあ懐かしい(笑)というノスタルジーに浸れること間違いなしです。
次に、神林しおり。
名前からもわかるように(笑)、神林さんはSFファン…というかもうマニア。高校生とは思えないくらいですが、ジャンル小説は特に、10代のころのあの集中力をもってして読みあさる方が良かったなって今になって思うので、神林さん正解です。「SFは基本図書1000冊読んでないとSFファンとは言えない」そうなので、よかったわたしSFファンじゃない(笑)。
そして、長谷川スミカ。
図書委員で、遠藤くんに憧れています。そしてバリバリのシャーロッキアン。長谷川さんも高校生とは思えないくらいめんどくさいシャーロッキアンです(笑)。
もうね、神林さんと長谷川さんの言ってること読んでると、SFファンとシャーロッキアンがいかに面倒くさいかということがとってもよくわかり、じっと手を見ましたよ。
この4人がレギュラーメンバーです。
自分が一番近いのは、神林さんです(笑)。もう断言します。こんなにSF読んでないけど。

そして、キャラクターどうしの化学反応がとてもいいのです。
一話完結のコメディなのに。
私が好きなのは、やはり、さわ子嬢と神林さんの関係。
神林さんは、ある意味、優等生的/マニアックな本との接し方、読み方しかできない読書家で、自分でそれを多少コンプレックスに感じていると思しきところがあります。
最初は俗物っぽいさわ子嬢の読書への態度に、怒りもあらわにからんできて、それどころかグーで殴ったりするような過激な子なのですが(あとで謝ってるけどそのわりにはよく手が出てる(笑))、「かっこつけない」さわ子嬢の本への接し方を見ているうちに、神林さんも自由になっていくのですね。

それが爆発するのが2巻です。(と言うか2巻は神林さんのデレが炸裂してます。かわいいよ神林…)
さまぁ~ずのダジャレ本に大受けしているさわ子嬢を見て、
「見栄とか関係なく
好きなモノを
純粋に好きって
言えるのは
すばらしいな…」
と心から感動して、うるうるしてしまう神林さんに、私もうるうるしちゃいました(笑)。
そうだよね、そうだよね。

優等生が自由すぎる子に感化されたりあこがれたり…という作品はいろいろとありますが、本が好きな神林さんの、このさわ子嬢への何とも言えない憧れのような気持ち、とてもよくわかる気がします。そしてこれが完全に神林さんの片思いだというところも(笑)。

神林さんの名誉のために言うと、さすがに名言も多いです。
「グレッグ・イーガンは
多少よくわからなくても
すっっっごく
おもしろい!!」
「ハードSFを
読む上で求められる
リテラシーとは
『難しい概念を理解
できる知識を持って
いるか』ではない
よくわからないまま
でも 物語の本質を
損なわずに作品全体を
理解するコトが可能な
教養のラインを
感覚で見極められるか
どうか』……だ」

「ディックが死んで
30年だぞ!
今更 初訳される
話が面白いワケ
ないだろ!!」

とか、P.K.ディックやグレッグ・イーガンてハードル高けえと思いがちな向きにも福音のひとこともあれば、

「本は 読みたいと
思った時に読まなくては
ならない
その機会を逃がし
『いつか読むリスト』に
加えられた本は
時間をかけて
『読まなくていいかも
リスト』に移り
やがて忘れてしまうのだ」

とか、いつも心の掲示板に朱書きで貼っておきます! という鋼鉄並みに重量のあるひとことまであります。


いろいろとこねましたが、このマンガを読み終わったときに思うことは、「本っておもしろいよね」という、これにつきます。
そして、読んだ本についてああだこうだ言える友だちがいるって、すばらしいことだよね、と。
3巻も楽しみです。






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by n_umigame | 2016-03-20 23:15 | コミックス | Trackback | Comments(0)

『月(ルナ)は囁く』(上下)青木朋作画/宮﨑克原作(ビッグコミックス)小学館


あなたの「本当の顔」、すべて見破ります。
中国系アメリカ人の月(ルナ)は、8か国語を操る
超天才美少女。
警視庁捜査一課の刑事であり、血のつながらない兄・陽一と
ひとつ屋根の下暮らしながら、犯罪捜査に協力している。
ルナの犯人を見抜く方法が普通と違うのは――
”顔を見れば、わかる”ということ。
「観相」と心理学を駆使して、その顔つきや表情、しぐさから
事件の真相を鮮やかに暴くのだ。
鼻を掻く仕草は、嘘をついている証拠。
偽の表情(凶相)は、目尻に表れる。
…などなど、日常生活や恋愛などでも思わず参考にしたく
なってしまうような心理学・観相ネタが盛りだくさん!
ツンデレオブツンデレ(!)なルナと、へっぽこ刑事の陽一。
血のつながらない二人の、兄妹以上恋人未満(!?)なコンビぶりの
微笑ましさも、この作品の肝!
本格ストーリーでありながらカワイイ系、という
新感覚ミステリーです!!
(Amazon.jp)


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「ぼちぼち読んだ本の感想あげていきます」などと書いておきながら、またしても一ヶ月以上経過してしまいました。
申しわけありません。
当ブログ常連の方には「にせうみがめあるある」として生あたたかい目で見守っていただいていると信じて、てへぺろ★(殴。

さてさてです。

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ジャケ買い&帯裏の「ミステリーファン諸氏に告ぐ!この"怪傑"美少女を、くらえ!!!!」というコピーに「いただきます。」となりましたので読んでみました。

「観相」、つまり中国の人相見を心理学的に応用して、犯人を当てる(当てる言うな)というミステリーです。だいたい1話~前後編解決でさらっと読めます。

探偵役の月(ルナ)ちゃんの顔が「ちゃ○」かってくらい目がでかいですが(いや最近の「ち○お」読んだことないですが)(というか「りぼん」と「なかよし」で育った子でしたが)、少女漫画ではなくて青年誌に掲載されていたようです。


探偵役の月(ルナ)は中国系アメリカ人で、本名は月霞(ユエシア)なのですが、わけあって自分のことをルナティックの「ルナ」と呼ばせています。(なぜルナと呼ばせているのかということは最終話でわかります)
探偵としてはシャーロック・ホームズ型の奇人変人型と言うのか、ちょっと変わり者で、独自の鋭い推理方法を持っているのだけれど、人当たりが良いとは決して言えず、ホームズの方が人当たりは良いくらいです。(ホームズは基本的にはジェントルマンなので、礼儀正しくて無駄に初対面の人に喧嘩を売ったりしませんし)
この探偵役の月と、日本の警視庁捜査一課の刑事で月の義理の兄の陽一とがひょんなことから同居生活を始めることになり…というところから、お話が始まります。


まずミステリーとしての感想です。
観相を謎解きに援用するというアイデアは、なかなか新鮮でよかったのではないかと思います。
ですが、上下2巻で完結してしまっているのもしょうがないかなという印象です。
ひとつひとつのお話はとてもていねいに作られていますし、謎もきちんと論理的に解かれて終わるので、ミステリーとして消化不良だということはないのですが、果たして観相を根拠に、そこまで断定できるのかという。
そもそもそこに疑問があると始まる前に終わってしまう設定なんですけれども(笑)、古典ミステリーなどにも出てくる、骨格や体型で犯罪者の類型があるとしてしまうような危うさと、似たような怪しさ/エセ科学としての危険性をはらんでいると思います。これを実際にやろうと思ったら、単に荒唐無稽だというだけではなく、人権問題に発展しかねないのですね。
「マンガじゃん、そんなことに目くじら立てなくてもいいじゃない」と言ってしまえば、それまでなんですが、やはり気になりました。
観相学の素養がない自分のような人間が読むと(そういう人が大多数だと思うのですが…)、理屈ではなるほどなと思っても、どうしても狐につままれたような、もやっとした気持ちが残る謎解きになってしまうのも難点だったのかもしれません。月が全部説明してくれるのですが、「そうなんですか」としか言いようがないという(笑)。


マンガ/ドラマとしての感想ですが、絵柄も物語と同じように、とてもていねいで好感が持てます。可愛い、さらっとしたきれいな絵なのですが、キャラクターの魅力がいまひとつぐっときませんでした。
これは、最終回で明らかになる月(ルナ)の過去のトラウマが、ある意味あるあるすぎることと、それは典型的(あるあるネタ)でも全然かまわないのですが、どうしても謎解きが中心でドラマは副菜として描かれてきたため、ドラマとしては盛り上がりに欠けてしまううことが原因でしょうか。
キャラクターの名前のとおり、兄の陽一の方は太陽のように屈託がなく明るい性格で、かたくなな月(ルナ)も少しずつほだされていくのですが、このあたりのケミストリーがあんまりうまくいってないように見えないのです。
もうちょっと盛り上がったと思うのに、設定がもったいないなーっていう作品でした。

ドラマやマンガとしての面白さはそんなに重視せず、「観相」を推理の論拠として受け入れることができて、謎解きを楽しめればそれでいい、という方には、おすすめのミステリーマンガだと思います。





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by n_umigame | 2016-03-20 22:41 | コミックス | Trackback | Comments(0)