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『ロルドの恐怖劇場』アンドレ・ド・ロルド著/平岡敦編訳(ちくま文庫)筑摩書房

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二十世紀初めのパリで、現在のホラーやスリラーの源流となったグラン・ギニョル劇が大ブームとなった。その代表的作家ロルドの短篇小説傑作選。
(出版社HP・画像も)



怖がりのくせに怖い話大好きにせうみがめです、ごきげんよう。
怖い話は好きなのですが、「ぐちゃっ」とか「ねちゃっ」とかいう擬音が聞こえそうなグロ描写が、ぜんぜんだめ。映画だと目を反らしたりして、がんばって完走する始末です。
本当はそこまでして見たくないので、基本的にそういうのは見ません。戦争映画も医療ドラマもダメ。痛いのダメです。

そんなわたくしのTwitterのTL上に、刊行前に一部内容紹介が流れて来まして、そのあまりに酸鼻をきわめる描写にツイートを読んでるだけで貧血が悪化しそうになり、たじろいで敬遠しかけたのですが、実際に読んだ方の感想が出始めて、それらを拝見している限りでは自分でもいけるかもと読んでみました。

で、最初の収録作品『精神病院の犯罪』が、残酷描写のための残酷な話みたいな作品で、またここでいったん休止。
ほかに楽しい本を読んで体力が多少回復したところで、再度2作目から読み始めたところ、今度はいけました。

ことほどさように、グロ描写が苦手な人間には多少ハードルの高い作品集です。

内容紹介に「現在のホラーやスリラーの源流となった」とあるように、読み慣れてくると、現代の小説と言うよりは、民話や都市伝説などの残酷描写に近いものがあり、ある種の様式美、典型が見えてきます。
登場人物もモダニズム的な背景や厚みを持った人間というよりは、役割を与えられて動く駒のようで、現在のホラー小説のお手本になったのも納得です。基礎工的な作品が多いので、その上に土台を積んだりデコレーションを盛ったりと、応用が効くのですね。
実際、多くの方の感想で見かけたように、ある作品はスティーヴン・キング原作の映画『ミスト』にとてもよく似ています。

著者のド・ロルドは医者崩れだったそうで、この短篇集も病院が舞台だったり、心身の病気にまつわる(現在から見ると偏見に満ちた)作品が多いです。
人生で2回全身麻酔が必要な手術をしていて、加えてグロがダメ、痛いの嫌いな自分には、そこも非常に読んでいてつらい本でした。

お話としてはよくできているというと不遜ですが、さすがに「典型」を形作ったパイオニアの作品集だと思いますので、心身ともに健康で、なおかつグロ描写が平気という方には、おすすめいたします。

ですが、まかりまちがっても、入院している人のお見舞いには持っていかないようにしましょう。
鉢植えより良識を疑われること、必至であります。





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by n_umigame | 2016-10-02 23:04 | | Trackback | Comments(0)

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