お待たせしました! 伝説の英国コメディSF「銀河ヒッチハイク・ガイド」の故ダグラス・アダムスが遺した、もうひとつの傑作シリーズがついに邦訳。前代未聞のコミック・ミステリー。
(出版社HPより・書影も)
現在Netflixでドラマが配信されている『ダーク・ジェントリー』の原作。
こちらもまさかダグラス・アダムスの新刊が、しかもわたくしの大好きな安原和見さんの訳で読めるなんて! 幸せ。
先にドラマを少し見始めていたのですが、これがまあ何が起きているのかぜんっぜんわかりません。
それでいったん休憩して、こちらの原作が出たのを幸いに先に読み始めたのですが、これがまあ何が起きているのかぜんっぜんわかりません。半分どころか4分の3読んでも、何なら残り数十ページのところまで読んでもわかりません。
なのにおもしろいってどういうこと。
ドラマの方は早々にけっこうえぐい展開になることもあっていったん休憩したのですが(無意味なグロを延々見続けるのはつらいものが)、小説の方はグロ表現はほとんどありません。
ですが、「電動修道士」などという単語が何の説明もなく出てくるわ、ダグラス・アダムスらしく偏執的なまでにまたソファーの話が出てくるわ、浴室に馬がいるわ、それなのに最後なんかいい話になってダグラス・アダムスだわ…てなるわ、とにかく『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズや『これが見納め』(みすず書房刊)がお好きな方なら、何も言わずにレジまで本を持って行ってください。ぜったい買ってよかった…どころかこのおもしろい小説1000えん(※税別)でおつり来るの? 今どき翻訳ものの文庫めったに1000えん(※税別)で買えないのに? 詐欺?(そこは信じて)てなりますので。
ドラマの方は舞台がアメリカに変更されていましたが、原作はやっぱりと言いますか、イギリスのケンブリッジ界隈でした。
ドラマは今年の1月2日からシーズン2の配信が開始されたものの、残念ながらシーズン2で打ち切りが決まってしまったそうです。
ドラマを完走していないので何とも言えないのですが、もしかしたらやはり、ダグラス・アダムスのいかにもなブリティッシュネスは、セオリーどおりイギリスを舞台にしてドラマも制作した方が合っていたのかもしれません。
ドラマの方を見ていると、「ドクター・フー」に雰囲気が似ているなと思っていましたら、元々「ドクター・フー」の一エピソードとしてダグラス・アダムスが脚本を書いていたものだそうです。どうりで。これをぜひ「ドクター・フー」でも見てみたかったです。
この小説は「ドクター・フー」のファンの方にもぜひおすすめします。理由はあとがきで訳者の安原和見さんが推理されているのを合わせてぜひお読みいただければと思います。