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『名探偵ポワロ』ファイナルシーズン日本放送日決定

■NHK BSのホームページ


 Yuseumさんからの情報で知ったのですが(いつもありがとうございます^^)、やっとと言いますかとうとうと言いますか、ITVのドラマシリーズ『名探偵ポワロ』のファイナルシーズンの放送日が決まりました。
 24年間という長きにわたり、デヴィッド・スーシェさんがポワロ役を務め、日本では熊倉一雄さんが一貫して声を担当されてきました。これはたいへんなことだと思います。

 アガサ・クリスティーの原作をドラマ化したことで、やはり原作からの見かねる改変などもあるシリーズでしたが、それでも、ドラマを制作する方々の原典への様々な思い入れや意気込みを感じるドラマシリーズでした。
 もう見る前から感無量です。

 わたくしはついつい我慢できずに『カーテン』だけざっと見てしまったのですが、一度だけです。
 改めて9月の放送を待ちたいと思います。

 ファイナルシーズンで放送されるタイトルと予定は以下の通り。
 Yuseumさんのブログでトレーラーを見ることができます。(英語/ポーランド版)

第1週「象は忘れない」 9月8日(月)21:00~
13年前に起きたある夫婦の心中事件。その真相を聞き出すよう頼まれた推理作家のオリヴァ夫人は、友人であるポワロを訪ね協力を求める。が、知人の医師が巻き込まれた殺人事件を調査中のポワロはとりあわない...。まったく関係ないと思われた二つの事件だったが...。

第2週「ビッグ・フォー」 9月15日(月)21:00~
各国の大物が集まる平和党のパーティーで、ロシアのチェス王者が急死。さらに次々と殺人事件が起こる。はたして真相は?

第3週「死者のあやまち」9月22日(月)21:00~
祭りの余興として、推理作家のオリヴァ夫人が推理ゲームの企画を依頼される。しかし、ゲームの中で殺される役を演じるはずだった少女が、なんと現実に遺体で発見されるのだった。

第4週「ヘラクレスの難業」9月29日(月)21:00~
富豪一族の娘ルシンダの社交界デビューのパーティーで、美術品泥棒マラスコーを捕えるための罠を仕掛ける警察。しかし、ルシンダが無残な姿で発見されてしまう...。

第5週「カーテン ~ポワロ最後の事件~」10月6日21:00~
ポワロからの手紙を受けとった旧友のヘイスティングス大尉は、かつて殺人事件の舞台となったスタイルズ荘を訪れ、ポワロとの再会をはたす。ポワロは、「ここでこれから起きようとしている第二の殺人事件を阻止する」と言う...。

特集番組『さよならポワロ!~世界が愛した名探偵・25年の軌跡~』9月4日(木)22:00~
25年間"灰色の脳細胞"を持つ愛すべき名探偵を演じてきた、イギリスの名優デビッド・スーシェ。彼がポワロゆかりの人々や場所をたずねる。おなじみのテーマ曲誕生秘話や、ポワロ生誕の地などが登場。そして、最後の撮影が行われる日、スーシェの心境はいかに...。


海外ドラマナビ様より。

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by n_umigame | 2014-07-26 21:47 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(2)

『ミステリマガジン700 海外篇』杉江松恋編(ハヤカワ・ミステリ文庫)早川書房


日本1位世界2位の歴史を誇るミステリ専門誌の集大成的アンソロジー 海外の最新傑作を常に紹介し続けてきたミステリ専門誌だからこそ揃えられた豪華傑作選

【収録作品一覧】
「決定的なひとひねり」A・H・Z・カー/小笠原豊樹訳
「アリバイさがし」シャーロット・アームストロング/宇野輝雄訳
「終列車」フレドリック・ブラウン/稲葉明雄訳
「憎悪の殺人」パトリシア・ハイスミス/深町眞理子訳
「マニング氏の金のなる木」ロバート・アーサー/秋津知子訳
「二十五年目のクラス会」エドワード・D・ホック/田口俊樹訳
「拝啓、編集長様」クリスチアナ・ブランド/山本俊子訳
「すばらしき誘拐」ボアロー、ナルスジャック/日影丈吉訳
「名探偵ガリレオ」シオドア・マシスン/山本俊子訳
「子守り」ルース・レンデル/小尾芙佐訳
「リノで途中下車」ジャック・フィニイ/浅倉久志訳
「肝臓色の猫はいりませんか」ジェラルド・カーシュ/若島正訳
「十号船室の問題」ピーター・ラヴゼイ/日暮雅通訳
「ソフト・スポット」イアン・ランキン/延原泰子訳
「犬のゲーム」レジナルド・ヒル/松下祥子訳
「フルーツセラー」ジョイス・キャロル・オーツ/高山真由美訳
(出版社HP)

しばらく品切れだったかして手に入らなかったのですが、SFの方と合わせてやっとGETできましたので、読んでみました。
久しぶりにミステリらしいミステリーを読んだ!と言う充実感とともに読了いたしました。

 個人的な好みで申しますと、「マニング氏の金のなる木」「アリバイさがし」が好きです。謎解きという点で端正な作品は、いかにもこの著者らしいお行儀が良い謎解きの「二十五年目のクラス会」や「十号船室の問題」「名探偵ガリレオ」が秀作だと思いました。普通小説のような印象を受けるのは「終列車」。そして最後に収録されている「フルーツセラー」が強い余韻を残して終わります。編集の妙ですね。


 以下、読み終わった方向けの完全ネタバレですので、未読の方はここで回れ右推奨です。









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by n_umigame | 2014-06-15 18:51 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『真夜中の相棒』テリー・ホワイト著/小菅正夫訳(文春文庫)文藝春秋


アイスクリームを愛する青年ジョニーは殺し屋だ。依頼は相棒のマックが持ってくる。一人では生きられないジョニーをマックが過酷な世界から守り、ジョニーが殺しで金を稼いで、二人は都会の底で生きていた。相棒を殺された刑事が彼らを追いつめはじめるまでは。男たちの絆と破滅を美しく描いた幻の名作、30年ぶりの復活!
(カヴァー裏)



 帯に、「居場所がない。狂おしい。ひとりでは寂しすぎる。そう実感するすべての人に。」という桜庭一樹さんのオススメ文が載っていますが、個人的に、本当にそう感じている人こそ、こういう小説にそういう救いを求めない方が良いのではないかというのが、読み終わった正直な感想です。

 この書き出しでおわかりいただけたかと思いますが、以下、褒めてません。

 ファンが多い作品のようで、肯定的な感想はたくさん見かけたのですが、そうでない感想をアップしている人をあまりお見かけしませんでした。

 それがかえって不自然さや居心地の悪さを感じたので、まあそういう意見もあるんだなというご参考までにお読みいただければと思います。(もちろん、否定的な意見を聞きたくないという方はここで回れ右推奨です。)

 
 以下、ラストまでネタバレしていますので、もぐります。








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by n_umigame | 2014-06-03 22:30 | | Trackback | Comments(0)

「越前敏弥氏講演会&翻訳ミステリー大賞・読者賞を徹底的に語る! 座談会」レポ


2014年4月26日(土)に開催されたイベントに参加してきました。

以前からTwitterでフォローさせていただいている、翻訳ミステリー大賞シンジケート(@Honyaku_Mystery )(d.hatena.ne.jp/honyakumystery/)が発信している読書会が全国で開催されています。
翻訳ミステリーシンジケートの、(大義にはミステリーにこだわらず)翻訳ものを読む人が増えてほしいという趣旨に賛同していることもあり、読書会にも参加してみたいとずっと思っていたのですが、カレンダーどおりに休めなかった、語りたい作品が近場に来ないなどの理由でずっと参加を申し合わせておりました。(もっとも名古屋読書会のように参加概要がTwitterで発表されるや、またたくまに満席になってしまうような人気の会もあり、それも参加が難しかった遠因ではあります。)

今回、翻訳家の越前敏弥氏と関西読書会の方も参加される座談会ということで、読書会の雰囲気が伺えるといいなという希望もあり、思い切って参加してみました。

結論から先に申しますと、最初(受付前)に感じたアウェイ感は最後の最後までぬぐえず、場違いなところにお邪魔してしまったという気持ちのまま帰路につきました。

今から申し上げることは、当然ながら、一個人の感じたことです。
ですので、もしかしたらご不快に思われる方もあるかもしれません。ですが、わたくし自身も「翻訳ものを読む人が増えて欲しい」という思いは偽らざるものであり、だからこそ、もしかしたら自分と同じように感じて距離を取っている人がいるかもしれない。そんな方々に、だからと言って臆することはないよという気持ちも込めて、記事をアップいたします。


最初にイベントレポートです。イベントの詳細はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20140423/1398245662

2部構成で、第1部は「『日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』刊行記念講演会」。
第2部は「翻訳ミステリー大賞・読者賞を徹底的に語る! 座談会」でした。


■第1部『日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』刊行記念講演会
演題どおりの内容で、越前敏弥氏の講演会。
実際の英文を例に取って、どういったところで誤訳しやすいか、日本語に翻訳するときの表現の問題など、テクニカルなお話が多かったですが、わたくしのような素人が聞いていてもとてもおもしろかったです。
例題に出された文章は、自分はほぼ全部、まんまと誤訳しました(笑)。
精読には文法の知識を固めること、長文のリーディングには、参加者の方(英語学校の講師の方)の「ネイティブの人がやっているように左から右へ、前から順番にかたまりで読む、繰り返し読む」というアドバイスは、趣味で英文を少し読むことがあるだけという自分にもとても役に立つ、的確な指示でした。


■第2部 翻訳ミステリー大賞・読者賞を徹底的に語る! 座談会
第2部からは関西読書会のメンバー5人の方と越前敏弥氏の座談会でした。
今年の翻訳ミステリー大賞と読者賞の受賞・候補作品について、読んだ方がオススメをするという形式でした。
『冬のフロスト』と『遮断地区』しか読んでいなかったのですが、『緑衣の女』は読んでみたいなと思いました。キングはいくらオススメされてもどうしても昔から苦手で…。相性なんでしょうか、訳者の方が変われば気持ちよく読めるのでしょうか。そのあたり謎です。『三秒間の死角』は現在読書中。
どの作品の紹介も「男も女もいやなやつばっかり出てくる」とか「凄惨な事件ばかり起こる」とか、最近話題になる海外ミステリーって本当にそうなんですよね(笑)。いえ、海外作品に限らず、日本の作品もそうだと思います。
ミステリファンでも古典ミステリ以外あまり読まない方も幾人か存じ上げていますが、その方たちのお気持ちがわたくしはよくわかります。仕事や日々の暮らしに疲れているときに、お金払って不愉快な思いをしたくない。古典ミステリにもいやなやつや、昔のことゆえあからさまにならない分、陰に籠もった凄惨さというものがありますが、やはりある程度の節度がある作品が多いですから。
温故知新という点だけでなく、そういう面でも、翻訳ミステリーの入り口として、古典の新訳や、バークリイなどがどんどん刊行される現状は大歓迎であります。
閑話休題。
間に、翻訳ミステリー大賞授賞式や、古式ゆかしい民家みたいな畳のお部屋でのそれぞれの小部屋での様子などがパワーポイントで紹介されました。お座敷で楽しそうでした。


そんな雰囲気で、とても充実した楽しい時間を過ごさせていただきました。
ですがイベントが終わって一人になってみて改めてわき上がってきたのは、最初から最後までどうしても拭えなかった場違いな感じ、アウェイ感でした。
黙っているのが大人の態度ですが、前述したような理由で記事にしておきます。
いわば愚痴ですので、レポだけ読めれば良いという方はここで回れ右推奨いたします。


以下、もぐります。




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by n_umigame | 2014-04-27 14:47 | | Trackback | Comments(0)

『地上最後の刑事』ベン・H・ウィンタース著/上野元美訳(ハヤカワポケットミステリ)早川書房

〈アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞〉 小惑星衝突が迫り社会が崩壊しつつある世界で、新人刑事は地道な捜査を開始する。近未来ミステリ ファストフード店のトイレで死体で発見された男性は、未来を悲観して自殺したのだと思われた。半年後、小惑星が地球に衝突して人類は壊滅すると予測されているのだ。しかし新人刑事パレスは、死者の衣類の中で首を吊ったベルトだけが高級品だと気づき、他殺を疑う。同僚たちに呆れられながらも彼は地道な捜査をはじめる。世界はもうすぐなくなるというのに……なぜ捜査をつづけるのか? そう自らに問いつつも粛々と職務をまっとうしようとする刑事を描くアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞作! (出版社HP)



※ラストシーンを含むネタバレがあります。


人類や文明の滅亡や衰退を描く終末小説を、聖書の「黙示録(アポカリプス)」になぞらえて「アポカリプス小説」と呼ぶそうですが、この『地上最後の刑事』は半年後に小惑星が衝突するという世界、つまり終末の直前(プレ)を描くプレ・アポカリプス小説。

あと半年で地球上は壊滅的なことになることが予想されており、生きる希望を失って投げやりになったり怪しげな宗教に救いを求めたりする人が多い中、アメリカの一地方都市にあるマクドナルドで遺体が発見される。
こういうご時世だからと自殺で片付けられそうになっているところを、刑事に昇進したばかりのヘンリー・パレスは他殺を疑って捜査を開始する…。

率直なところ、ミステリ小説としてはそんなにびっくりするようなどんでん返しがあるとか、犯人が意外だとかいうことはありませんでした。
ですが警察小説のように淡々と地道に捜査を続けていく様子が心地よいこと、ヘンリーのちょっと変わった個性がなぜだか読んでいて楽しいことから、もうすぐ人類が滅亡するという陰気な世界にもかかわらず、ずっとこの世界にいたいような気持ちにさせる不思議な小説でした。

主人公のヘンリー・パレスは両親をすでに亡くしていて、それが物語の通底和音となり、物語世界のやるせなさとミステリーを盛り上げるのを静かに手伝っています。
また、ヘンリーの真摯さには偏執狂的なところがなく、淡々と、ただそうしなければならないから自分ができることをするのだ、という静かな真摯さで事件の真相に迫って行きます。

このもの悲しい世界にユーモアを交えた会話も何とも言えずマッチしていて、それが読んでいて心地よいと感じるのでしょう。


この作品は三部作の予定だそうで、最後まで読んでも解決していない問題(事件の大筋とは関係のない部分ですが)があり、ラストシーンからももしかして人類に明るい展開があるのかもしれないと思わせて終わっています。

続編の邦訳が楽しみです。




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by n_umigame | 2014-03-15 18:42 | | Trackback | Comments(0)

『SHERLOCK/シャーロック』S3、日本放送予定決定


本日Twitter上にて流れましたが、『SHERLOCK/シャーロック』のS3の日本放送予定が、2014年5月に決定しました。

NHK BSプレミアムにて全3回。
プレページもできております。

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/sherlock3/index.html

わたくしは辛抱たまらずまたしてもUK盤Blu-rayで見てしまいましたが、やはり細かいところがわからないので、日本語放送が楽しみです!
詳しい日時は未定のようですが、決まりましたらまたご紹介したいと思います。

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by n_umigame | 2014-01-31 21:49 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『"アイデンティティー"』(2003)


    激しい豪雨が降り続く夜、人里離れた一軒のモーテル。管理人ラリーがくつろいでいるところへ、ひとりの男が飛び込んでくる。彼、ジョージは息子ティミーを伴い、交通事故で大ケガをした妻アリスを運び込む。救助を要請しようとするが電話は不通だった。アリスをはねたのは女優キャロラインの運転手で元警官のエド。彼は病院へ向け車を走らせるが、途中で立ち往生し、やむなくモーテルへ引き返すことに…。ある時、ある一室で、既に死刑判決の下った事件について再審理が行われようとしている。ポイントとなっているのは、その事件の連続殺人犯である囚人が書いた日記だった。
(Yahoo!映画)

 

「嵐の山荘(クローズド・サークル)」もの+サイコ・サスペンスものでした。
二重のどんでん返し、意外な犯人、と仕掛けは本格ミステリ好きにはストライク・ゾーンでしょう。

以下、トリック及びラストシーンまでネタバレしていますので、未見の方はここで回れ右をオススメします。
何も知らないで見た方がぜったい楽しいタイプの映画です。
※アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』のネタバレもあります。

 



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by n_umigame | 2013-11-26 21:01 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『象は忘れない』アガサ・クリスティー著/中村能三訳(クリスティー文庫)早川書房

推理作家ミセス・オリヴァが名づけ親になったシリヤの結婚のことで、彼女は先方の母親から奇妙な謎を押しつけられた。十数年前のシリヤの両親の心中事件では、男が先に女を撃ったのか、あるいはその逆だったのか?オリヴァから相談を受けたポアロは“象のように”記憶力のよい人々を訪れて、過去の真相を探る。
解説:芦辺拓
(カバー裏)


ITV版『名探偵ポワロ』ファイナル・シリーズ読み残しつぶしこみ第2弾。
事実上この作品がポワロもの最後の執筆作品だったようです。

以下、ネタバレですのでもぐります。
トリックを割っていますので、未読の方はご注意ください。



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by n_umigame | 2013-11-26 20:54 | ミステリ | Trackback | Comments(2)

『死者のあやまち』アガサ・クリスティー著/田村隆一訳(クリスティー文庫)早川書房


田舎屋敷で催し物として犯人探しゲームが行なわれることになった。ポアロの良き友で作家のオリヴァがその筋書きを考えたのだが、まもなくゲームの死体役の少女が本当に絞殺されてしまう。さらに主催者の夫人が忽然と姿を消し、事態は混迷してしまうが…名探偵ポアロが卑劣な殺人遊戯を止めるために立ち上がる。
(カヴァー裏)



ITV版『名探偵ポワロ』も、本国イギリスでは最終シリーズの放送が開始されました。
最終(第13)シリーズのドラマ化の原作は以下の通り。

『象は忘れない』 Elephants Can Remember
『ビッグ4』 The Big Four
『ヘラクレスの冒険』 The Labours of Hercules
『死者のあやまち』 Dead Man's Folly
『カーテン』 Curtain: Poirot’s Last Case

このうち、『象は忘れない』、『ヘラクレスの冒険』、『死者のあやまち』の3作品を未読で残していたので、日本で最終シリーズが放送される前に読もうと、やっと腰を上げた次第です。
『カーテン』を除く4作品は、実のところなぜ最終シリーズまでドラマ化されなかったのかわからないのですが、とりあえず『死者のあやまち』は、もしかしてこれが理由なのかも、というところがありました。(『ビッグ4』はわたくしの中ではコメディ認定です。ドラマ化するときどーすんだろ、とちょっと心配している作品でもあります。)


さて、『死者のあやまち』ですが、原題は"Dead Man's Folly"。
原題はダブルミーニングになっていることがわかりますが、ネタバレになりますのでタイトルについては後ほど述べます。
とあるお屋敷のパーティに招待客として招かれたオリヴァ夫人が、何だか違和感を感じて友人のポアロに電話して、来てもらう…というイントロが、少し『ハロウィーン・パーティ』に似ていますね。また最初に殺される少女が○○で…というところも似ています。
わたくしはゾーイ・ワナメイカー扮するオリヴァ夫人が大好きで、このドラマの功績もあいまって、原作に戻るときも、オリヴァ夫人とポアロの会話を読んでいるだけでとても楽しいです。
平均点の高いクリスティーの作品の中では、どうしてもやや地味で優等生的な印象ですが、ミステリー読みはじめたばかりという読者には充分に楽しめる作品かと思います。



以下、ネタバレにつきもぐります。
犯人にも触れています。

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by n_umigame | 2013-11-05 21:09 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『笑う警官』マイ・シューヴァル, ペール・ヴァールー著/柳沢由実子訳(角川文庫)角川書店


市バスで起きた大量殺人事件。被害者の中には殺人課の刑事が。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? 唯一の生き証人は死亡、刑事マルティン・ベックらによる、被害者を巡る地道な聞き込み捜査が始まる――。
(出版社HP)


タイトルに「刑事マルティン・ベック」とついています。


マルティン・ベックシリーズの中で唯一新装版で刊行されていた『笑う警官』が、へニング・マンケルのヴァランダーシリーズの翻訳でもお馴染みの柳沢由実子さんによる新訳で刊行されました。
また新装版が出たのかと思ってスルーしかけていたのですが、今回は作品が書かれた原語のスウェーデン語からの「新訳」とわかって読み直しました。

旧訳(高見浩氏訳)はスウェーデン語からではなく、英語からの重訳でした。
それも英語版のテキストが必ずしも同一訳者によるものではなく、いずれもパンセオン・ブックス版ではあったものの『笑う警官』はアラン・ブレア訳、『密室』はポール・ブリテン・オースティン訳、『消えた消防車』はジョーン・テイト訳、とまちまちです。
しかも、どういうわけか、文章や甚だしきは章ごとばっさりカットされている部分があったりしたそうで、英訳版はあまりよいテキストとは言えないものだったようです。(旧訳のあとがきにも触れられていますが、どうしてこんなことをしちゃったのでしょうか…謎ですね。英語圏の読者はあまり翻訳に細かいことを言わないのでしょうか。)

そんなわけで、旧訳で読んだという方にもぜひ新訳での再読をオススメいたします。

もちろん物語の大筋が変わるということはありませんが、例えば今回の『笑う警官』では、この印象的なタイトルの元になっている歌詞が、新訳ではあるのに、旧訳にはありません。
ラスト一行でマルティン・ベックに対して同僚のレンナート・コルベリが、この歌の歌詞を受けて言うしゃれたセリフも旧訳ではカットされています。
また、登場人物の名前もスウェーデン語の発音に近づけられたのか、上述のコルベリの名前(クリスチャン・ネーム)は、旧訳では「レンナルト」となっていましたが、今回は「レンナート」となっています。同様に「メランデル」も「メランダー」に変更されています。

名前のカナ表記以外にも、印象が変わっているキャラクターもありました。
このシリーズはマルティン・ベックが中心人物ですが、基本的に群像劇ですので、大勢の警察官が登場します。この個性豊かなキャラクターの中で、わたくしのお気に入りはグンヴァルド・ラーソンとエイナール・ルンです。
このルンの話し方が、旧訳ではラーソンに対して丁寧語で話しているのですが、新訳では対等に話しています。旧訳の一人称が「ぼく」だったこともあって、若いイメージだったのですが、ルンは老眼鏡がいるような年齢だったようなので、新訳の話し方のほうが似合うように思います。「そうさなあ」といったしゃべり癖なども新訳の方が特徴が出ていていいのではないかと思いました。それにラーソンの唯一の親友でもあるので、対等の話し方の方がしっくりきます。

北欧のミステリーというと、ヴァランダーシリーズがそうであるように、とにかく陰鬱で事件も陰惨で読んでいて体の芯から冷えていくような作品かと思いがちですが、このマルティン・ベックシリーズは、起きる事件は陰惨なものの、ところどころクスリと笑えるようなユーモアが挟まれていて、改めて「こんなに読みやすいエンタテインメントだったかな」と思いました。
エド・マクベインの87分署シリーズと並んで警察小説の金字塔と呼ばれてきたそうですが、個人的にはマルティン・ベックシリーズの方が、警察小説としても群像劇としても好きです。87分署シリーズは主人公のスティーヴ・キャレラがどうにもいい子ちゃんすぎてあまり好きになれなかったこともあったのですが、架空の都市(ニューヨークをモデルにしているそうですが)が舞台ということもあったかと思います。
ミステリー、特に都市を舞台にしたシリーズもののミステリーは、その都市自体が重要な登場人物の役割を担っているという面もあるからだと思われます。


今から全10作品が、柳沢由実子さんの新訳で読めるのかと思うと、この先の楽しみができました。


このシリーズは映像化作品もけっこうあったようです。
スウェーデン版のヴァランダー警部ことロルフ・ラスゴードが、1990年代にドラマ化されたマルティン・ベックシリーズでラーソン役だったようで、ちょっとショックです(おいおい)。
機会があったらまた映像化された作品も見てみたいと思います。
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by n_umigame | 2013-10-28 20:29 | ミステリ | Trackback | Comments(0)