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『ラスト・ウェイ・アウト』フェデリコ・アシャット著/村岡直子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)早川書房

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テッド・マッケイは自分の頭に向けて拳銃をかまえた。妻と娘が旅行中の今日、とうとう自殺を決行するのだ。引き金に指をかけたそのとき、玄関の扉が激しく叩かれた。リンチと名乗った突然の来訪者は、ある「組織」からテッドへ依頼を伝えに来たと語りはじめる。その内容はあまりにも常軌を逸したものだった…。迷宮のごとき物語の果てには何があるのか。異様なるイメージと予測不能の展開が連続する、南米発の“奇書”
(Amazon.jp・画像も)


何を話してもネタバレになってしまう種類の本ですので、未読の方は回れ右でお願いします。








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by n_umigame | 2016-11-20 00:15 | | Trackback | Comments(0)

『狙った獣』マーガレット・ミラー著/雨沢泰訳(創元推理文庫)東京創元社

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(書影はAmazon.jpより)



莫大な遺産を継いだヘレンに、友人を名乗る謎めいた女から突然電話がかかってきた。最初は穏やかだった口調は徐々に狂気を帯び、ついには無惨な遺体となったヘレンの姿を予見したと告げる。母とも弟とも断絶した孤独なヘレンは、亡父の相談役だったコンサルタントに助けを求めるが……米国随一の心理ミステリの書き手による、古典的名作の呼び名も高いMWA最優秀長編賞受賞作。解説=宮脇孝雄/訳者あとがき=雨沢泰
(出版社HP)


『まるで天使のような』もタイトルから想像していたものとまったく違うおもしろさの作品でしたが、こちらもおもしろかったです。
「おもしろい」と言いましたが、読んでいる間、厭で厭で仕方がなく、こう、真綿で首を絞められるような何とも言えない不愉快さ、通勤途中の電車の中で走り出したくなりました。

原著は1955年に刊行されたということを頭においておく方がいい作品だと思います。
人によっては、こういう描かれ方はかなり不愉快に感じる方もいると思いますし、解説も含めて「今どきそれかい」というツッコミを入れざるを得ない部分があります。

マーガレット・ミラーの代表作などについての紹介は、こちらの記事がわかりやすいと思います。






長年邦訳が手軽に手に入らなかったと言うこともあり、マーガレット・ミラーを読むのはこれが2冊目です。


以下、ミステリーとしてのトリックも割っていますので、未読の方は回れ右推奨。






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by n_umigame | 2016-11-19 23:13 | | Trackback | Comments(0)

『ロルドの恐怖劇場』アンドレ・ド・ロルド著/平岡敦編訳(ちくま文庫)筑摩書房

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二十世紀初めのパリで、現在のホラーやスリラーの源流となったグラン・ギニョル劇が大ブームとなった。その代表的作家ロルドの短篇小説傑作選。
(出版社HP・画像も)



怖がりのくせに怖い話大好きにせうみがめです、ごきげんよう。
怖い話は好きなのですが、「ぐちゃっ」とか「ねちゃっ」とかいう擬音が聞こえそうなグロ描写が、ぜんぜんだめ。映画だと目を反らしたりして、がんばって完走する始末です。
本当はそこまでして見たくないので、基本的にそういうのは見ません。戦争映画も医療ドラマもダメ。痛いのダメです。

そんなわたくしのTwitterのTL上に、刊行前に一部内容紹介が流れて来まして、そのあまりに酸鼻をきわめる描写にツイートを読んでるだけで貧血が悪化しそうになり、たじろいで敬遠しかけたのですが、実際に読んだ方の感想が出始めて、それらを拝見している限りでは自分でもいけるかもと読んでみました。

で、最初の収録作品『精神病院の犯罪』が、残酷描写のための残酷な話みたいな作品で、またここでいったん休止。
ほかに楽しい本を読んで体力が多少回復したところで、再度2作目から読み始めたところ、今度はいけました。

ことほどさように、グロ描写が苦手な人間には多少ハードルの高い作品集です。

内容紹介に「現在のホラーやスリラーの源流となった」とあるように、読み慣れてくると、現代の小説と言うよりは、民話や都市伝説などの残酷描写に近いものがあり、ある種の様式美、典型が見えてきます。
登場人物もモダニズム的な背景や厚みを持った人間というよりは、役割を与えられて動く駒のようで、現在のホラー小説のお手本になったのも納得です。基礎工的な作品が多いので、その上に土台を積んだりデコレーションを盛ったりと、応用が効くのですね。
実際、多くの方の感想で見かけたように、ある作品はスティーヴン・キング原作の映画『ミスト』にとてもよく似ています。

著者のド・ロルドは医者崩れだったそうで、この短篇集も病院が舞台だったり、心身の病気にまつわる(現在から見ると偏見に満ちた)作品が多いです。
人生で2回全身麻酔が必要な手術をしていて、加えてグロがダメ、痛いの嫌いな自分には、そこも非常に読んでいてつらい本でした。

お話としてはよくできているというと不遜ですが、さすがに「典型」を形作ったパイオニアの作品集だと思いますので、心身ともに健康で、なおかつグロ描写が平気という方には、おすすめいたします。

ですが、まかりまちがっても、入院している人のお見舞いには持っていかないようにしましょう。
鉢植えより良識を疑われること、必至であります。





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by n_umigame | 2016-10-02 23:04 | | Trackback | Comments(0)

『ささやく真実』ヘレン・マクロイ著/駒月雅子訳(創元推理文庫)東京創元社

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奇抜な言動と悪趣味ないたずらで、周囲に騒動をもたらす美女クローディア。彼女が知人の研究室から持ち出した新薬には、強力な自白作用があった。クローディアはその薬を自宅のパーティーで飲みものに混ぜ、宴を悲惨な暴露大会に変容させてしまう。その報いか、深夜、彼女は何者かに殺害された……! 死体の発見者となった精神科医ウィリング博士が、意外な手がかりをもとに指摘する真犯人とは? マクロイ屈指の謎解き純度を誇る、傑作本格ミステリ。
(Amazon.jpより・画像も)


安心安定のヘレン・マクロイでした。

『小鬼の市』があまりピンと来ず、以降コンスタントに翻訳が出て、そのたびにそれなりにおいしくいただいていたのですが、やはりマクロイの翻訳が再度出始めたころの『幽霊の2/3』や『家蠅とカナリヤ』『殺す者と殺される者』辺りの傑作と比べると、クオリティが高いとは言いがたいなあというのが正直な感想でした。
ですが、今回は久しぶりに端正な謎解きをわくわくしながら楽しみました。

マクロイがよく使うような、オカルト的なところはなく、探偵役のウィリング博士が心理学者であるという設定を上手に使って犯人に迫る、非常に端正なミステリでした。
翻訳の文章ももちろんいいのでしょうが、マクロイの文章は読んでいて気持ちがいいです。
「ささやく真実」という邦題もすばらしいですよね。

ウィリング博士のシリーズではギゼラさんが好きで、ギゼラが出てくるとそれだけでうれしくなるのですが、いらいらするほど進展がなくてですね(笑)、で、時系列でうしろの方の作品だともう結婚してるんですよ。
ウィリングとギゼラさんの出会いを描いた作品もあるようなので、邦訳が待たれます。そしてなによりどのお話で結婚することになったのかも楽しみにしています。
今回の作品ではウィリングとギゼラさんとのデートに関する描写が重要な伏線になっていて、さすがだなあとうっとりしました。
ただののろけじゃないから、油断も隙もあったもんじゃありません。

東京創元社から出ているマクロイの本は、デザインも大好きです。



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by n_umigame | 2016-09-21 00:04 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『ミルク殺人と憂鬱な夏 中年警部クルフティンガー』フォルカー・クルプフル, ミハイル・コブル著/岡本朋子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)早川書房

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ふだんは平和なドイツの田舎町で、殺人事件発生。だが殺された食品開発技術者の周囲からは、動機も容疑者も浮かばない。それでもクルフティンガー警部率いる捜査陣は、懸命に捜査を進めてゆく……不器用にして恐妻家、要領は悪いが愛すべき中年警部の獅子奮迅の活躍を描き、ドイツで圧倒的な支持を受けた話題作
(出版社HP・書影はAmazon.jpより)




さらっと読めて、とても楽しかったです。
ヘレン・マクロイに続いて、久しぶりにミステリを読んで楽しいと感じました。(この感覚を大事にしたい)

カヴァーイラストがかわいらしくて(このイラスト、好きです)、タイトルからもコージーミステリーかと思われそうですが、一応きちんとした謎解き形式のミステリーでした。(“一応”て何という話はあとで)ちょっと真面目にミステリーしすぎていると感じるくらい。偏見覚悟で言うと、ドイツの人らしい生真面目さを感じました。いいなあ。

最近、ゲルマン諸語系と言いますか、鳴り物入りで日本に紹介されるドイツや北欧のミステリーというと、陰惨で気の滅入るような描写がこれでもかと続いて、それが露悪的であまりにも悪趣味にすぎるため、いいかげんげんなりして、最近は書店でもミステリーの棚にあまり近づかなくなっていました。そういうものもたまにはいいのですが、一つ何かがヒットしたらそればっかりになるというのは困りものだと思います。(ゆるゆるプリンが流行ったときの、ふつうのカスタードプリンを渇望するあの気持ちったらもう。)

そんな中でTwitterに流れてくる情報などで、あっ、これは私好きかもと手を出してみましたら正解でした。


さて、本書。
原書は2003年、今から13年も前に刊行されていたものです。すでにドイツでは大人気のシリーズで、ドラマ化もされているそうです。映像化作品もぜひ見たいと思わせる小説でした。
ドイツ語圏のミステリーを読み慣れていないせいか、最初はこの独特の雰囲気とノリになじむのに少し時間がかかりました。
でもそれに慣れてくると本当ににやにや顔が笑ってしまうし、ツッコミマシンにならざるをえないし、それをミステリーとしても大団円にまとめてくる 豪腕 手腕はすばらしいと思います(笑いながら)。いや本当に。「よくまとめたな!」って、こう、元気になると言いますか。真犯人がわかるシーンで顔笑ってましたもんね。(それもどうか)

この警察のゆるゆるな感じは、警察犬レックスがちょうかわいいドラマ『REX』を思い出しました。『REX』(はウイーンを舞台にしたドラマですが)も独特の雰囲気で、ミステリーとか警察ドラマとしてはどうなのかと思うエピソードも多く、それなのに見ていると何がおもしろいのかわからないんだけどとにかくおもしろいという、非常に頭悪そうな感想になってしまうところも似ているかもしれません。(※個人の感想です)


以下、少しネタバレですので、真っ白な状態で読みたい方は読了後にまたおいでください。


それで何が“「一応」謎解きミステリー”なのかと申しますと、本当に謎が解けるのは“一応”なのです。
別に探偵役のクルフティンガー警部や、警察の人たちの捜査や推理がすばらしいから犯人がわかるわけではないのです。(言い切った。)
そもそも推理が行き当たりばったりで、しかも推理は全部はずれます。
てゆうか推理してねえ。

それでどうやって事件を解決するんだと思われると思いますが、実際に読んでみたら、本当によくこれで解決まで持ち込んだなと、著者の 豪腕 手腕に惜しみない一人スタンディングオベーション状態でした。
クルフティンガー警部が主人公で主な探偵役ですが、私生活はダメだけど仕事は有能というタイプでもなくて、めちゃくちゃどんくさく、言ってしまうと公私ともにドジっ子です。(いいかげん太鼓は車から下ろせよと何度思ったことか)しかも部下に引かれるくらいケチ。本人は倹約家だと言い張ってますが、客観的にはケチ。(2回)
こんなどんくさくてケチな上司をもった部下に同情してしまいそうですが、部下もたいがいナチュラルボーン天然なのでバランス取れてます。
こんな警察でこの地域の治安とは。と考えてしまいますが、殺人事件がめったに起きないそうなので、結果オーライです。

中年の警察官が主人公だと家族関係が冷え切っているというのが多いですが、クルフティンガー警部は美人の奥さんともうまくいってるのかどうなのかよくわからないところだけがリアリティがあると言いますか、家族関係は概ね良好なようで、そこはほっとします。(クルフティンガー警部のお母さんは作家のエーリヒ・ケストナーのお母さんを思い出しました。)

以上、悪口しか言ってねえじゃねえかと思われるかもしれませんが、ほめてます。
だってこれでおもしろいって奇跡みたいじゃないですか。
クライマックス(?)の空港のシーンなんて、絵柄を想像して笑いが止まりませんでした。コントかよ。

内容はけっこう真面目に警察小説の形式を取った謎解きミステリーなのに、カヴァーイラストがコージーっぽくて、読者を選別してしまうかもしれないと思いましたが、登場するドイツの食べ物の描写がとても美味しそうで、うっかりコージーだと思って釣られた人もそうつかまされた気持ちにならずに済むんじゃないかと思います。そう考えたら秀逸なカヴァーですね。(ケーゼンシュペッツレというドイツ版チーズマカロニみたいなお料理があるそうで、これがとても美味しそう。)

こちらにレシピが載っています。→★「ケーゼ・シュペッツレ」



フロスト警部が好きな人は好きそうという感想を見かけました。当たらずと言えどもやっぱり少し遠いと言いますか、フロスト警部のキャラの方がよほど読んでいてしみるような人情に富み、私生活は哀愁にあふれ、おふざけはとことん悪趣味にふざけ、小説としてはいしいひさいち先生に「短篇集じゃないの」と言わしめた超絶技巧モジュラー型。あんな華麗なる職人芸では決してないです。あんなに下品でもないですし。
この根本的にゆるい雰囲気、まじめにやれと言いたいけれどどう見てもまじめにやっていることから来るおかしさ、フロスト警部のブリティッシュネスに比して、どこまでもこれがドイツなんだろうなと思う、ちょっぴり垢抜けないところも含めて、そんな楽しい小説でした。
続きが楽しみです。

シリーズのHPがありました。→
著者のお二人、お若いですね~。Twitterもされているようなので、ドイツ語OKな方は覗いてみられても楽しいんじゃないでしょうか。


ドラマの画像をちょこっとググったところ、こんな雰囲気のようです。
うわーちょう見てえええ(笑)。
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画像はこちらのサイトより。




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by n_umigame | 2016-09-20 22:31 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『世界を食べよう! : 東京外国語大学の世界料理』沼野恭子編(東京外国語大学出版会)

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人はその食べるところのもの。東京外国語大学の世界各地・各ジャンルの研究者たちが腕によりをかけて贈る30の「食」文化エッセイ。
(Amazon.jpより・画像も)


世界各国の料理を東京外国語大学の先生方がレシピ付きで紹介してくださっているエッセイ本。

帯にずらりと並んだ各国のお料理を見ているだけで幸せな気持ちになります。食いしん坊です。

大学の先生の書かれたエッセイなので、情熱メガ盛りの勢いエッセイではなく、受け狙いもなく、文章はやや硬めで客観的で淡々としたものが多いです。
なので、読んでいて退屈だと思う人がけっこういらっしゃるようなのですが、逆にわたくしはこの客観性がツボにきてどうしようかと思いました。

先生方にとっては「世界」は日常生活そのものか、その延長線上に密接に在るもので、ことさらに言い立てるものではないということはわかります。
わかりますが、「淡々と何を言い出すのか」という、その通常営業っぷりが怖い。


例えば、開いた口がふさがらなかったのが、ロシアの「塩漬けきのこ」です。

今ではフランス料理のサービスの方式だと思われている、料理を一品ずつ給仕する方法(前菜から始まって野菜やスープ、パン、魚、肉、チーズにフルーツ、デザートにコーヒー…という順番でサーブする方法)は、ロシアから始まってフランスに伝わったものであるなど、お勉強になるところから始まって、ふむふむつまりロシアの人はよく食べるということですねと読んでいると、あ、これなら家でもできるかも。と目を引いたレシピが「塩漬けきのこ」でした。

でしたのですが。


●作り方
①森へきのこ狩りに行く。

そこからですか。

食用きのこと毒きのこを峻別すること。

まって。それ素人には無理なんですけど。
しかもここまでが①で、前段階として当たり前の話になってるのって、どうなの。

②食用きのこをよく洗い、

”きのこは水を吸いやすいので洗わないで調理する”という日本のきのこ類の常識も通じないんですか。
通じないんですね。
だってロシアだもの。

適当な大きさに切る。

写真を見るとわかるのですが、これコロボックル住んでるよっていうサイズ。
にっこりロシア美女の顔くらいあるんですけど。
それをこのごっつい大柄なロシア美女が抱えているかご一杯に…。

③鍋に水と塩を入れて火にかけ(以下略)

魔女が鍋で煮物してる姿が頭から離れないのはわたしがファンタジー読み過ぎなの。

④~⑥は省略しまして、

⑦40日ほどしたら食卓へ。

魔女サバトはちょうスローフードでした。
(サバト決定かい)

おとなしくスーパーで買ってきたきのこで塩きのこ作ります。(すごすご…)


ほかにもタイではフォーを食べに行くのは「愛人に会いに行く❤」みたいに取られるとか、中国で揚州獅子頭(揚州風肉団子スープ)が激うまだったので4日間食べ続けたらシェフが出てきたとか、もう、先生方…?
個人的にアジアのお料理がとても美味しそうで、何でも、2011年に世界で一番美味しい料理ナンバーワンに輝いたという(自分のTwitterのTLでも話題の)マッサマンカレーの素が手に入ったので作ってみよう思います。





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by n_umigame | 2016-09-19 17:32 | | Trackback | Comments(0)

『中継ステーション』クリフォード・D・シマック著/山田順子訳(ハヤカワ文庫SF)早川書房


アメリカ中西部、ウィスコンシン州の片田舎にある一軒家――ごくふつうの農家にしか見えないその建物は、じつは銀河の星々を結ぶ中継ステーションだった。その農家で孤独に暮らす、元北軍兵士のイーノック・ウォレスは百年のあいだステーション管理人を務めてきたが、その存在を怪しむCIAが調査を開始していた……異星人たちが地球に来訪していると知っているただひとりの男の驚くべき日々を描く、ヒューゴー賞受賞作
(出版社HP)


クリフォード・D・シマックは長年あこがれの作家でした。
エラリイ・クイーンにハマったときによくお邪魔していたサイト様に、シマックのコーナーもあり、その管理人さんのクイーン作品評が大好きだったので、この方がおもしろいと言うならきっとおもしろいだろうと期待していました。
ところが、当時(も今も)シマックの作品を新刊の日本語で読むことはほとんどできず、たまたまSF短篇集に収録されていた作品を2作ほど読む機会があったのですが、予想どおり自分の好きなタイプの作品でした。

それ以来まったく読むことができなかったところへ、この『中継ステーション』が新訳、しかも山田順子さんの訳で再刊されるなんて! 知ったときは小躍りして、買ってすぐはもったいなくて、読まずにずっと寝かしていました。


シマックの作品は、「田舎SF」とか「田園SF」とか呼ばれているそうです(笑)。
短編を読んだイメージからもそんな感じで、舞台はいつもウィスコンシン州であることが多いようで、おかげでわたくしのウィスコンシン州のイメージはシマックの描く世界です。
言ってしまえば、ど田舎なのでしょう。(映画『マダガスカル』の番外編「ペンギン大作戦」で「ここほんとに南極? ウィスコンシン州では?」というジョークがあって、アメリカでもそういうイメージなんだろうなと思って大笑いしました)

『中継ステーション』は、ウィスコンシン州にある、一見何でもない農家が舞台。宇宙人の中継ステーションを営むことになったイーノックは、宇宙人に見初められて(笑)不老不死になり、このステーションの管理人を務めています。
この宇宙人たちは理性的でおだやかで、ときにちょっとしたトラブルが起きないでもないのだけれど、イーノックはただただ通過していく宇宙人達を受け入れては送り出し、日々はただ静かに過ぎていきます。

宇宙人が出てきますが、まったく派手さはありません。派手なアクションもなし。女性キャラクターも出てきますが、そういうラブもなし。
冷戦の時代に、真の平和とは何かということを真摯に考え、伝えようとした作品だと思います。そしてこれがアメリカの人の書いた作品だというのが、また沁みてきます。
アメリカはときどきとんでもない国だと思うことがありますが、時代の一角に必ず善き心と自分にできることをしようという行動を伴った人が現れる分、日本より自浄作用がある国なのではないかと思うことがあります。

それが幻想だと言ってしまえばそれまでなのですが、いわゆる「古き良きアメリカ」の良心のような、あたたかさや居心地の良さが、シマックの作品にはあります。
どことなくシオドア・スタージョンにも通じるものがあるように感じました。ガジェットや壮大さで読ませるSFではなく、この人の文章や、描く世界にずっといたいと思うような心地よさがあります。読み終わったときに「ここ、これは傑作じゃあ!」と立ち上がってしまうような作品では無く、静かに本を閉じたら自分がにっこり微笑んでいることに気づくような。
これがSFだというのがとても面白い。SFというジャンルの幅の広さ、底の深さを改めて思ってしまいます。






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by n_umigame | 2016-08-15 21:05 | | Trackback | Comments(0)

『丹生都比売 梨木香歩作品集』梨木香歩著(新潮社)



胸奥の深い森へと還って行く。見失っていた自分に立ち返るために……。蘇りの水と水銀を司る神霊に守られて吉野の地に生きる草壁皇子の物語――歴史に材をとった中篇「丹生都比売」と、「月と潮騒」「トウネンの耳」「カコの話」「本棚にならぶ」「旅行鞄のなかから」「コート」「夏の朝」「ハクガン異聞」、1994年から2011年の8篇の作品を収録する、初めての作品集。しずかに澄みわたる、梨木香歩の小説世界。
(Amazon.jpより)


梨木香歩さんの小説やエッセイが好きでひところよく読んでいたのですが、最近とんとご無沙汰で、久しぶりに読みました。
地味に日本古代史祭りが続いていまして、どうしても表題作が読みたかったのです。

とりあえず表題作だけの感想ですが、以下、ネタバレです。








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by n_umigame | 2016-08-15 00:07 | | Trackback | Comments(0)

『ハイ・ライズ』J・G・バラード著/村上博基訳(創元SF文庫)東京創元社



ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校まで備えたこの一個の世界は、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の上層部に階層化していた。全室が入居済みとなったある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。中期の傑作。解説=渡邊利道
(出版社HP)


こちらは原作の感想です。
映画の感想はこちらへ→


J・G・バラードとの接点は、高校生の時に読んだ短篇集『永遠へのパスポート』と、スピルバーグ監督作品で映画化された『太陽の帝国』の2点くらいでした。
代表作と言われる『結晶世界』も未読で、バラードがどういう作家だったのかはほとんど知りません。
ただ、多感な年頃に読んだはずの『永遠へのパスポート』をしてからほとんど記憶に残っていないところからすると、自分にはあまり刺さらなかったと見え、今回『ハイ・ライズ』を読んでみて、その理由が何となくわかったように思いました。

以下、感想です。
ネタバレがどうこうという種類の小説ではないと思いますが、真っ白の状態で作品を楽しみたい方は、ここで回れ右でお願いします。







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by n_umigame | 2016-08-14 23:07 | | Trackback | Comments(0)

E.クイーンのジュブナイル『見習い探偵ジュナの冒険』カヴァーイラスト、アップ!

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見習い探偵ジュナの冒険
幽霊屋敷と消えたオウム
エラリー・クイーン/作 マツリ/絵 中村佐千江/訳
ISBN 978-4-04-631588-5-C8297
定価(税込):734円
名探偵エラリー・クイーンの助手ジュナは、幽霊屋敷の調査を始めるが、女の子がいたり、オウムが消えたりと不可解な現象が続く。同じころ町で起こったにせ札事件も気になっていたが──!?
(画像・内容紹介とも、角川つばさ文庫公式サイトより)

誰、このイケメン。


というわけで、こちらの記事でもご紹介しましたように、クイーンが「エラリイ・クイーンJr」名義(貸し)で書いたジュブナイル、「ジュナの冒険シリーズ」が、角川つばさ文庫から刊行です。
同シリーズのほかの作品も出るのかどうかは、見ている限り、現時点では不明ですが、できれば全部出て欲しいですね。早川書房から出ていたものが今手に入りませんし。

いわゆる国名シリーズに登場しているジューナとは別のキャラクターですが、角川文庫から新訳で出た表紙がアレだし、角川さんだし(2回)、表紙、どうなる こと かしら…と そわそわ ドキドキしながら待っておりましたけれども、わりとおとなしいですね?(どうなってほしかったのか)

ジュナの冒険シリーズに出てくジューナって、昔のジュブナイルということもあって、いかにも当時の大人受けしそうな、折り目正しい、適度な冒険をする男の子、という感じなのですけれど、今回の表紙は、ええ感じにいちびり、じゃなくて、どちらかというと国名シリーズの頃のエラリイが子ども時代ってこんな感じ? っていう、小学生のとき下手したらいじめられませんでした? じゃなくて、やんちゃそうでいいですね。
(エラリイの青春時代は暗かったそうですけど、そらあんた国名シリーズのとき20代でもあのいちびりっぷりで、中2(物理)の頃どんなんだったか想像しただけでもう)

自分も小学校3~4年生のときには大人の文庫本読んでましたので、今でも早い子なら、一足飛びに大人の文庫本に手を出すと思いますが、まだまだそれは、という子どもたちにも、これをきっかけに 沼に クイーンを読む読者が一人でも増えてほしいですね。
クイーンのイベントやら拝見していると、そして人のことは言えませんが、失礼ながら、やはり読者やファンが高齢化してきているようですので、ここらでいっちょ、若さはじける読者層にも広がっていってほしいと思います。
あの国名シリーズのときのエラリイって、子どものころや、せいぜい中学生くらいまでにクイーンを読んだ人には「かっこいい」と見えたり、少なくともあんまりアレコレ気にならないようですので、若さゆえに何かが見えない状態での読書も、ある意味大事だと思います。
のめりこめる深さも全然違いますしね。








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by n_umigame | 2016-07-26 23:08 | *ellery queen* | Trackback | Comments(0)