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ゴーリーさんの本・つぶやき感想文



せっかくゴーリー展に行ってきたので、自分がどれくらいゴーリーの作品を読んでいるのか、自分めも。ネタバレ含む。
タイトル一覧はWikipediaのゴーリーのページより転載しました。


『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで』 The Gashlycrumb Tinies: or After the Outing (2000年) 
⇒ゴーリーの本は、とにかく子どもが死ぬのですが、なんにも悪いことしていないのにあっさりと(しかも悲惨な状況で)死んでいくので、お説教くさくなく、どことなくユーモアにつながっていくのだろうかと思いますが、答えはまだ出ません。


『うろんな客』 The Doubtful Guest (2000年)
⇒「うろんな客」とは誰/何なのか、いつまででも考えられる本です。初めて読んだときはなんでコンバースのバッシュみたいなの履いてんだろうヴィクトリア朝なのに、などと思っていたのですが、ゴーリーさんがお好きだったのですね。(※前述したようにヴィクトリア朝はわたくしの思い込み)


『題のない本』 The Untitled Book (2000年)
⇒好き。わけわかんないけど好き。このカバのぬいぐるみみたいなもの、グッズを出してほしいと思うくらい好き。


『優雅に叱責する自転車』 The Epiplectic Bicycle (2000年)
⇒未読。本屋さんで立ち読みしたことはある。(ダメじゃん)


『不幸な子供』 The Hapless Child (2001年)
⇒『小公女』のちょうバッドエンド版というか。ゴーリーの本は子どもがひどい目に遭うことで有名ですが、本人は何も悪くないのにひどい目に遭う理不尽さがもう、パクチー初めて食べたときみたいな感じ。(わかって)なので、好きになってしまうとパクチーおかわりするくらいにまでなりますよね。


『蒼い時』 L'Heure Bleue (2001年)
⇒未読。表紙の犬(?)がかわいい。なぜこれだけ原タイトルがフランス語なのか、読んだらわかるのかしら。


『華々しき鼻血』 The Glorious Nosebleed (2001年)
⇒これも未読。有名な一冊ですよね。タイトルだけでもごはんおかわりできそうです。本屋さんで立ち読みしたことはある。(ダメじゃん)


『敬虔な幼子』 The Pious Infant (2002年)
⇒未読。もうタイトルだけで怖いし苦笑いしてしまう。これがゴーリーの本でなければ説教臭ぷんぷんしそうですが(笑)。


『ウエスト・ウイング』 The West Wing (2002年)
⇒いっさい文字がない絵本。『題のない本』だって擬音しかないじゃない、ゴーリーの本、文字あってもなくてもいっしょじゃない?(暴言)という向きもあるかと思われますが、ぜんぜん違いますね…。『題のない本』は、一応ちゃんと「オチて」いますが、この本は夢…それも悪夢みたいです。唐突に始まって断片的で、あらゆる解釈ができそうでもあり、それらの解釈をすべて拒みそうでもあるような、そんな本です。落ち込んでるときは開かない方がいいと思います。


『弦のないハープ またはイアブラス氏小説を書く。』 The Unstrung Harp: or Mr. Earbrass Writes a Novel (2003年)
『雑多なアルファベット』 The Eclectic Abecedarium (2003年)
『キャッテゴーリー』 Categor Y (2003年)
『まったき動物園』 The Utter Zoo (2004年)
⇒この辺りまったく読んでいない。この中からだと、どれがおすすめですか。


『おぞましい二人』 The Loathsome Couple(2004年)
⇒イギリスで実際に起きた「ムーアズ殺人事件」を描いた作品。シンボリックなゴーリーの他の作品とは違い、具体的で、それでいてやっぱりゴーリーとしか言いようがないような一冊です。読後、いろいろ考えてしまって、気が滅入る本です。人が愛されないで大人になってしまったことの悲しさ、弱さ。愚かであることの悲しさ、弱さ。そしてそれがどちらも揃ってしまったときに時として生まれる悲劇の恐ろしさが、これでもかと伝わってきます。


『ジャンブリーズ』 The Jumblies (2007年)
イギリスのナンセンス詩人で画家でもあるエドワード・リアのリメリック(5行脚韻詩)に、ゴーリーが絵をつけた絵本。読んだことがあるゴーリーの本の中で、実はこれが一番好きなのです。文章部分はゴーリーじゃないけど、ごめんなさい。
ドラマ『ルイス警部』で、夫が昏睡状態の妻に枕辺でこの詩を読んであげるシーンがあり、それで知った作品でした。悲しいシーンなのですが、なんだかこの詩がぴったりで。
詩自体はとても愉快で、マザーグースに出てくる「ゴータム村の3賢人」に似ています。ゴーリーの絵本なのに全然怖くなくて、可愛い、けれども何とも言えず苦笑いしてしまうような本です。ちなみにこの「ゴータム(Gotham)」というのは阿呆ばかりが住んでいたという村で、ニューヨーク市のニックネームの元ネタです。綴りから「ゴッサム/ゴサム」と読んで、某コウモリ男が住んでいる架空の街の名前にもなっていますね。


『輝ける鼻のどんぐ』 The Dong with a Luminous Nose (2007年)
『悪いことをして罰が当たった子どもたちの本』 Cautionary Tales for Children (2010年)
『むしのほん』 The Bug Book (2014年)
『蟲の神』 The Insect God (2014年)
⇒この辺りも未読。因果応報で罰が当たる子どものお話も、ちゃんとあるんだ(笑)。『輝ける~』なんて代表作だろ、読まないとダメですね。

いい機会なので、未読のゴーリーさんの本を、また読んでいきたいと思います。

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by n_umigame | 2016-05-25 00:33 | | Trackback | Comments(0)

"The Journey of the Penguin" by Emiliano Ponzi(Penguin Books)


To celebrate 80 years of Penguin Books, a charming picture book that tells the imagined story of the penguin who waddled his way into history as the symbol of a beloved publisher.
(Amazon.jp)


1935年にアレン・レーンによって創業されたペンギン・ブックス。その創業80周年を記念して出版された絵本です。

中は文字(読むところ)はいっさいなく、絵だけで物語をたどれるようになっています。
ペンギン・ブックスのマークシンボルであるペンギンくん(the Penguin=あのペンギン)が、思うところある様子で南極で大勢の仲間から離れて旅に出、成功して家族を得て幸せになるところまでが描かれています。
レトロな絵柄と中間色の色あいがとてもシックで、眺めているだけでもとても楽しい絵本です。飾っておいてもおしゃれ。
ペンギン・ブックスに興味がなくても、ペンギン好き、海の生き物好き(シロクマや巨大タコも登場します。某映画を思い出さざるをえないじゃないですか(笑))、レトロなデザイン好きな方にもおすすめします。

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(※画像は出版社HPより)

こちらのサイトで一部中を見ることができます。


ペンギン・ブックスは、本というと、それまで高価なハードカバーが当たり前だった時代にペーパーバックという廉価版の出版を始めたという意味で、画期的なレーベルであり、出版社でした。
言われてみれば、英語圏の本って判型もばらばらだし重いし臭いし独特の臭いがするし、そして高いですよね。
本というものが一部の教養人の贅沢品だった背景があって、そうなったそうです。
いや、英語圏のペーパーバックってカバー(ダストジャケット)がないのがふつうだし、新刊で購入したのに一回開いただけで背が割れるとかあるあるじゃん?なのですが、それでも、優れたフィクションやノンフィクションを、手軽なお値段で買って読めるようにしたという功績は大きかったと思います。
(日本の本は、ほかのものとの物価と比較してもとても安いと思います。そして廉価版の文庫や新書などの紙質や印刷技術の高さは、間違いなく世界一だと思いますので、これと比較してはいかんのです。たぶん。)


本というものは、「本が身近にある」という環境が大事なんだと思います。
いちいち図書館に借りに行ったり、何か機器を起動したりする必要があるものだと、どうしてもワンクッションあります。なので、そういう手段は本がある程度好きな人向けだと思うのですね。
夏休みに田舎のおばあちゃんの部屋で「この棚にある本は大人の本やから、子どもは見たらあかんで」と言われた本だから見たくなるとか、家で寝転んでて手を伸ばしたところに本があるとか、そういう環境がきっと理想。
それを大人がおもしろそうに夢中で読んでいる姿を見せるともっといい。
たくさんある必要はないのです。数ではなく質で、子どもは特に、おもしろい本があると、それを何度でも何度でも楽しめるものです。話がネタバレだからつまらない本というのは、ネタバレしなくてもつまらない本なのです(言い切りよった)。


パブリック・ドメインで無料で読めるコンテンツであっても、電子書籍なら150円でも、ペンギン・ブックスがシェイクスピアなどを「紙の本」として刊行し続けているのは、きっとこの「身近に本がある」ことの大切さを知ってほしいからということもあるのではないかと思います。

ペンギングループはその後"パフィン"という児童向けのレーベルもペーパーバックで刊行を開始しました。どちらもよちよち歩く可愛い鳥にしたのは、なにかわけがあるのでしょうか。
いつかパフィンくんの絵本も読みたいです。




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by n_umigame | 2016-01-03 00:26 | | Trackback | Comments(0)

『いるのいないの』京極夏彦著/町田尚子絵(怪談えほん3)岩崎書店

おばあさんの住む古い家でしばらく暮らすことになった。家の暗がりが気になって気になってしかたない。―京極夏彦と町田尚子が腹の底から「こわい」をひきずりだす。
(Amazon.jpより)


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だって、夏だもの★怪談祭り(自分内)第二弾。

こちらはご紹介です。

今から3年ほど前に刊行された、怪談と言えばこの方、東雅夫さん編集による「怪談えほん」シリーズ。そのうちの1冊ですが、シリーズ中、ぶっちぎりの怖さ。

実は持っていません。閉店間際の書店で立ち読みしていて(すみません)、あまりのことに「ひゅっ」とか声にならない声が出て、反射的に本を閉じて書棚に返し、そのまま逃げるようにおうちに帰ってしまったからです。正解だったと思います。家に置いておきたくないです、この本。書店さんには悪かったですが、いつも買ってるから笑ってこらえて?

わたくしの父方の祖父の家は、祖父の父、つまり曾祖父の代までは農家だったらしく、この絵本に出てくるような、天上の高い、平屋の日本家屋でした。台所は土間でかまどがあり、庭には小さな井戸がありました。もちろんお手洗いは家の外。わたくしが小学生の頃くらいまでまだ使っていたらしく、毎年お正月にはそのかまどでもち米を炊いて、杵と臼で親戚一同で餅つきをしていました。子どもだったせいか、その家がとても広く感じたことと、夏場でも屋内はひんやりとしていたこと、天井が見通せないほど暗くて高く感じたことを覚えています。その家に泊まるのが怖くていやでした。

そのときの記憶が甦るなんの。怖いよう…。

この絵本に登場するおばあさんは、一度も顔が描かれないのですよね。しかもだいたい見切れている。このおばあさんも何だか怖いのです。
「見えるのなら、いるだろう」というのは、ある意味本質なのかもしれません。
今市子さんの『百鬼夜行抄』で、妖魔が見える主人公が、妖魔がすぐそばにいることに気づきながら、見えていないふりをするシーンがあります。「見る」という行為が「在る」ことを証明してしまう、そういうことなのだろうかと思うのです。

絵本ならではの、ページをめくったときの仕掛けが効いている本です。決してネタバレを先に見たりせず、実物を手にゆっくりとめくりながら最後までお楽しみ下さい。
読み終わったあと目を閉じても最後のページが頭から離れなくなりますが、余韻まで味わうのが遠足です。
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by n_umigame | 2015-08-06 19:58 | | Trackback | Comments(0)

『こわい絵本:おとなと子どものファンタジー』(別冊太陽 日本のこころ230)平凡社

「こわい」の豊饒な真理に目覚めさせる注目の絵本を、さまざまなジャンルから約80冊選んでおくるユニークで不思議なブックガイド。(Amazon.jpより)


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 怖いお話と言えばこの方、東雅夫さんの前書きが、まず秀逸です。新しい本を読み始めるときの逸る心を抑えて(笑)、ここはまず前書きにゆっくり目を通してから本文に入られることをおすすめいたします。

 国内外の秀逸な絵本がバランス良く選ばれていると思います。特に昔話や伝承系の絵本は、話者(文章)と絵を描く方のバリエーションだけでも膨大な分量です。そんな世界中の絵本の中から80冊に絞られるのも、きっと断腸の思いでなされたのではないでしょうか。なにせ、絵本はすばらしいものがあれだけ出ているのに、この本で紹介されるのは、たった80冊ですから。
 選書と解説をされた方がお二人いらっしゃるのですが、どちらも女性なので、できれば女性と男性がいた方が良かったかもしれません。絵本になじみのある方ほど「俺の私のあれがない!」となりそうなのが難しいですね(笑)。
 ロングテールから比較的最近のものまで広く目配りされているので、図書館や学校、保育所などで、夏に怖いおはなし会をしたいのだけれど、何かいい怖い絵本はないか、といったときの、選書のレファレンスツールとしても大変お役立ちな一冊になると思われます。別冊太陽ですから、全ページカラーイラストで、目にも美しい造本になっています。


 しかし、絵本の怖さは本当に怖い。
 いい年した大人になっても、人間として、あるいは風土に息づいているものを感じながら育った生き物として、根源的な怖さを心の奥底から起動させるには、絵本という表現媒体は本当に秀逸だと思います。
 昔話・伝承系は、激動の時代を何度も経て、連綿と受け継がれてきたものなので、やはり有無を言わせぬ原初的な怖さがあります。この世に意志をもって生きているのは人間だけではないというざわざわとした存在を感じたり、目に見えぬ大きな手にぎゅっと握られているような、そんな怖さがあります。
 人間の怖さを感じさせるのは、核戦争であったり地獄絵(宗教が絡む)であったり、狂気をはらむ絵本ですね。人間の愚かさ、醜さ、脆さ、悲しさがこれでもかと描かれている怖さです。しかもそれが子どもにもわかるように本当に端的に表現されています。
 
 わたくしの子どもの頃の「怖い」の原体験は、やはりご多分に漏れず絵本でした。『ねないこだれだ』は鮮烈でしたね。家に転がっていたこの絵本を、対象年齢よりずっと大きくなってから読んでも、怖くて眠れなくなるくらいのインパクトはありました。あまりにも怖いので、松谷みよ子さんの「オバケちゃん」の本と交互に読んでました。その後、まんが日本昔ばなしに、夏の怪談のお株は取られてしまいましたが(笑)。
 松谷みよ子さんというと『死の国からのバトン』という作品もあります。『ねないこだれだ』の怖さも、オバケにつれていかれると行ったまま戻れない、つまり、死のメタファであるから怖いのだと、大人になってからは理解できます。夜更かししただけであの世送りって怖すぎるだろとずっと思っていました。でも、「死」とはそういう理不尽なものだということも、今なら理解できます。


 子どもの頃に「怖い」「悲しい」「さみしい」といったネガティブな感情を喚起する本を、親が読ませないようになってきている、とは、ここ最近よく聞く話です。これはディズニーアニメの影響などもあるのかもしれませんが、なんでもハッピーエンディングにすれば良いという安易な風潮は、やはり人間が成長していく過程で、よろしくないと思います。
 ネガティブな感情というのは感染症と同じで、ある程度免疫を持っていると悪化しないというメリットもあります。もちろん行きすぎたり、自分が弱っていると重症化したり、最悪の場合は死んでしまうというデメリットもあります。なにごとも程度問題、バランスの問題だと思うので、全否定はやはりよくない。

 これもよく言われますが、こういう本を読んであげるときに、その子が安心できる存在がそばにいてあげることが大事なのだろうと思います。
 この本の中でも、保育園で「キャー、こわい!」と笑いながらお友だちに抱きついたりして、お話を聞いている子どもたちの様子が紹介されています。お友だちにつられて、あるいは手前(笑)、笑っていても、実は本気でとても怖い思いをしている感受性の豊かな子どもが、必ずいるはずです。そのとき、安心してしがみつける人が、そばにいるのといないのとで、その子の「怖い」がその子の中で、その後成熟していくのか、未熟なままでいびつに冷えて固まるのか、全然違ってくると思います。
 かく言う自分は、読み聞かせをしてくれるような親ではありませでしたので、子どものころから本は一人で読んでいました。(本だけはあった、という状況には十分感謝していますが) おかげで自分でバランスを取るということをしなくてはいけませんでしたが(明るいオバケ本と暗いオバケ本を交互に読んだりですね(笑))、それでも子どものころに、諸々の「怖い本」と出会っておいて良かったと思っています。

 この本の中で紹介されている絵本で、自分の知らない本もけっこうあったので、できれば全部ゆっくり読んでいきたいと思います。
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by n_umigame | 2015-07-09 19:40 | | Trackback | Comments(0)

『ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア 』ジェフリー・ブラウン作/冨永晶子訳(辰巳出版)


『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』に続く暗黒卿の子育て絵本"待望の"第2弾。
父ダース・ヴェイダー&思春期のレイア姫。はるか銀河彼方で繰り広げられる親子の日常ストーリー
ティーパーティーの相手をしたり、TIEファイターの操縦を教えたり… 可愛くておてんばなレイア姫に振り回される! ?
(Amazon.jp)



息子のルークのときと違って、レイアとの関係は成長してからのことも描かれています。
今回もほのぼのニヤニヤの連続でした。

 やはり息子のときとは勝手が違うというか、自分が女性だからか、娘の行動パターンあるあるに頷きながら笑いながら読んでしまいました。
 例えば、宿題ほったらかしでずーっと友だちとしゃべっていたり(R2D2が家にいてくれたら絶対こうなるわ(笑))、恋愛相談?に乗ってくれるんだけどトンチンカンなアドバイスしかできないダース・ヴェイダーとか、マックス・レボのコンサート(コンサートだったのかアレ…)に行きたいという兄妹にレコードを見て心配そうなダース・ヴェイダーとか、学費のかかる娘にいろいろ悩むダース・ヴェイダーとか。
極めつけは「わたしにキスしようとしただけじゃない!」ですね(笑)。ハン・ソロ…(笑)。
岡田あーみん先生の『お父さんは心配性』みたいでこれも大笑いでした。

 ダース・ヴェイダーはこんな良い父親ではなく、こんな心温まる親子の時間を持ったはずはなかった、だから受け入れられないという感想も見かけましたが、わたくしは、二次創作は、それがいくら原作ではありえないシチュエーションでも、遡及させる力があれば成功だと思っています。
 つまり、その二次創作を見たり読んだりしたことで、原作をもう一度見てみたいと思わせるかどうか。(知らなかったけど見てみたい、というのもある種の理想ですが、ほんとうは二次創作は原典を見て/読んでからの方が良いと思います。どうしても先入観ができてしまうので)
 そういう意味では、このシリーズは成功していると思います。

 でも残念ながら子どもは二人なので、このシリーズはこれまででしょうか。
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by n_umigame | 2013-05-27 22:11 | | Trackback | Comments(0)

『リアさんって人、とっても愉快!』エドワード・リア著/ロバート・イングペン絵/柳瀬尚紀訳(西村書店)

エドワード・リアのナンセンス詩の世界へようこそ!ふくろう君とにゃんこ嬢にいざなわれ、ジャンブリーは船出、さまよう光鼻の団禺…。おかしな、おかしなナンセンス詩とともに、評伝や手紙から、植物図譜まで、リアさんの楽しさがいっぱい!エドワード・リア生誕200年を記念して、国際アンデルセン賞受賞画家が、魅力あふれるイラストで飾る。 (Amazon.jp)


サブタイトルは「 エドワード・リア ナンセンス詩の世界」。

今年初めて読んだ本は、この絵本です。

柴田元幸氏訳の『ジャンブリーズ』を読んでエドワード・リアのファンになりました。
今回こちらの本が出たのでぜひ読み比べたいと思い購入しました。

柴田訳はリズム重視のばっさりと潔い訳、柳瀬訳は逐語訳重視の丁寧な訳、という印象です。
もちろん柳瀬訳も韻に配慮して訳されているのですが、先に柴田訳を読んでしまうと少し冗長で硬い印象を受けます。
柳瀬訳は文字数の多さに加えて漢字も多いこと、編集の問題ですがページ辺りの文字の配置と配分がばらばらで、ページをめくるリズムと読むリズムが一定にならないことが気になりました。
本の構成も、柴田訳の方は原文と訳文が左1p、イラストが右1pと目に入ってくる情報が等分ですっきりしていて読みやすい。それから個人的にゴーリーの絵が好きだというのもあり、『ジャンブリーズ』だけに限って申しますと、柴田訳(河出書房新社版)の方が好きです。最初に読んですり込みされたということもあるかもしれませんが、原文がリメリックなのでリズムがいい方が逐語で追うより日本語で読んでいて楽しいと感じます。

詩なので、訳に関しては本当に好き好きだと思いますが、どちらも実際に書店で少しご覧になってから買われることを特にオススメしたい絵本です。

こちらの本は、そんなわけで、エドワード・リアの代表作とどういう人だったかなどを含めて概観するための本としては最適だと思います。

こちらも比較になってしまって申し訳ないのですが、ゴーリーのシンプルにデフォルメされた『ジャンブリーズ』の漫画チックな絵が好きなので、ロバート・イングペンさんのイラストはもちろん美しいけれど、真面目で固い、「いかにも絵本の絵」な印象でした。
イラストの方もですから好き好きですが、個人的にはゴーリーの「抜け感」がリアのナンセンスな世界にマッチしているように思います。
(ゴーリーは他の作品が恐ろしいものが多いので、そのギャップにはまったというのもあります(笑)。すみません、ギャップ萌えで…。)
絵の部分は冒頭のリアによる鳥類の絵…イラストというよりもう博物絵ですね…こちらに目を奪われました。

エドワード・リアが世を去る少し前にエミリー・テニソンから寄せられたという手紙の一文が胸を打ちます。
「あなたが長年どれほど孤独な人生を送ってこられたにしても、けっして忘れないでください。この世代のみならず将来の世代の多くの人びとの人生に、かずかずのとても美しい生きものや思いを住まわせる稀有な天賦の才を、あなたはお持ちなのです。」

リアさんファンと、鳥、ネコファンの方はぜひ(笑)。
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by n_umigame | 2013-01-02 18:40 | | Trackback | Comments(0)

『うどんのうーやん』岡田よしたか さく(ブロンズ新社)

人手がたりないうどん屋さん。うどんのうーやんは、自分で出前にでかけます。道を走っていると、からからのメザシやふにゃふにゃの絹ごしどうふと出会います。やさしくてふとっぱらなうーやんは、どんどん自分のどんぶりに乗っけて、川をわたり山をこえ...... さて、無事に出前を届けることはできるのでしょうか!?
(出版社HP)



『ちくわのわーさん』に続く衝撃の第2弾。
さらにシュールに、さらに爆発的な笑いのタネをひっさげて帰ってきましたよ。

うどんのうーやんは人情に厚い大阪弁のうどん。
人手不足のうどん屋のご主人の代わりに、今日も出前に大忙しです。

「わたるしかないやろ」のところで、うっかりうどんに惚れるところでしたよ危ねえ。

最後のページはもちろんのこと、裏表紙までゆっくり味わって読んでいただきたい1冊です。
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by n_umigame | 2012-09-22 00:03 | | Trackback | Comments(0)

『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』ジェフリー・ブラウン作/とみながあきこ訳(辰巳出版)

すべてのスターウォーズファンに贈る笑って泣けるユーモアブック。

ダース・ヴェイダー(父)&ルーク・スカイウォーカー(息子4歳)、銀河の彼方で繰り広げる父と息子の日常ストーリー

”もしも、ダース・ヴェイダーが子育てに積極的だったなら”
シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーは、反乱同盟軍の英雄たちと戦うべく、銀河帝国軍を率いる。だが、そのまえに、まず4歳の息子、ルーク・スカイウォーと
遊んでやる必要がある・・・
(Amazon.jp)


帯によると「ルーカス・フィルム公認 暗黒卿の子育て絵本」だそうです。

まったく、なんですか、この父子萌え狙い撃ち絵本は!
けしからんですね!!(*゚д゚*)=3
翻訳が出る前からあまぞんさんでストーキングしていた甲斐があったというものですよ。

わたくし、映画は一応全作品見ているものの、スター・ウォーズサーガには詳しくないのです。
が、それでもこれは笑って笑って、最後の一ページはほろりとさせられました。

まず、絵が良いですね。
マーカーと色鉛筆を使ったようなタッチで、わざと塗り跡を残してあるのですが、画面全体に丁寧に書き込まれていて、あたたかい印象が、このほのぼのとした内容と合っています。

内容は、たぶんファンだったら倍笑えるんじゃないかなと予想します。
ダース・ヴェイダーのしゃべり方がまったく彼らしいのも笑えますが、けっこう親ばかで息子に気を使っているところがかわいい反面、ケンカしてきたらちゃんと事情を聞く(むやみに息子の肩を持たない)とか公平なところも意外で(笑)、愛されてるアンチ・ヒーローだなあと思いました。
ときには一人になりたい、というダース・ヴェイダーも、作者の方が子育て中のご様子で実感がこもっています。シングル・ファーザーのダース・ヴェイダーはさらにたいへんなことでしょうね(笑)。

そんなダース・ヴェイダーに気を使う帝国軍のみなさんも愉快です。

一番ツボだったのは、誕生日プレゼントを自分でラッピングするヴェイダー卿(←すごい不器用)です。

SWサーガファンはもちろんのこと、子育て絵本としてもおすすめなんじゃないでしょうか(笑)。
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by n_umigame | 2012-05-28 22:24 | | Trackback | Comments(2)

『ジャンブリーズ』エドワード・リア文/エドワード・ゴーリー絵/柴田元幸訳(河出書房新社)

詩人リアの傑作5行詩(リメリック)に、奇才ゴーリーが絵を描いた! ジャンブリーズが住む海の向こうへ……。ふたりのエドワードによる、ナンセンスにあふれたごきげんな絵本! (出版社HP)


ドラマ『ルイス警部』の第19話で「ふるいに乗って海に出た…」と、登場人物が読み聞かせるシーンで一目惚れ(一聞き惚れ?)しまして、しかも河出書房新社からゴーリーのイラストで出ているとあっては、もう中味も見ずに購入決定でした。

期待に違わず、とてもおもしろかった!
絵本なので、すでに何度も何度も読みました。

リメリック(5行詩)と呼ばれる形式の作品ですが、英語も読みやすいです。
これは翻訳がたいへんだったかと思います。

ゴーリーの作品はブラックなものが多いので、これもラストはそんなオチになるのかと思っていましたが、いちおうハッピーエンドでした。ゴーリーの絵の割には絵柄もかわいらしいです。
ナンセンス詩なので、意味を考えてどうこうという作品ではありませんが、「友人がひきとめるにも関わらずふるいに乗って海に出る」というところに、何かアイロニーみたいなものを感じます。
そもそもふるいを船にしようと考える時点でおかしいのですが。
ドラマで聞いたときも、マザーグースの唄にある「お椀に乗って海に出た…」を思い出していたのですが、この本の巻末にも掲載されていました。
15世紀の風刺文学『阿呆船』にルーツがあるのだそうですね。

「お椀に乗って海に出た…」も、坂田靖子さんの『ライム博士の12か月』に登場するのですが、北原白秋訳が元ネタと思われる
「ゴットハムの三利口
お椀にのって海に出た
もすこしお椀が丈夫なら
ここらで歌は終わらない」
が好きです。

「ゴットハム」とあるのはGothamで、以前当ブログでも書きましたが、元はイギリスにある阿呆ばかりが住んでいたという村だとか。今はニューヨークの別名でもあるそうです。エラリイ・クイーンの『九尾の猫』の冒頭にも出てきますが、阿呆ばかりを乗せた船、というところが、何か世界的にばかばかしい(悲しい)事件が起きると、それはこの「宇宙船地球号」のことなのかと思うことがあります。
でもこの『ジャンブリーズ』を読むと、阿呆ばかりを乗せた船もときには楽しいかも、と思いました。

ところで、「ジャンブリーズ」って何なんでしょうね。
「頭は緑 手は青い」んだそうです。
ルイス・キャロルのアリスが好きな人にもおすすめです。

うみのかなたの そらとおく
 ジャンブリーズの すむという

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by n_umigame | 2012-05-15 00:05 | | Trackback | Comments(0)

『かいじゅうたちのいるところ』(2009)

NHK BSプレミアム吹き替え。
1963年に出版されて以来のロングセラーであるモーリス・センダックの絵本の映画化。
映画館へ見に行きたかったのですが、見はぐりました。


けっこう賛否両論に分かれたようですが、これは完全に大人向きの映画ですね。
原作の絵本も多様な解釈を許すお話で一筋縄ではいかない作品だと思いますが、映画にするに当たって加えられた解釈をよしとするかどうかで、かなり評価が分かれる作品だと思われます。

わたくしはとてもおもしろかったです。途中少し退屈でしたけど。
これは大人が子ども時代を振り返って、子どもの頃のあの言いようのない孤独や疎外感を描いた作品です。
もし、子どもの頃、孤独でも疎外感を感じたこともなかったという幸せな人がいたら、あまりこの映画に共感できないのも無理はないかもしれません。


以下ネタバレにつきもぐりますね。

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by n_umigame | 2012-05-02 00:03 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

Welcome. 本と好きなものがたり。


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