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*さいはての西*

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『娚の一生』 1~2巻 西炯子著(フラワーコミックスアルファ)小学館

東京の大手電機メーカーに勤める堂薗つぐみは、田舎の祖母の家で長期休暇を過ごしていた。入院していた祖母は間もなく亡くなってしまうが、つぐみは仕事を在宅勤務に切り替え、そのまま祖母の家で暮らしていくことにする。

翌朝家にいたのは、見知らぬ壮年の男性。祖母の教え子で、祖母から離れの鍵をもらっていたという。祖母との関係がよく分からないまま、奇妙な同居生活が始まる。(Wikipediaより)



西炯子さんの作品は、ものすごーくお久しぶりで読みました!
『三番町萩原屋の美人』がほぼ最初で最後だったかもしれません。
最近、何だったかでネット上でうろうろしていたときに、枯れたオヤジ好きならこれを読めー!!みたいなページがあり、そこでこの作品を知りました。

んもー、何が枯れたオヤジ好きならこれを読めですか、あなたの思惑どおりに人がはまると思ったらそのとおりですよいいじゃないですか、こんちくしょー!!

セリフ回しや雰囲気を作るのは相変わらず巧いのですが、途中でさりげなく入るギャグやら細かいツッコミやらが相変わらず秀逸で、こちらにも大いに楽しませていただきました。(「見てわかれオッサン」とか(笑))
だじゃれ系小ネタがすごいんですよね、「加藤茶”ちょっとだけよ”」とかホーゲンダッツ・アップルしょうゆ味とかみそバナナ味とか(大笑)。

主人公の堂薗(どうぞの)つぐみは、大手電機メーカーで発電開発部門に所属する管理職(課長)の、30代半ばの女性。エリート街道をまっしぐらというわけではなく、地方の大学を出て大手企業に採用されてからとても努力してきたという、理系のキャリア女性です。
祖母の急死を受けて、祖母の家を管理するために(という口実で)、東京での不倫や激務に疲れ、人生を見つめ直そうと(…というか、実質、フタして逃げてきて閉じこもったっぽく見えましたが)、そのまま住み着いたら、なぜか離れに見知らぬ男性が住み着いていました。
海江田醇(かいえだ、じゅん)と名乗ったその男は、かつて祖母が大学の講師をしていた頃の教え子で、祖母に片恋をしていたのだけれども、彼女のことを忘れられずに51歳になる今日まで未婚。そこへ孫とは知らずにつぐみに出会い、一目惚れしたから結婚しよう、と強引に同居生活を始めるのですが…。

という、お話です。
(「ありえん」とか言わないんですよ、マンガなんだから(笑))

絵がとても巧くなっているのですが、『萩原屋』のころからそうだった色気のある線にさらに磨きと拍車がかかっていて、んもーたまりませんなーという感じです。(笑)
西さんは男性キャラクターが色っぽいとはよく言われるようですが、女性も色っぽいんですよね。
しかし女の身としてはやはり、海江田さんの骨張った肘から手、指、喉元や鎖骨、だらしないしぐさなど、どれを取っても内側からにじみ出てくるような色気を感じます。51歳(登場時)だけど。
日本だと、男女問わず51歳なんてもう異性関係からは引退してて当然、恋愛なんて信じられないわーフケツよーとか言い出しそうな雰囲気が強いように思いますが、翻訳ものをよく読む自分的には、まだまだ現役でもぜんぜん不思議ではない年齢であり、寿命が延びてんだからガタガタ言うんじゃねーよとか、自分が51歳になったら思いそうです(笑)。(自分が51歳になるころには寿命が逆に40歳くらいになってるかもしれませんが。(笑))

仕事も家事も何でもよく気がついて、ばりばりとそつなくこなすつぐみに、叔母は「あんたは気がつきすぎよ」と言われるのですが、つぐみが母親から「あの子は長女だからああですが」と言われるところは、何か、痛かったですね。だって、親がそんな子に育てたんでしょうが。きっと小さい頃からいわゆる「いい子」で、親も安心だからってかまわなかったから、なんでも「一人でできる子」になっちゃったんですよね。
作中、海江田も「自分は小さい頃はいい子で、反抗期らしい反抗期もなかったんちゃうかな」とつぐみに語るシーンがありますが、ある意味、二人は似たものどうしなんだと思います。

反抗期はないとだめですよね。大人になってから反抗期来ますからね(笑)。
かくいうわたくしも、「おまえは小さい頃はほんまにええ子で、○○(妹)がぎゃあぎゃあ泣いてても、だまーっててくてく、疲れたとも言わんと歩いてたわ」と生前の祖母に言われました。
だから、こんな大人になっちゃうんだよ、おばあちゃん。(笑)(笑い事か)

閑話休題。

続きが気になったので、掲載誌を買おうかな、と思っていたら、なんともう次号で最終回!!
えー!!
ということはコミックスは3巻で終わりなんですね?

どうなるんでしょうね。どきどき。

西炯子さんの作品なので、「ハッピーエンドといえばハッピーエンド、バッドエンドと言えばバッドと言えなくもない」というような複雑なオチになりそうです。
by n_umigame | 2009-11-30 17:34 | コミックス