額に銃弾を受け、焼けて骨だけが残った遺体が発見される。非番だったジェントリー警部は、知らせに来たバッカスと現場に急行。唯一の証拠品は、ワンダ・レーンという刻まれた指輪だった。同じ頃、警視庁公安課のエンプトン警視長が当地を訪れていた。(AXNミステリー)
今回は、"Hustle"(『華麗なるペテン師たち』)の”当たり屋アッシュ”こと、Robert Glenisterが出演していました。
何の役かなあと思っていたら、悪徳警官でしたよ、似合うなあ(笑)。しかも公安かい。
アッシュの声(青野武さん)がぐるぐるめぐりながら見ていました。
1960年代を時代設定にした理由が毎回いろいろと「ああ…」と想像されるドラマですが、今回はIRAでしたね。
バッカスが「アイルランドはなんでこんなにイギリスを目の敵にするんだろう、土地はだいたい返したじゃん」みたいなことを言うシーンがありましたが、歴史上イギリスがアイルランドに対してしてきたことを思えばどこを押せばそんなセリフが出るんじゃいと極東の島国で一人ぽつんと思いました。しかしそう思う自分の国だってあれやこれややらかしているわけで、どこもお隣の国との関係はむずかしいなあと思ったものでございます。
でも、それをきちんと批判的に見せるところに、彼我のテレビ局の姿勢の違いを感じました。(このドラマ、制作がBBCなんですね)
そんなこんなで今回も重い内容でしたが、やっぱりユーモアも忘れないブリティッシュ・ドラマ。
今回は、聞き込みに行った先で誘惑されちゃったジェントリーが、バッカスにそれを車の中で話すシーンです。
".....and?"
"What do you mean
and!"
が、わたくし的大爆笑ポインツでした!
モテるな、ジェントリー(笑)。(いや正確に言うとあれはモテではないか…)
あと、空軍基地に聞き込みに行って、いきなりいちびりなバッカスがジェントリーにたしなめられ、全然調子が変わって「すみません…」と言うところも笑いました。
銃の横流しがジェントリーたちの聞き込みで発覚し、「今さら責任取って辞めたってしょうがないじゃないですか」みたいなことを言うバッカスに、「政治家と違って『知りませんでした』は軍人には通用しないんだ」というジェントリーのセリフに、イギリスでは軍人がどう見られているか、というのもかいま見えて興味深かったです。(そして世界中政治家がおんなしなのはなぜ…?(笑))
イギリスの田舎の方が舞台のドラマは、絵の色もいいですね。
いかにも太陽の陽の射す日が少なく、陰鬱な感じの背景に、アースカラーの洋服の人たちがとても似合います。
前回の感想の最後に名コンビ誕生みたいな書き方をしましたが、いわゆるバディもののように「俺はおまえに背中を預けられるぜ!」というような美々しい関係ではなくて、ジェントリーもバッカスもお互いにいつ足下をすくわれるか、いつ寝首をかかれるかわからないようなあやうさをはらんでいて、でもきっと大丈夫、という不思議な安心感のある関係が、緊張感があって甘すぎずいいですね。
2回目もとてもおもしろかったのですが、これを見始めるとテレビの前から2時間動けなるのが難点であります。