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*さいはての西*

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『名探偵モンク 7』#14:「お帰りモンク刑事」 ; mr. MONK and the Badge

ストットルマイヤー警部の力添えで、12年ぶりにモンクの警察への復帰が認められる。モンクは緊張しながらも夢見心地で初出勤。仕事がなくなるナタリーは華やかな音楽業界の仕事の面接を受けることにしていた。モンクが最初に担当する事件は「つるはし連続殺人」。さっそく現場に行こうとすると、復帰に慣れるまでしばらくは内勤をする決まりだと告げられ、情報提供の電話を受ける仕事を与えられる。(NHK 海外ドラマHP)


警官に復職できて大喜びの、本当に大喜びのモンクさん。
そして、それは自分の失業を意味するのに、我がことのように喜んで、朝ごはんやお弁当まで作って送り出してあげるナタリー。

ついにこの日が来たんだね、と思いつつ一抹の不安は的中し、やっぱり予想通りの結末でした(笑)。

のっけから厳しい意見で申し訳ないですけれども、うん、そりゃ、無理だよ。すまんけど。
と思いました。
神経症がどうとかいう問題以前に、組織で、しかも警察のような特殊な組織で、チームの一員としてやっていくということがどういうことか、モンクさんが理解していたとは思えない。
何年も休職していたから復帰が難しかったというより、以前は警察でやっていけていたというのが不思議なくらいです。
50歳を超えてから警察みたいなハードなお仕事に戻るというのも、きつい話ですよね。

はっきりした根拠もなく死んだ警官を疑って、お葬式の直後(ですよね? 日本だったらその前の通夜振る舞い?みたいな?)に、若くして未亡人になって悲しみに暮れている奥さんに、「あなたの死んだダンナさんですけど、汚職してたんじゃ?」と(多少は遠回しにでしたが)聞いたり。
今ここで解明しなければ新しい犠牲者が出るとかせっぱ詰まった状況でもなかったわけなのに、モンクさんひどいですよね~。ふつうに考えても非常識というか、あまりにも心ない振る舞いですが、仲間意識の強い警察官同志でそんな行動に出たモンクさんを、さすがのストットルマイヤー警部も見かねて、怒って飛んできました。

ストットルマイヤー警部やディッシャーとは違うチームに配属になって、ほかの刑事たちから「あいつ、超イタい」と敬遠されて、相棒を組まされた刑事にまで見放される始末です。
どんなにイタいやつと組まされても仕事なんだからきっちりやれよ! と相棒の刑事にもちょっと腹が立ちましたが、その腹立ちを越えるイタさがモンクさんにあることも事実なわけでして…。。(それを思えば、同じくモンクさんの相棒だったストットルマイヤー警部がいかに忍耐強くて心の広い、いい人だったか、よーくわかりますね(笑))

モンクのキャラクター自体が、いわゆる「謎解きが得意な”名探偵”」のカリカチュアでありアイロニーでもあるのですが、「己の興味のあることだけが常に大事」で、「他人の心情なんておかまいなし」で、実際にいたら「超イタい人」でしょ? というのをコメディタッチで見せたところにも、このシリーズの意義の一つがあった、と、最終回を前にして思いました(笑)。

警察に復職できて「幸せな自分」「充実している自分」を演じますが、メッキは瞬く間にはがれてしまうモンクさん。
ベル先生にも、「神は人を罰したいとき、その祈りをかなえる。オスカー・ワイルドです」と言われてしまい、今まで自分が幸せだったことに気づきます。

復職に尽力してくれたストットルマイヤー警部もディッシャーも、あっさり「やっぱり辞めます」とバッジを返すモンクさんを引き留めなかったけれども、何が幸せかなんて、自分にしかわかりません。そして「青い鳥はこんなそばにいたんだ」と気づくまで、人は無駄に「幸せな自分」を追い求めて悪あがきするものなのです。
そんなモンクさんらしい終わり方でもありました。

けど、モンクさんでも「ファンの女の子とか」いたらうれしいんだ?(笑)
by n_umigame | 2010-07-12 12:28 | 映画・海外ドラマ