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*さいはての西*

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『名探偵ポワロ』シーズン11#2「鳩のなかの猫」

中東の王国ラマットで革命が起き、アリ殿下が殺される。殿下は亡くなる前に親友のイギリス人、ローリンスンにあることを依頼していた…。
数か月後、イギリスでは名門女学校、メドウバンク学園の新学期が始まる。アリ殿下の婚約者だったラマットのシャイスタ王女も転入してきた。ポワロは知人のバルストロード校長に後任者選びの助言を求められ、しばらく滞在することに。そんななか深夜に体育教師スプリンガーが殺される。(NHK海外ドラマHP)


今シリーズ、これのみ原作途中でほっぽりだしてあるのですが、「王子」とか「女子校」とか出てきたくらいでひるんでちゃいけませんな! アガサ・クリスティーですから!
これすごくおもしろかったです!
クリスティーは誤導(ミス・ディレクション)の名手ですが、この回も本筋と関係のある殺人とそうでない殺人を厳密に見分け、整理し、順序立てるポワロの鋭い頭脳と推理が冴える回でした。

原作ではなかなかポワロが登場しないのですが、ドラマではイントロ部分を非常に巧く換骨奪胎し、必要なところは効果的に見せ、そうでないところは上手にカットして絶妙な早めのタイミングでポワロを登場させ、絵的にもテンポもすばらしいできでした。

ポワロの、ほんの小さなことまで見落とさない目、また五感をいつも働かせて全身がセンサーになってあらゆることを記憶していることがわかる見せ方もすばらしかったですね。
最初は素人探偵を小ばかにした態度を隠そうともしなかったケルシー警部が、どんどんポワロを見る目が変わって敬意を払い始めるところもよかったです。お互い「仕事で勝負」なプロフェッショナルです、という感じで。

終わり方も、初期の頃のこのドラマシリーズを思い起こさせるような爽やかで心温まる、ユーモアあふれる終わり方でした。

一つ、不満というか、疑問に思ったことは、アガサ・クリスティーの作品にしては殺害方法が残酷だなあということです。槍で串刺しとか珍しいですよね?殺されるシーンもけっこうリアルな感じで(悲鳴をあげないとか)「ひいいぃぃぃいい!!」となりました。お食事中の方はご注意ください。

もう一つ、不満というか、疑問に思ったことは、
↓以下、ネタバレです。









かつて情報部員だったというジュリアのお母さんですが、そんな危険な人物が女子校に紛れ込んでいたら、死んだはずだったとしても一度は疑ってみるのが定石なのではないかと思いました。
何人も犠牲者が出てから「やっぱりあなただったのね!」とか、そんな”東西防御率の低い探偵ワースト1★金田一耕助かファイロ・ヴァンス”みたいなこと言われましても。

ただそうすると事件は始まる前に終わってしまうわけでございますが(笑)。


ところで、いきなり”「覚悟はいいか」「もちろん」握手!”に萌えた人! はーいはーい!!
いやいやまったく、そんな話ではなかったのですが、このシーンだけでおなかいっぱいになるところでしたよ、危ねえ。(危ねえのはアンタだよ)
by n_umigame | 2010-09-19 18:43 | 映画・海外ドラマ