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*さいはての西*

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『ルイス警部』#1:「数学殺人事件」

出向先から帰国したばかりのルイス警部が、女子大生リーガン殺人事件の捜査を臨時で担当することに。一緒に捜査にあたるのはハサウェイ部長刑事。事件の容疑者として浮上したダニーは複雑な家庭環境で育った数学マニアの学生で、リーガンとは恋仲だった。しかし彼にはアリバイがあり別の容疑者が浮上。そして、新たな被害者が出たことで捜査は更に混迷する。解決の糸口はルイスの元上司であるモース警部が残した古いメモにあった・・・。/出演:ケヴィン・ウェイトリー、ローレンス・フォックスほか/原作:コリン・デクスター/英/字幕/2006年
(チャンネル銀河)


一部ネタバレも含みますのでご注意下さい。


(理由は語られなかったと思いますが)出向先からいきなり浮いたファッションでイギリスに帰国するルイスという所から始まりました。
第1話は、このドラマは『モース警部』のスピンオフです! という部分がそこかしこにちりばめられていて、それを期待して見始めた視聴者のハートをゲットするという意味ではなかなかツカミはオッケーだったのではないでしょうか。
いきなり真っ赤なジャガーに轢かれそうになるルイスとか、おそらくモースの遺言で寄付・設立された「エンデバー賞」にルイスが「良い名前の賞ですね」とコメントしたりといったモースファンへの目配せ的なシーンもありますが、事件自体がモースが残したクロスワードパズルのメモが重要な手がかりとなってルイスが解決に導きます。

モースとコンビの時はモースがボケて(妄想すれすれの推理や仮説を展開して)ルイスがつっこむという、ルイスは常識人の役でしたが、ルイス以上にまじめなハサウェイの登場で、ルイスの方がちょっとボケ役になっているのが印象的でした。
例えば、事件関係者がモースの生前の知り合いだったりして、その人に「〔モースは〕人の心がわかる、いい人でしたね」「彼がいなくてさみしいでしょう?」と聞かれて素直に「はい」と言えないルイスの代わりに新しい相棒のハサウェイがすかさず「はい」と答えたり(明らかにルイスの心情を代わりに言ってましたよね、ここ(笑))、モースが残してくれたパズルの手がかりに"Bloody Morse!"と悪態をついたり、モースが亡くなって何年も経つのにモースに対していまひとつ素直になれないルイスを見ていると、彼にとってはモースはまだ生きている人なんだなあと思ったり、いろいろと微笑ましかったです。
モースといつも微笑ましい口げんかをしていた女性の検視医さんも健在ですが、びっくりしたのはルイスの奥さんがロンドンでひき逃げされて亡くなっていたことです。
ルイスよ、気の毒に、おまえもか…。
家に帰って奥さんが作った目玉焼きとチップスを食べながら牛乳を飲むのを何よりの楽しみにしていたのに、ひでえ。あんなに子煩悩だったのに子どもも独立してめったに会いに来なかったり(約束をすっぽかされたり)と、絵に描いたような”とほほな家庭事情の刑事”になっとる…。いいかげん、刑事ドラマの製作陣は「主人公の妻の死の解明」以外のサブプロットを考えるようにネ!! 結婚指輪をいつまでもはずさないというのも、さんざんデジャヴですよ!!

ミステリドラマとしては、『モース警部』の原作ほどではないにせよ、じっと見ていないと筋が追えない程度にプロットが入り組んでいます。それが2時間ドラマなので、かなり見る気で座って見ないと、あっという間に筋が追えなくなってしまいます。おまけに人間関係が入り組んでいてけっこう疲れます。おもしろいのですが。アガサ・クリスティーが大好きなコリン・デクスターらしく、「事件と関係のない、紛らわしいことをする人」が巧いです。
マイケル・マローニーさんが登場して小躍りしましたが、最近マローニーさんが出ると「死亡」とか「犯人」とかさまざまなフラグが立つことが予想されるようになってしまい、素直に喜べなくなりましたよ…。

自分だけ飲んで部下のハサウェイにはジュースを飲ませて運転させるという、それモースにさんざんやられたことハサウェイにやってますね、というラストシーンで笑いました。でもモースと違って上司が部下におごる。えらいぞルイス。てかそれがふつう(のはず)だ。

モースの頃の直属の上司であるストレンジ警視正はいい人でしたが、今回の女性の上司はちょっと手強そうですね。

2回目以降も期待したいと思います。
by n_umigame | 2010-10-04 17:52 | 映画・海外ドラマ