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*さいはての西*

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「越前敏弥氏講演会&翻訳ミステリー大賞・読者賞を徹底的に語る! 座談会」レポ


2014年4月26日(土)に開催されたイベントに参加してきました。

以前からTwitterでフォローさせていただいている、翻訳ミステリー大賞シンジケート(@Honyaku_Mystery )(d.hatena.ne.jp/honyakumystery/)が発信している読書会が全国で開催されています。
翻訳ミステリーシンジケートの、(大義にはミステリーにこだわらず)翻訳ものを読む人が増えてほしいという趣旨に賛同していることもあり、読書会にも参加してみたいとずっと思っていたのですが、カレンダーどおりに休めなかった、語りたい作品が近場に来ないなどの理由でずっと参加を申し合わせておりました。(もっとも名古屋読書会のように参加概要がTwitterで発表されるや、またたくまに満席になってしまうような人気の会もあり、それも参加が難しかった遠因ではあります。)

今回、翻訳家の越前敏弥氏と関西読書会の方も参加される座談会ということで、読書会の雰囲気が伺えるといいなという希望もあり、思い切って参加してみました。

結論から先に申しますと、最初(受付前)に感じたアウェイ感は最後の最後までぬぐえず、場違いなところにお邪魔してしまったという気持ちのまま帰路につきました。

今から申し上げることは、当然ながら、一個人の感じたことです。
ですので、もしかしたらご不快に思われる方もあるかもしれません。ですが、わたくし自身も「翻訳ものを読む人が増えて欲しい」という思いは偽らざるものであり、だからこそ、もしかしたら自分と同じように感じて距離を取っている人がいるかもしれない。そんな方々に、だからと言って臆することはないよという気持ちも込めて、記事をアップいたします。


最初にイベントレポートです。イベントの詳細はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20140423/1398245662

2部構成で、第1部は「『日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』刊行記念講演会」。
第2部は「翻訳ミステリー大賞・読者賞を徹底的に語る! 座談会」でした。


■第1部『日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』刊行記念講演会
演題どおりの内容で、越前敏弥氏の講演会。
実際の英文を例に取って、どういったところで誤訳しやすいか、日本語に翻訳するときの表現の問題など、テクニカルなお話が多かったですが、わたくしのような素人が聞いていてもとてもおもしろかったです。
例題に出された文章は、自分はほぼ全部、まんまと誤訳しました(笑)。
精読には文法の知識を固めること、長文のリーディングには、参加者の方(英語学校の講師の方)の「ネイティブの人がやっているように左から右へ、前から順番にかたまりで読む、繰り返し読む」というアドバイスは、趣味で英文を少し読むことがあるだけという自分にもとても役に立つ、的確な指示でした。


■第2部 翻訳ミステリー大賞・読者賞を徹底的に語る! 座談会
第2部からは関西読書会のメンバー5人の方と越前敏弥氏の座談会でした。
今年の翻訳ミステリー大賞と読者賞の受賞・候補作品について、読んだ方がオススメをするという形式でした。
『冬のフロスト』と『遮断地区』しか読んでいなかったのですが、『緑衣の女』は読んでみたいなと思いました。キングはいくらオススメされてもどうしても昔から苦手で…。相性なんでしょうか、訳者の方が変われば気持ちよく読めるのでしょうか。そのあたり謎です。『三秒間の死角』は現在読書中。
どの作品の紹介も「男も女もいやなやつばっかり出てくる」とか「凄惨な事件ばかり起こる」とか、最近話題になる海外ミステリーって本当にそうなんですよね(笑)。いえ、海外作品に限らず、日本の作品もそうだと思います。
ミステリファンでも古典ミステリ以外あまり読まない方も幾人か存じ上げていますが、その方たちのお気持ちがわたくしはよくわかります。仕事や日々の暮らしに疲れているときに、お金払って不愉快な思いをしたくない。古典ミステリにもいやなやつや、昔のことゆえあからさまにならない分、陰に籠もった凄惨さというものがありますが、やはりある程度の節度がある作品が多いですから。
温故知新という点だけでなく、そういう面でも、翻訳ミステリーの入り口として、古典の新訳や、バークリイなどがどんどん刊行される現状は大歓迎であります。
閑話休題。
間に、翻訳ミステリー大賞授賞式や、古式ゆかしい民家みたいな畳のお部屋でのそれぞれの小部屋での様子などがパワーポイントで紹介されました。お座敷で楽しそうでした。


そんな雰囲気で、とても充実した楽しい時間を過ごさせていただきました。
ですがイベントが終わって一人になってみて改めてわき上がってきたのは、最初から最後までどうしても拭えなかった場違いな感じ、アウェイ感でした。
黙っているのが大人の態度ですが、前述したような理由で記事にしておきます。
いわば愚痴ですので、レポだけ読めれば良いという方はここで回れ右推奨いたします。


以下、もぐります。










この「アウェイ感」の原因はわりとすぐわかりました。

まず最初の受付の時点ですが、受付時刻を過ぎているのに準備ができていなかったようで、それはいいのですが、お友達やお知り合いの方々が入り口付近で固まっていてとても入りにくかったことです。
広い会場ならともかく、出入り口が一つの、収容人数が50人程度のこぢんまりした会議室のようなお部屋です。
誰かに聞こうにもどなたが関係者かわからない。それからすぐ紀伊國屋書店の方が受付を始めてくれたですが、最初から「場違いで失礼ではないかしら」と緊張して行ったこともあって、まずここで気持ちが躓きました。これは自分のタイミングが悪かったと言われればそれまでですが、あとを引きました。後述します。

次に第1部の講演会では、越前敏弥先生のお知り合いの方々や、英語・翻訳の勉強をしている熱心な方が多いようで、自分のように単に翻訳ものが好きで楽しみで読んでいるという人はあまりいないような雰囲気でした。いたのかもしれませんが、埋没していました(笑)。ここでも「単なる好奇心で自分なんかが参加して申しわけなかったかな」という気持ちに…。

第2部の座談会はアウェイ感が加速しました。それは本の紹介をしてくださる関西読書会の方のうち何人かの方が、特定の方向に向かってしかお話しされないからでした。(全員ではないのですが。なのでこちらを向いてくださる方が嬉しくて、その方のお話は食い入るように聞いていました(笑)。現金。)
人前で話すとき、親しい人や知り合いがいると安心するので、ついそちらを向いてしまう心理はとてもよくわかります。緊張していると特にそうなります。ですが、繰り返しますがキャパ50人程度の小さいお部屋で、見ていて明らかにお知り合いとわかる方のほうしか向かないというのは、どうなんだろうなあと思いつつ拝聴しておりました。
内輪で盛り上がっている飲み会に首を突っ込んだわけではなく、わずかとは言えお金を払って聞きにきているわけですから(笑)。
(金額以上のお値打ちの内容だったことは保証いたしますが、言いたいのはそういうことではないのです。)
そういう、我ながらくだらないことと思いながらも、一度気になり出すと、受付の時点で「入りにくい」と感じた気持ちがここでまた頭をもたげて、心理的にますます「入りにくい」状態に。
読書会は「初心者歓迎」と当日のパワーポイントのスライドにもありましたが、申しわけありませんが、「そ、そうなのかなあ……」とますます懐疑的になってしまいました。

あと、女性が多すぎです。まじめに言っています。
自分もそういう意味では加害者ですが(笑)翻訳ミステリー大賞の様子を拝見していると良いバランスのようですので、たまたまかもしれませんが。


そんなわけで、せっかくの貴重なお話や楽しいお話を、ひたすらアウェイ感と戦いなから聞くという、屈折した体験でした。


ですが、おかげで改めて思ったことは、別にだからって自分が気にしなくていいじゃないかということです。
身の回りに翻訳もの(や洋画や海外ドラマ)の話ができる人がいないため、いつも誰かお仲間がいると嬉しいなと思っていました。
残念なことなのですが、熱心なファンが壁になって新規参入を阻むという現象はあらゆることに起こります。でもそれはファンの対象…この場合は翻訳ものの諸作品…には何の関係もないことです。

自分があまのじゃくということも大いにありますが、何となく違和感があって、でもときどきは自分の好きなものについて吐き出したいよね、という方、ここにもそんな人間がいますよ。
と、今回はそういう記事でした。


最後にもう一度申しますが、一個人の感じたこととして、もしご不快に思われる方がありましたら、その点については伏してお詫び申し上げます。
今後、越前敏弥氏ならびに関西読書会の方におかれましては、ますますのご活躍とご発展をお祈り申し上げます。




by n_umigame | 2014-04-27 14:47 |