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*さいはての西*

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『ジェシカおばさんの事件簿』パイロット版「シャーロック・ホームズ殺人事件」

原題:The Murder of Sherlock Holms

AXNミステリーで日本未放送の新シーズンも始まるということで、おめでとうございます。
■ジェシカおばさんの事件簿(AXNミステリー公式サイト)

『ジェシカおばさんの事件簿』パイロット版「シャーロック・ホームズ殺人事件」_d0075857_1822552.jpg


(画像も)

いつも一方的にお世話になっている某方から、またもやお言葉に甘えてDVDをBOXでお借りしてしまいまして、おもしろいものでついつい次々と堪能させていただきましたのですが、あまりに矢継ぎ早に見たものでブログに感想書こう♪とか思っていたのが果たせませず…。通常営業すぎる…。

あまりにあんまりなので、こちらも日本未放送という、このパイロット版の感想をアップいたします。

いわば、『ジェシカおばさんの事件簿』"エピソード0"であります。



以下、ネタバレあり。犯人とトリックも割っているので、未見の方はここで回れ右推奨です。











***あらすじ***
わたし、ジェシカ・フレッチャー。アメリカはメイン州の片田舎キャボット・コーヴに住んでるの。夫を亡くしたあと、婦人会のお友だちと地元のへっぽこミステリー演劇のネタを瞬殺で割って脚本家を冷やかしたり、朝も早よからランニングにいそしんだり、悠々自適の生活をエンジョイ中。 
あるとき、ひまつぶしに書いた小説を甥っこのグレイディが出版社に送っちゃっからさあたいへん。うっかりデビューが決まってしまって、地元の本屋さんじゃ、いきなり売り上げベスト10入りの快進撃。甥っ子とその恋人の陰謀でNYに行ってキャンペーンを張るはめに。ところがこのキャンペーンったら、もうさんざんで。TVでもラジオでも小馬鹿にされるわ、フェミニストの勘違いお姉さんにTVで盛大にネタバレされるわ、アグネス・ピーボディとかいう作家の盗作だから裁判所に出頭せよっていうファンに絡まれるわ、誰よそれ知らんわ!

あらすじがさっぱり粗くないって? このエピソードだいたいオープニングからして長いの。我慢してちょうだい?

そんなこんなで知り合った人(これがまたしゅっとしたちょっといい男なのよー)からお招きいただいた仮装パーティで、シャーロック・ホームズのコスをしている人が殺されたから、今度こそほんとに、さあたいへん。
しかも人違いで殺されたっぽい? 
「家に帰ってロブスターでも食べるわ」とか言っていたけど、帰る帰る詐欺で結局首をつっこんじゃうのよね。しかも例のいい男とも、いきなりラブよ。パイロット版でいきなりラブよ。ねえ、このラブ、いると思う? あたしだったらさくっと削j あら誰か来た。

ってわけで、ジェシカおばさんのエピソード:0、始まり始まりー!(長いわ!)


はい、ここまで読んですでにうんざりしたそこのあなた。
こちらのめとろんさんのブログを全身全力でオススメいたします。

■めとLOG~ミステリー映画の世界 リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク、横溝正史、他の映像ミステリーについて
「リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク、横溝正史、他の映像ミステリーについて」


幅広い知識と確かな愛情にあふれ、貴重な作品・情報を、画像もテキストも充実の内容でご紹介してくださるブログです。
ためになること当ブログの比じゃないと言うかそもそも比べんなって話です。そんなレベルです。
(いつもお世話になっているくせに恩を仇で返すとはこのことです。めとろんさん、申しわけありません…。)

 
それでもまだ珍獣的なものが見たいという奇特な方は、続きをどうぞ。


以下、思ったことを箇条書きで失礼します。


・NYのツインタワーが…。
・盗作疑惑でつっかかってきた女性に対して「dirty old lady」て。ジェシカさん口悪いな。(おまえが言うなと。)字幕では抑えめでした。
・「アグネス・ピーボディー」は「アガサ・クリスティー」と韻を踏んでいるのですかね。
・仮装パーティでは、ジェシカさんはシンデレラの妖精コスだったそうです。『オズの魔法使い』のいい魔女グリンダかと思いました。
・ホームズコスの俳優さん、ふとした瞬間がアンソニー・ホプキンスに似てるなー。
・仮装パーティのコスチュームデザインがディズニーですね。

・「探偵はみんなマイク・ハマーのような乱暴者とは限らんのだ」挑んできますね、パズラー好きの制作者の皆さんは(笑)。

・ジェシカさんの染み抜きレシピ、やばい。これでほんとに落ちるのか。卵と牛乳とレモンて。タンパク質入ってるからよけい汚れそうなんですけれども。しかも混ぜ方、雑。ちょう雑。(2回。)

・正義の女神像にモンテ・クリスト伯。ってもう、もしかしてこれ。

・トゥイードルダムだかトゥイードルディーだかどっちかわかんないけどの仮装の人やばい。
・そう言えばドラマの『エラリー・クイーン』でもアリスのマッド・ハッターお茶会コス回があったのだけれど、あれもやばかった。
・ミステリー好きは『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』好き多いな。てゆうか同じ人たちが作ってるドラマだからこうなんですかどうなんですか。(企画・原案は『刑事コロンボ』で有名なウィリアム・リンクとリチャード・レビンソン。)(コスチュームに食いつきすぎてすみません。)

・殺人事件発生。(やっとだよ。)

・被害者はホームズコスをしていたケイレブ船長。かと思ったら、私立探偵バクセンデールでした。
・「誰からも慕われていたなかった」ケイレブが狙われるならわかるけど、ということで、人違いの殺人だと思われる。

・小さい警察署なのかもだけれど、署長が自ら聞き込みって。

・この頃のNYのタクシー、客席と運転席の間に防犯用のプラ板なかったのね。
・いきなりストリートギャングに襲われるジェシカさん。
・めとろんさんのブログで、このギャングの一人がアンディ・ガルシアだったと知って腰抜かしました。本当だ!
・しかしこのシーン必要だったのか。
・黒人の青年が助けてくれるのですが、PC(ポリティカル・コレクトネス)配慮で無理くり入れたという印象もなくはなかったです。
・それを言うと、列車の車掌さんのシーンもそうなのですが。
・ジェシカはリベラリストですよ、ということを表明したかったのかもしれませんが、現代のドラマや映画を見慣れてしまうと、ちょっとわざとらしさが拭えない印象です。

・最終的に「人違いと思わせておいて本命でした」オチでした。


そんなこんなの90分でした。(かんそうまとめ。


最初の被害者(と思われた)人物が、”誰からも好かれていない人物”だったというところが、古式ゆかしい本格ミステリという感じでした。いやなヤツは殺されてもいいだろ=被害者という図式が、いわゆる「黄金時代」のミステリには多いもので。
自分の印象でもう少し昔(1960年代終わりから1970年代)に始まったミステリードラマだと思い込んでいたのですが、もう1980年代にはなっていたのですね。にも関わらず被害者がこれというのは何だかかえって新鮮な印象です。

レギュラーシーズンからはおおむね60分弱程度の尺になったようですが、ドラマの性格からも、60分くらいがちょうどいい長さかと思います。

60分レギュラーの方は、60分と思えないくらいクオリティの高い謎解きミステリーが楽しめるようになっています。ミステリードラマとして集中できる時間はそれくらいが限度かと思われます。
はりめぐらされた伏線を拾い、推理し、仮説を立て、答え合わせをするという楽しみ方には一定の集中力が必要です。先にそういう楽しみ方に慣れてしまってからパイロット版を見ると、キャラクターのドラマ部分はどうしてもノイズに感じてしまいました。

要はこのラブいらんやろという話です。(言い切りおった。)

『エラリー・クイーン』のときもガールフレンドとっかえひっかえしてましたが、ドラマとして深まっていたかと問われますと、控えめに申しましても、玉砕してました。(どこが控えめだ。)
ラブもドラマを盛り上げるのに役立っていれば大歓迎なのですが。が。

ただ、「ジェシカ・フレッチャー:エピソード0」としての存在意義は大きいと思います。
(ファンがあとで見直すと楽しい発見があるところは『SHERLOCK』のパイロット版を見たときの印象と似ているかなと感じました。)

あ、念のため『エラリー・クイーン』の方もフォローしておきますと、父子コンビがゴールデンなので、ラブいらんかったという面もあり、キャラクターがつまらない駒みたいというわけでは決してないのですよ。
なので、レギュラーからはジェシカさんにもおとぼけ保安官エイモスがついて、よかったと思います。

謎解きものは、特にシリーズにすると、コンビで掛け合いになる方が見やすい(読みやすい)しテンポも良くなるのは、パートナー(アシスタント)役が視聴者(読者)の目を代弁してくれるから、というのもあるということを、改めて発見しました。


パイロット版はあくまでもパイロット版だったということで、このような感想になりましたが、レギュラーの方は本当に毎回おもしろいので、クラシックな謎解きミステリー好きの方で、見たことがないという方にはぜひおすすめいたします。

↓ほかのエピソード感想。ご参考まで。
■『ジェシカおばさんの事件簿』2エピソード
by n_umigame | 2015-10-12 18:17 | 映画・海外ドラマ