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*さいはての西*

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"Why do we do what we do?" -- "Tehanu"

\"Why do we do what we do?\" -- \"Tehanu\"_d0075857_21252426.gif『ゲド戦記』リロード中………いや、反芻中。
もごもごうご。

思えば、3巻4巻か…。たとえお父上でも、むずかしかっただろうなあ…。
3巻のテーマは「生と死」で、これは誰も経験的に「死」を語ることはできない以上、人間にとっては永遠の命題なのであって、誰も正しい解答にはたどりつけないのだもの。
ル=グウィンさんも「3巻までのうち、一番気に入っているけれど、一番上手く書けなかった。」とおっしゃっていたし。
4巻は原作ファンの間でも賛否両論で、わたし自身は大好きな1冊だが、正直お子さま向けの題材とは言えない。フェミニズムや児童虐待など、おそらくアメリカでは(そして最近は日本でも)のっぴきならないところまで来ているのであろう問題を、アースシーに持ち込んだまではいいけれど、素材がむき出しだった。「これ、なんか、ヤダ。」という人の気持ちもわかるような気がする。
ル=グウィンさんもちょっと走りすぎたと、ファンのわたしでも思うくらいだったが、確かニューヨークタイムズの評でも「男は、弱いか邪悪か、2種類しか出てこないじゃないか」と指摘されていた。二元論的に善悪を語るのは、ル=グウィンさんのもっとも忌み嫌うことだったはずだ。(ハリウッド製ドラマにも「アーキペラゴとカルガドは、イラクとアメリカではない」と怒っておられたではないか。しかし、ハリウッドは時の政府のプロパガンダに組みする。(というのは言い過ぎにしても、日本に輸入されてくるものはそういう作品が悪目立ちに目立つ。社会問題をきちんととらえた佳作傑作ももちろんあるが、大々的に宣伝されるのはそうではない作品だ。)これは仕方がない。嫌ならハリウッド資本でないところと契約するとか…。) 当時のアメリカでさえ、ル=グウィンさんの危機感は「気持ちは痛いほどお察しするが、痛すぎる。」という受け取られかただったのだ。ましてや、日本では、4巻のテーマをきちんと論じられる土壌に、いまだになっていないように見受けられる。いや、論じている方々が場外乱闘を始めてしまったように、端から見ていると見えると言うべきか。

いずれにせよ、”お茶の間の人気者ジブリ”には、アンタッチャブルな話題だったのだとしか思えない。

吾朗監督の肩を持つ気はこれっぽっちもないが、3巻を読んで感動したんだな、ということは伝わってきた。センスの感じられるところから、3巻のセリフをそのまま抜いてきていたことからも、それは伺える。
ただ、あまりにも、抜き取り方がもったいないと言うか、ひどい。
またこんな例ですまないが、子どもの頃から適切に調理された素材の良いものを食べて育ったため舌は肥えているので、良い素材をすぐ見分けることができるのだが、松阪牛をフィレ肉だけ、しかも4分の3だけとかビッミョーな切り取り方をして、あとは全部捨てちゃった。とかそういう、いくらなんでもおまえ牛に謝れという素材の使い方しかできない。だって料理したことがないから。
そういう感じだった。そういう感じだったのだ。

もぐもぐ。
by n_umigame | 2006-08-21 22:06 | *le guin/earthsea*