『13のショック』がたいへんおもしろこわかったので、リチャード・マシスンを2,3追いかけ中です。
こちらの作品は最新刊で、長編ですが、マシスンは、短篇の方がよくできているような気がします。少なくともわたしの好みです。
短い章で構成されていて、その章の終わりごとにサプライズがしかけてあってどんどん次の章を読ませる、という形になっているのですが、「大成功」とは言い難いようです。
パーネル・ホールの「ひかえめ探偵」シリーズもこのような形式で、どちらも同じようにユーモアあふれる文体なのですが、ホールの、ブラックジョークであっても何とも言えないあたたかさがこみ上げてくるユーモアと違い、マシスンの場合はどうしても毒が強すぎるようです。
どんでんがえしも多用すると、「ここ!」というか「来たよ来た来た!」という盛り上がりに欠け、結局のっぺりとした印象しか残りません。短篇であればその最後の毒でぴりっと締まるのでしょうが、長編でこれをやられると山ばっかりのジェット・コースターのようなもので、読んでいても肝心のクライマックスの方で「どうせまたひっくりかえるんだろ」という緊迫感のない状態で読んでしまいます。もったいないですね。
しかし、早川書房の「異色作家短篇集」のおかげで、過去のおいしい作家さんたち大豊作です。しばらくわくわく読むものに困らないです。ありがとう。