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*さいはての西*

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『からくりサーカス』 (全43巻) 藤田和日郎著(少年サンデーコミックス) 小学館

200年前に起こった悲劇を因縁として巻き起こる、自分の意思を持ち人間に害をなす「自動人形(オートマータ)」と、操り人形を武器にオートマータを破壊することを使命とする人形破壊者「しろがね」との戦いと、それに巻き込まれ、数奇な運命をたどることになる3人の主人公たちの繰り広げる物語である。(Wikipediaより)


最初に、わたくし、人形が苦手だったということを申し上げておきます。
ぬいぐるみは大好きなんですけれども。

『うしおととら』を読んでから、やはりこちらも読まねばなるまいと手を出しましたが、さすがに、立て続けに読むと飽きるかもしれない。という感想に落ち着きました。(立て続けに読むな。)

すまない…。

藤田和日郎さんのいいところはあますことなく出し切られているのですが、ラストがかけあしで詰め込んだ印象がどうしてもぬぐえず、もったいないことと思いました。
からくり編とサーカス編に分かれていて、それぞれの主人公と中心人物がいるのですが、「きっとこのふたつの流れが最後に合流するのだろう」という期待が過ぎたのかもしれません。
合流はするのですが、『うしとら』のラストのように、ジグソーパズルがきれいにぴたっと当てはまるようなカタストロフィが弱いです。画竜点睛を欠くというのでしょうか。

マサルサイドの方は一直線で良いのですが、ナルミがあれだけしろがねを憎んでいたのに、なんで急にそうなるのか、いまひとつ説得力に欠けるし、それを言うならフェイスレスの変心も不自然でした。

藤田さんご自身もカバー袖で書いてらっしゃいますが、基本的に兄弟間の痴話喧嘩から始まったはた迷惑な話であり、非モテ男の逆恨み爆走物語というところも、吸引力がわたくし的には弱かったです。
『うしとら』の方は、白面はほかの象徴、例えば人間の暗部などに読み替えることができます。
それが、非モテ男じゃあなあ…という冷めたキモチがどうしてもぬぐえず。
(第一、この弟くんだって、これだけ才能があるんだし、惚れたら一直線なんだから、気持ちの持ち方ひとつで幸せになれた可能性大なのに。自分で自分を不幸にした、あるいは、不幸にしがみついていることだけが幸せだったのかもしれませんが。だって、本当につらかったら、人はそこから離れる努力をしますよ。)

それから人が死にすぎるのも気になりました。
”ナルミの重し”、あるいは”使命の鎖”になるためだけに死なされたような印象で、それもなんだかなーという感じでした。(ロッケンフィールドさんを返せ! ルシールを返せええ!! うわあああん!!)

…とは言うものの、読んでいる途中はおもしろく読ませていただきました。

しかし思うんですけれども、こういう悪役って、この情熱と才能をポジティブに使えば、どれだけ世界からウェルカムだったか…と思わずにいられません。
by n_umigame | 2008-09-29 21:51 | コミックス