*さいはての西*

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2008年 01月 02日 ( 4 )

『ゼロ時間へ』 アガサ・クリスティ著/田村隆一訳(ハヤカワミステリ文庫)早川書房

残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作。


再読。
現在、東京で映画が公開されております。
巡回して関西にもまいりますので、中身をサッパリ忘れていたのでこのまま映画を見るべきかどうしようかと迷ったのですが、やはり原作を読み直しておくことにしました。

「中身をサッパリ忘れていた」と書きましたが、読み始めてしばらくして犯人を思い出しました。
そしてバトル警視ものであることは覚えておりました。

初めて読んだときもそう思ったのですが、最初の3分の一くらいまではけっこう読むのに忍耐がいるかもしれません。
クリスティの作品らしく、とにかく登場人物が多くてその人となりと人間関係を説明するのに長々とかかるのですが、「ここを読み切れば絶対おもしろい」ということがわかっていなければガマンできないかもしれません。

が、読み切れば絶対おもしろいですから!!!(グッ!)

"Towards zero"という原タイトルが非常にかっこいいのですが、「殺人の瞬間に遡る」と言っても、起こったことがチャラになるわけではありません(笑)。

「いったい、人殺しなんておかしなチンピラですよ、高慢ちきでね! いつも、自分は頭がよくて策略に富んでいると思いこんでいるが、その実、かわいそうなくらい幼稚なんだから……」


三川基好さん訳の新訳がアガサ・クリスティ文庫として発行されておりますので、お好きな方でどうぞー。(ってもう旧訳は古本屋さんにしかおいてないかもー)
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by n_umigame | 2008-01-02 20:42 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『モンテ・クリスト伯』(1998)(TV series)

総製作費20億円、フランスでは放映時の視聴率52%の超記録!超豪華キャスト、超豪華セットで「復讐の鬼=巌窟王」を描ききる6時間半。空前絶後の超大河ドラマ。

20年近く前、無実の罪で監獄へ送られた男、エドモン・ダンテス。脱獄に成功し、獄中で出会ったファリア神父の遺言、モンテ・クリスト島で莫大な財宝を手にした。すべては揃い、復讐の時がきた。彼は神が裁かないのであれば自らが裁くことを決意する。エドモンはモンテ・クリスト伯となり、時には神父となり、時には卿を名乗り、欲望のため自分を密告したかつての友人、恋人に近づいてゆく…。

《監督》 ジョゼ・ダヤン
《出演》 ジェラール・ドバルデュー、ジャン・ロシュフォール、スタニスラス・メラール


何度かNHKのBSで放送されていたものを部分的に見たことがあったのですが、年末にミステリチャンネルで一挙放送されたものを録画しておいたものを一挙に見ました。

物語はもう有名ですので、皆さまご存じかと思います。
なのですが、恥ずかしながら原作は未読なのです~。デュマですからおもしろいに決まっていますけれどもね。ふんふん。(何でそんなに鼻息荒いんだ)

初めて見たときから、2大お気に入りはベルトッチオとカミーユです。(どうやらドラマオリジナルのキャラクターらしいのですが…)

ベルトッチオのコミカルでそれでいて心やさしいキャラクターは、復讐をテーマにした陰惨なドラマの中にあって、日だまりのような効果を生んでいます。
この役者さんはイタリアの方らしいのですが、身のこなしがスマートでかっこいいですね。
料理人で貴族にも仕えたことがあり、無骨で優雅さなんてご縁がないエドモン・ダンテスに、作法を教えたり。(「食事の仕方でお里が知れる」とエドモンも言っていますが、これは本当に…。どんなに美男美女で猫をかぶっても、映画やドラマの中で食事のシーンで台なし、という役者さん、いますよね…。自分も気を付けねば。)

カミーユは、初めて見たときから「ううう…こんっなけなげで可愛い女の人を捨てていくなんて、エドモン・ダンテスのバカバカ!! …でもメルセデスの方に惚れる気持ちも分かる。てゆうか、カミーユが自分は一人前の女ではなくて子どもだから、かわいがられこそすれ対等の人間としてあなたに愛されないのは仕方がない、というのは自分がわかりすぎてて悲しいなあ…でもでも可愛いよカミーユうわーん!!」…と浮気男みたいなことを爆発的に考えながら見ておりました。
最後に「お願いがある。すべての人を許してあげてほしい」と申し出るカミーユは、しかし、それなりにすばらしい大人の女だとも思いますよ。
あーあ…エドモン・ダンテスめえええ(まだ言ってますよ)。
(メルセデスも「許せないことを許すことが、許すということではないでしょうか」と言っています。カトリックの国だなあ…)
てゆうか、「一人前の女」に惚れる「一人前の男」がちゃんと存在する時点でうらやましい世界です。

いきなり己の好きなキャラクター語り大爆発で申し訳ございません。

ドラマ全体のできあがりですが、やはりすばらしかったです。
通しで見るとどうしても「そんなうまい具合にアンタ…」とか「そんなトントン拍子に…」と思わないでもないところがいろいろとございましたが(笑)、ラストが自分にそれなりに納得のいくものだったということもあり、「終わりよければすべて良しだー!!うんうん!!」と涙して見終わりました。
カミーユがかわいそうだけれどもね!!(まだ言ってますよ)

あと、(以下、うっとうしいから読まなくていいです)父子萌え(年始から萌えとか言うな)としましては、エドモンが実家を訪ねるシーンで、憲兵(?)からかばってくれたおばあさんに「なぜかばってくれたのですか」と聞くところで、おばあさんが「あなたがダンテスさんのことを大切に思っているようだったから」というシーンでだーーーーと泣き、エドモンのお父さんが「息子のいる天国に行くんだ」と息子のことを愛おしげに呼びながら息を引き取ったとかメルセデスが言うシーンでだーーーと泣き、モレル父子のお互いを気遣うシーンにだーーーーと泣き、お父さんがマクシミリアンに「おまえは自慢の息子だ。愛してるよ」と言うシーンでだーーーーと泣き、マクシミリアンがお父さんが倒れたときに「いやだお父さん死なないで!」とか言うシーンでだーーーーーと大泣きに泣き、泣いてからふと、「何でこんなにお母さんの影が薄いんだよう」とか我に返りました。 なんでですかー??
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by n_umigame | 2008-01-02 19:35 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『DEATH NOTE』(全12巻) 大場つぐみ原作/小畑健作画(ジャンプコミックス) 集英社

サイコ・サスペンスの傑作と名高いこの作品、おくればせながら、やっと読みました。

「犯人の側からの殺人」を描く、つまり倒叙型ミステリーであり、徹底した頭脳戦と心理戦であるサスペンスであり、探偵役は情報収集などはほかの人間にやらせて自分は頭脳として動かない、つまりアームチェア・ディテクティヴであるところのミステリーマンガでした。

結末など重要な部分のネタバレをしています。ご注意下さい。

なので、平素ミステリーを読まない人、あるいは人生で初めてこの手のお話を読む人には新鮮だったのかもしれませんが、「己を神と思い上がり、自分の考えを理解してくれない他人、あるいは理解を示して心酔する人間ですら、要するに自分以外の人間はみんなバカだと思いこんでいるバカ」が主人公であるところのシリアルキラーものでありまして、海外の、特にアメリカあたりのこの手の作品をひととおり読んでいる方にとっては、たいへん典型的なアンチ・ヒーローであると思われます。
(少年マンガらしく荒唐無稽なまでに風呂敷は大きくなりますが。また、日本の少年マンガらしく世界中どこへ飛び出して行っても主人公は日本人男性ですが(笑)。)
これがアメリカのサイコものだったらきっと、主人公は父親か母親に何かゆがんだコンプレックスを持ったまま、それを乗り越えられずに身体だけ大きくなってしまった白人男性だったりするのでしょうが(笑)、そのような動機付けはありません。

構成としてはたいへん練れた秀作マンガだと思うのですが、「L」は代替わりする必要があったのかどうか疑問です。初代のまま最後の決戦まで行ってもよかったのではと思いました。
主人公が探偵側であれば、強敵に立ち向かう探偵のビルデゥングス・ロマンとして読めなくもなかったのですが、主人公はあくまでも犯罪者側ですので。

また、正義がどちらにあるかとか、そのような作品ではないように思います。
現に極刑があっても人殺しはあとを絶ちません。
それがどういうことか、おそらく、健康な良識を備えた人にならばある程度頭では理解できることと思います。(自身が犯罪被害者であったりその家族や近親族であったりした場合は、また違うご意見もあろうということは心情的にはわたくしも理解できますが。)
人間一人の生き死にを左右する、ということは、そんな単純な話ではないのです。
(内田樹さんが「話を単純にしたがるのは子どもだ」というようなことをどこかで書いてらっしゃいましたが、自戒も込めて、ほんとうに。)

わたくしは「正義」という言葉があまり好きではありません。
いみじくも作中ニアが言っているように、ある人間が主観的に正しいと思っていることが正義である以上、「正義」などと言い出してそれをふりかざす人間が出てきた時点で、もう、客観性は欠いているからです。
なので、どちらが正義かなどということはどーだっていいです。
それぞれが言い出したらきりがないので。

月はバツグンの秀才で頭がいい、ということになっているのですが、ほんとうに頭がいい人は、自分の知性が及ばないところがあるかもしれないという可能性を常に勘案するという意味で、もっと謙虚です。
少なくとも自分を神か何かと勘違いしている時点で、「どう考えてもそんなやつぁバカだ」ということに思い至らないようであれば、頭がいいとは言えないのではないでしょうか。
この頭でっかちで、理屈だけの理想をふりまわす幼稚さ、自分が「悪」だと決めつけた者を自分で裁くことに何の疑問も感じない感受性の欠落、世界を単純に考えすぎる短絡性、このあたりが本格ミステリにまま見受けられる「名探偵」の戯画のようで、読んでいて「うむうむ。」とうなずいてしまうところが多かったです。個人的にはちっとも月に共感できないという意味で。

そしてきっちり、「己を神と思い上がった男には鉄槌が下る」という、少年マンガであればこの終わり方しかないかと思うのですが、もし月の方がとりあえず勝ち残っても、自分以外の人間を自分の駒としか思っていませんから、要するに全然人間を信頼していないわけで、つまりは独裁者になっていき、『世界征服は可能か?』によると独裁者は述べた理由で過労に陥りやすく(何でも自分でやらないと気がすまない/信頼して仕事を任せることができないから)、やがては自滅する、と、いずれにせよ天下は長続きしないであろうという先行きであったかとも思います。

また、高学歴の人間が狂信的な宗教にはまっていくというのは、1995年に日本を(どころか世界を)騒がせたあの教団の事件を思い出しました。
これも作中ニアが言っていますが、優秀と言ってもそれは学校の成績だけであって、ただのバカです、というのはなかなか痛烈な批判ですね。作者の本音はけっこうこのあたりにあるのではないかと思います。

これだけ情報量の多い作品ですから、月とL/ニア側の丁々発止の頭脳戦/心理戦は、いっそマンガより小説の方が表現媒体としては向いているのではないかとも思いました。新本格系(っていまはもう言わないのかしら)の若手のミステリ作家さんあたりに書いてもらっても良かったのではないでしょうか。
(自分が年を取っただけということは重々承知の上で申し上げますが、読んでいるときはそれなりにハラハラ出来るけれども、読み終わったあと、ああこのキャラクターはいい味だ、良かったなあとか、何度も何度も反芻したくなるような余韻を残す作品に、なかなかお目にかかれないのは寂しいです。)

この作品の救いは、なんのかんの言って月の味方ではない(と本人…人じゃないけど)も言っている、死神のリュークですね。
毎日キャベツでダイエットしてますというパンクのお兄ちゃんのようなルックスも良いですが、コミカルで息抜きになるという面以外に、主人公(そして人間)にとって都合良く動かないという意味でも、人間には不可触/不可侵であるという意味でも、死を司る「もの」ではありますが、まぎれもなく、神はこちらです。バカっぽいしゃべり方にだまされそうになりますが(笑)。
これも内田樹さんの受け売りですが、「神はその理不尽さ故に、存在を証明するもの」なのだそうです。
旧約聖書のカミサマなんて、まさにそんな感じですよね。
この手の主人公にありがちなことに、月も、優等生で挫折したことが(おそらく)ありません。
ピンチを乗り越えたことはありますが、それはチェスの試合で盤上のピンチを切り抜けるようなもので、挫折を乗り越えたわけではありません。
挫折を乗り越えるというのはそういうことではありません。よね?
ですから最後に、リュークに「ここをどう乗り切るかが勝負どころだったのに、おまえもその程度だったのか」というようなことを言って見放されますが、本物の悪党だったら泥を噛んででもはい上がってこんかー!! とわたくしなども思うわけです。

月とL/ニアのどちらかに焦点をおいて語られがちかと思いますが、本当に語るとおもしろいのはリュークの存在なのではないかと、ちょっと、思いました。
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by n_umigame | 2008-01-02 18:01 | コミックス | Trackback | Comments(0)

年始のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

年頭から私信ではなはだ恐縮ではございますが、賀状でのご挨拶は本年はひかえさせていただいております。
お年賀状をくださいました方、ありがとうございました。また、どうぞお気遣いはご無用に…。
欠礼のごあいさつがたいへん遅れましたので(扁桃腺炎でこれ以上ないというタイミングで寝込みまして)、完全にこちらの手抜かりですので。
変わらぬおひきまわしのほど、よろしくお願い申し上げます。

さて、気を取り直しまして、昨年なんか年始の抱負を語らなくっちゃーね!! などと意気込んだようにも思うのですが、1年前なんて大昔。(都合の良いときだけ。)

じゃあ今年の抱負はどうしようかなあ…と思いあぐねたのですが…うーん。
干支のねずみ(なぜ干支の一番はねずみなのかという日本昔話(?))にちなんで、
「要領だけで立ち回り楽してトップに立つ」。
これだ。
(どこのヒーローものの悪党の抱負だ。)(いやヒーローものの悪党のほうがまだ努力してますよ。)

…。
……。

いや、やっぱりこんな抱負(というかなんの野望だ)はあんまりですね。
ねずみは地球で1番知性の高い生き物(@銀河ヒッチハイク・ガイド)ですからねー。
じゃあ、「銀河系征(以下略)」

本年もよろしくお願い申し上げますv
010.gif(←かわいいつもりか)
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by n_umigame | 2008-01-02 17:20 | 日々。 | Trackback | Comments(0)